お気づきかと思いますがまたまたHOPEを観に行ってきました。
これだという直感は外れたことがなくまさに今、HOPEは観ておかなくてはならないという自分の直感に従っております(欲望のままとも言える)
ホープを観るうえでまずは初演ペア、再演ペア、三演ペアは必ず観ておかなくてはならないと思います。
なぜなら微妙な演出ちがいや焦点のあてかたのちがいが初演(試演)~三演まであり
それを経てきた役者さんと新規参加の役者さんではこのホープという作品への解釈が変わってくるからです。
と言うわけで、ようやく再演からのペアで観ることができました!(平日の退勤時間にあわせて頑張りました!夜8時開演万歳!)
ホープ役はキムジヒョンさん
K役はキムギョンスさん
マリー役はキムボギョンさん
過去ホープ役はイイェウンさん
ベルト役はジヘグンさん
カデル役はバンジョンモさん
この再演ペアは20-21シーズンでも映像化されていて映像では視聴済みではありました。
しかし、観劇おたくって映像と生の舞台がまったく別物であり生の舞台に勝るものはないんですよね(笑)
一応、映像は観てはいましたが今回がお初です。
まずはホープ役キムジヒョンさんから
キムジヒョンさんは劇団四季で金志賢さんというお名前で知られている
日本のミュージカル界では大変有名な方だそうです。(今はJ.Kimさんと改名?され相変わらず日本でご活躍中だそう^^)
韓国人初の主席俳優としてライオンキングやCATSなどものすごい公演数出演された方だそうです。
残念ながら日本の公演界にうといのでジヒョンさんをこのホープで存じ上げました。
とにかく素晴らしい経歴をおもちのジヒョンさん
再演の時も観に行きたかったのにまさかのコロナで公演中断...!
閉幕を延長し公演再開はされてましたが私が都合つかず観られず仕舞い...ようやくジヒョンさんを観に行けるチャンスをこのたび掴んだのです!
ジヒョンさんのホープは、戦争PTSDがひどく警戒心のつよい野良猫のようなホープでした。
そして内面がとても繊細で純粋で綺麗なホープ。
芯はとても強いのに、ポッキリ折れてしまい傷を治せないまま78歳まで生き抜いてきた
そういうおばあさんな姿でした。
ジヒョンさんを映像でみていた時に이 동네 미친년 호프(この街の気狂いホープ)で見事に足をあげ
優雅に踊っていらっしゃるのを観てびっくりしました。
歌が上手い俳優さんは星の数ほどいる韓国ミュージカル界ですが
踊りまでできる主役級俳優さんは...ん?んんん?んー?な世界です。
その世界でタイトルロールを演じる女優さんがきちんと踊る...いやいやショックなんてものじゃありません!
やはり、劇団四季というアジア最大の劇団は凄いところなんだなぁと思いました。
今回も映像で観た足をあげるところや開脚前屈して手にあごをのせ歌ってらっしゃるんです
いやいやいやいや...韓国でこんなパフォーマンスする主役いませんよ!(笑)
もうこれだけでノックアウトです^^♡
歌はジヒョンさん特有のソウルフルな声もたくさん聴けましたが
再演映像に比べたらだいぶ今風(?)の柔らかい唱いかたに変わっていて私はちょっと残念でした。
でもやっぱり声もすごく素敵。
유산(遺産)というナンバーではメモ書きのような母マリーの遺書を裁判の証拠として提出しますが
裁判長に棄却されてしまいます
そして悔し涙を浮かべながらジヒョンさんの声を最大限いかした圧迫感ある歌を聴かせてくれるんですが
これ映像の数億倍、劇場で聴くともどかしく悔しい気持ちが伝わってきます。
あんた達にはわからない これは私が受け取った遺産
あんた達にはわからない これは私が受け取った贈り物
あんた達にはわからない これは私が生きてきた証
あんた達が持って行く資格はない
すごい説得力なんです
他人から見たら法律に基づいたら証拠に満たないメモ書きでも
ホープにとってはれっきとした母マリーの遺書なんです
ここでこれだけ泣いたのは初めてでした
K役はキムギョンスさん
かなーり昔に拝見しとても素敵な役者さんだと思っていましたが全くご縁もなく何年ぶりかですが相変わらず素敵な役者さんでした
ギョンスさんのKもまた映像と全然ちがくて...
