韓国ハデスタウン ソウル千秋楽を観ました。
2回目の観劇です。
本当はもっと観たかったくらい久しぶりに私的大ヒットなミュージカルだったんですが
ビリーエリオット観劇に忙しく体ひとつしかないことを恨みました(笑)
キャストは推しのチェ・ジェリムさん以外は前回と違うキャストで観劇出来ました。
オルフェウスはチョ・ヒョンギュンさん
エウリディケはキム・ファニさん
ヘルメスはチェ・ジェリムさん
ペルセポネはパク・ヘナさん
ハデスはジ・ヒョンジュンさん
この初演キャストはどのキャストで観ても最高と言われていたので
本当にどなたで観ても良かったのですが
ハデス役のキム・ウヒョンさんとヘルメス役のカン・ホンソクさんは残念ながら観られなかったけど今回ちがうキャストで観られて嬉しかったです^^
オルフェウス役のヒョンギュンさん
ガンヒョンさんのオルフェウスと全く違うオルフェウス像で素敵でした
人間離れした歌唱力のあるガンヒョンさんは涼しい顔をしてさらりとオルフェウスの高音を歌い上げていましたが
ヒョンギュンさんはとにかくひたむきで一所懸命な高音なんです
純粋な青年の人間の限界をこえて発するような高音をまっすぐに歌われていらっしゃるので
観ている側の感情をより揺さぶってきます。
ヒョンギュンさんのオルフェウスはより繊細でより壊れそうな脆さが美しい青年でした。
おそらくオルフェウス中一番年上だと認識しておりますが一番若く幼い印象かなと思います。
ファニさんは星の王子様、キンキーブーツ、そしてこのハデスタウン3作目の観劇となりますが
表情が豊かでまわりの役者さんとの呼吸のあわせかたがとても丁寧で大好きな役者さんのひとりです
スハさんの傷だらけの勝ち気なエウリディケ像と違いもう少し素直で健気さの目立つエウリディケ像でした。
私が観たガンヒョン×スハ、ヒョンギュン×ファニは組み合わせ的にベストな印象です
逆ペアもみたかったな~というくらい
この4名は本質部分のちがうキャラクターを演じていらっしゃったので
「結末は知っていても...」向かう余韻は全く違っていておそらく物語をしめるヘルメス役のジェリムさんとホンソクさんでも
見え方、捉え方、余韻は全く違っていたのだろうなと感じます。
本当にこの作品面白い
ミュージカル好きのツボ全てをおさえ、何より役者ごとで見え方が変わってくる最高の作品です
ビリーエリオットもクライマックスのビリーとマイケルの子どもたちが
その日の組み合わせ、その日感じるもので迎える結末が変わり
今回も60回観ましたが一度たりとも同じ結末がなくその余韻が好きで通いました。
ハデスタウンも同じ系統の作品ゆえ私の性癖にささり大好きな作品なんだと2回目の観劇で確信しました。
ヘナさんのペルセポネはまずは歌が圧倒的...余裕綽々でヘナさん流にアレンジして歌われていて耳が幸せ
歌が上手い方はこの歌だけで全てをかっさらいますよね...
ソニョンさんの強みは全幕をとおしてキャラクターの感情を物語のなかにうまく編み込んでいき観客の集中力をぐいぐい引っ張っていくところだと私は思っていて「信じて観る俳優さん」です
ヘナさんは歌い出した瞬間から全観客の集中力をぐいぐい自分の方に引っ張っていき
その豊かな歌のテクニックで観客を意識朦朧とさせ物語のなかに放り込むような上手さがありやはり「信じて観る俳優さん」です
ハデスタウンのキャスティング発表のときジェリムさんより嬉しかったこのお二方の名前
どちらの役者さんで観てもいい、じゃなく
どちらの役者さんでも観なきゃならないです
ヒョンジュンさんのハデスはバリトンボイスが轟きめちゃくちゃハデス~って感じですごく素敵でした。
ただ私の耳が低音に弱くいい声なんだけど聞き取れない...^^;
韓国のかたなら大丈夫だろうし耳のよい方なら大丈夫なんでしょうが
私の耳が良くないので聞き取りに苦労し...ごめんなさいな状態でした...
幸い、2回目の観劇だし内容はだいたい把握してるから思い出しながら聴いていましたが
私は歌詞や台詞が聞き取れないとミュージカルに没頭できない不器用なおたく体質なので(雰囲気だけで楽しめるタイプではなく内容を理解して楽しみたいタイプ)
ヒョンジュンさぁん、ごめんなさい~でした^^;
私はハデスとペルセポネの地獄の中年夫婦の可愛さが好きなので
ハデスの萌え台詞が聞き取れないって言うのは私にとっては致命的で...スミマセン、修行します...、
ビリーにくるって結局2回しか観られなかったジェリムさんのヘルメス
ホンソクさんのヘルメスが大好評だったのでホンソクさんのヘルメスも本当に観たかった...
ジェリムさんのヘルメスは非常にアイロニックで現実主義
淡々と事の成り行きを見守り観客に語りかけます。
9月に観たときはオルフェウスとエウリディケの行方をどこか楽しんでいるような印象もありましたが
今回はすこしばかり感情移入されていたのか
オルフェウスに決して振り返ってはならないという時の頼みこむような祈るような言い方が
妙に人間っぽくて「結末を知っている」がより輪郭をもち切なさが増したなと感じました。
ヒョンギュンさんの「있었구나...」は息をのみ深い後悔をにじませたいいかたで
ファニさんの「그래...오~르페우스...」は慰めるような言い方でした
そのあと無表情で語るジェリムさん
結末を知っていても、悲しいものだと知っていても
次は違う物語になるかもしれないと期待し
また歌うだろう
そんな歌詞を伴奏なしで歌い上げます
作品のメッセージである「希望」を力強く歌うのですがそこにヘルメスの感情が前回と今回で違う印象でした
ジェリムさんのヘルメスもまた公演回数を重ねて同じ歌を歌いながら毎回「希望」を求めていたのかな、と感じ鳥肌が立ちました
結末を知っていても
再び歌を始めること
今回は違うと信じること
ハデスタウンという誰もが知るオルフェウスの悲劇
なぜ、いまミュージカル化したのかヘルメスが朗々と歌い上げる瞬間にわかります
会場全体の空気がはりつめ静かに涙を流します
いま必要なのは希望だと
人間が悲劇を繰り返すことを眺める神たちは冷酷だけど希望は捨てません
良い作品だなぁと感じました。
この日、韓国ハデスタウン初演の劇場であった駅三LGアートセンターは22年の歴史を終え閉館しました。
場内アナウンスが名物であったLGアートセンターは他の劇場とは一味も二味も違うおたくたちに愛される劇場でした。
このハデスタウンをみて芸術が続く限り劇場もあり続けるんだなと思いました。
この日、冬がおわり春の暖かい風が吹きました。
劇中、寒さに凍え飢えに苦しむエウリディケが
オルフェウスに早く歌を完成させてと言います。
ソウル千秋楽に春を運んできて、オルフェウスついに歌を完成させたんだねとおたく達は泣いていました。
とてもよく練られたミュージカルでした。
韓国ハデスタウンは大邱公演を終え、これから釜山公演が始まります。
もうすぐ夏
ぜひぜひ釜山近郊のかたいらっしゃったら観に行ってください。
そして早く再演となりますように。
第六回韓国ミュージカルアワーズ大賞はじめ最多部門受賞した作品です。
5月20日から6月5日まで
釜山ドリームシアターで公演あります
観て後悔しない素晴らしい作品なのでぜひ