世界一健康長寿のニライの風来坊

豊饒を齎す理想郷は海の彼方の蓬莱島!ニライの島夢郷!!その桃源郷を求めて南の風来坊は今日も迷走する。

老老介護と茜色の夕焼けこやけの赤とんぼ、そして自殺!

2009年04月28日 | Weblog

施設の許可を得て、久々に認知症の母を連れ出し夕日の見える丘に登っ

た。勿論、介護車・ウイールチエア(車イス)での登頂である。そこから見下ろす

風景は、あの幼少の頃の郷里の原景が彷彿と蘇って来るのを想起させる。見

渡す限り一面に敷き詰められた人家が、人恋しさの郷愁を誘う。あの家では幸

せいっぱいの人々が今日も夕食のテーブルを囲んで話が弾んでいるだろうな

あ、と思うと我が身が摘まされる。人の幸、不幸は誰が決済するのか、あまり

にも不公平ではないのか、そう叫びたくなる心境に駆られる。この母も数十年

前までは健常で気丈な方だった。でも何時の頃からか、お店(日銭店)の収支

決算が出来なくなりガスの消し忘れが、ひどくなった。遂に認知症と診断された

のである。あれから数十年、介護施設を渡り歩き現在の施設にお世話になっ

た。介護士の方々の献身的な世話で、健常の頃の母の姿が、かい間、見られ

る様になった。家族としては大変、有りがたく感謝している。ここの施設に入所

して、良かったと思っている。・・・政治の貧困が齎すものか知らないが“老老介

護”で身も心も疲れ果て一家心中、連れ添いを殺し自分も果てていく、そういう

報道に接する度に我が身も摘まされてくる。そういう事態が、痛い程、よく分か

る。介護、特に“老老介護”の身になってみれば、家族の在り方が問われてく

る。誰が面倒をみるべきか、だとか、親の面倒は兄弟姉妹が平等に世話すべ

きだ とか、・・・骨肉の争いを超えた処に真相は有ると思うのだが・・・。赤の他

人の介護士は仕事だとはいえ、献身的な労苦に頭が下がる。肉親以上に心身

のケアを通して意思の疎通を図っている。“ほんとに、ありがたい”の一語に尽

きる。喧しい世の中に、子殺し、親殺し、肉親殺し、が日常茶飯事的に報道さ

れると、親とは? 子とは? 肉親とは? とあらためて考えざるを得なくなる。

“老老介護”に疲れ果て無理心中を図って逝ってしまった方々、その心中を察

すると胸が張り裂ける思いがする。恩讐、怨讐を超えた処に人倫、人の道は有

る様な気がしてくる。あの夕日に色染めた茜色を視ると 人恋しい 慕情を抱く。

夕焼けこやけの 赤とんぼ が 空に舞う姿からは、“自殺”という字句は見当た

らない。程遠い処にあるからだ。何故に、そう急ぐのか、この人生を、暫し見つ

めて、立ち止まる事は不可能なのか、全ての人に問いたい。人生の終末は誰

にだって何時しか訪れる。その日が来るまで気丈に、健気に、人生を全うする

事を考えようではないか! 命を断つ事を、しばし、待ちたい。 母を、じっと見

つめ、涙が滴り落ちるのを堪え切れず、この母の子として、この世に生を受け

た事を誇りに思った。そういう心境を抱いて帰途に就いた次第である。母よ!

何時までも長生きしてくれ、そういう心境に駆られた現在である。・・・

 


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