このホープという作品はミュージカルですが演劇に近くさらに台詞や歌詞の言葉が演劇並みに感情を揺さぶるすごい脚本なんです
だから演じてる役者さんがいち公演、いち公演
台本の言葉に影響をうけ日々演じる役への感情が変化していく天然酵母みたいな生きているミュージカルです
外国人の私が韓国語で聞いてこれだけ言葉に揺さぶられているので
韓国語を母国語とした役者さんにとっては細胞に言葉がしみて更に揺さぶられてるんだと思います。
再演で撮影したこの劇場版の時からこの日までもギョンスさんもジヒョンさんも
公演のたびに言葉が細胞にしみわたり演技が変わってきたんだろうなと感じました。
ギョンスさんのKは穏やかであたたかい
そして、私が知る限り唯一のホープ=KではなくKは別人格でKに意志がありKだけの感情を抱く演技をされていました。
映像でもなんとなくそんな印象はうけましたが
実際に観てみたら、ギョンスさんのKは生まれた時から人間の感情や言葉を学び成長していくKだったんです
原稿として生まれた瞬間、生の喜びを感じたり
生みの親に読まれない本などないほうがマシだと拒絶される悲しみ
絶望のなか極端な選択をした親とその原因だと非難される苦しみ
ベルト、マリー、ホープと三人の人生を狂わすもどかしさ悲しさ
ギョンスさんは全て演じてくれます
また8歳のホープが戦争から避難するために避難トラックへ乗る間
何も分からず母マリーと一緒にお出かけだとはしゃいでいるホープをみて
一緒にニコニコ笑いながらはしゃぎ跳び跳ねて...
ユダヤ人収容所で凄惨な労働を強いられているホープ達親子を見て恐怖、不安を学び
正気を失いはじめ壊れていく母マリーをみて戸惑い
これは始まりなんかじゃない
ちょっと立ち止まっただけ
どんでん返しはいつも最後にあるもの
と、生死の間にいるなかでも強く生き抜こうと歌うホープの言葉にあわせ
口を動かしながらKは学びます
そしてこの言葉はクライマックスにもう78歳だ、やり直すには遅すぎると泣くホープに
頑張ったね
十分だよ
生き抜いた
まだ遅くない
と歌い
始まりなんかじゃない
ちょっと立ち止まっただけ
どんでん返しはいつも最後にあるもの
と、口に手をあてながらなぞるようにして歌いホープに笑いかけるんです
ユダヤ人収容所の絶望のなかで幼いホープが生き抜くために自分を奮い立てていた言葉を原稿として近くで聞いていて
その言葉を78歳のホープに「返す」んです
そしてKの判決
「これによりエバホープの人生はエバホープに返す判決を下します」
この言葉のつなげ方は天才的としか言いようがなく椅子に座っているのに
泣き崩れそうになりました...^^
それくらい見事な演技でした。
ギョンスさんのKは自らの意思でホープの横にいて
ホープが原稿(K)を手離し、幸せになれるよう全身全霊で支えてきた
誠実なホープの友達になりたかったようなそんなKでした。
ジヒョンさんはそんなKを受け入れたことは一度もなく
自らを罰するために幸せになってはならないからとKをそばに置いて
Kが手離せ、と自分のために言ってるのを知りながらもKにも仕返しせずにはいられないような
もどかしい憎しみを抱いていたなと感じました。
自分を罰するためにKをそばにおき
そして이 동네 미친년 호프(この街の気狂いホープ)という不名誉な居場所を受け入れているホープに対し悲しそうに見て
誰かの基準になるために自分の日常生活を諦めちゃダメだよ
日常生活を諦めたら人生をダメにしてしまう
だから日常を人生を諦めるな
そうずっとKは励ましていたのです
判決を聞いたジヒョンさんのホープはアハハハと清々しい笑い声をあげます
そして、子供のように手を大きくKにふり大きく息を吸って勇ましく法廷を去ります。
そんなホープにやっぱり子供みたいに嬉しそうに大きく手をふり
でも、ほんの少しさみしげに涙をこらえながら締めの言葉を告げます。
ホープは自由を手にし、Kは友達を失ったように
-終-
もう一度、ホープが去った法廷の出口をながめぎゅーっと原稿を抱き暗転
今まで観てきたKとまた違う解釈で観るミュージカルHOPEは
とても温かく切なかったです。
ホープが屈託のない笑顔でKに手をふる
初めてホープがKと友達になったようなこのクライマックスの結び方は
今までにない余韻を与えてくれました。
とてもほっこりしました。
これでホープ、K役の基本ペアでの観劇が終わりました。
いよいよミックスです(一般人には理解不能なおたくの癖)
限られた時間のなかで頑張って(?)観劇します!
あまりMDは買わないおたくですがこのキーリングは素敵で買ってしまいました