WTOの農業交渉、ラミー事務局長のモダリティー(保護削減基準)調停案
では日本の農業は壊滅する。10%から後退し8%を死守するのが当初の案だ
ったはずだ。それが、4%~6%の提示(2%上乗せして6%までは認める、詳
細は略)で更なる後退、日程終了後になっても帰国できない羽目になる。若林
正俊農林大臣と甘利 明経済産業相だ。若林氏は農業品目、甘利氏にとって
は非農産品目が課題(難題)を抱えている。開発途上国は農業分野で先進国
を攻撃する。一方、先進国は非農産品(鉱工業製品)の市場を開放せよ、と途
上国を責める。そういう構図で互いに譲らない。 農業品目と非農産品との鬩
ぎ合いの様相だ。従って日本代表の両氏の主張には相反する局面を有する。
甘利経済産業相は非農産品(鉱工業製品)で一層の市場開放を要求する。そ
れは即、価格競争力に弱い日本農業を攻撃するよう 途上国に けしかけてい
る様な構図だ。従って両氏は各自の省益を克服して日本としての一体で臨む
べきだ。特に日本農業にとっては致命的で存続の危機に瀕している。重要品
目が全品目(1332品目)の4%だとすると、53品目にしかならない。それは
日本農業の壊滅を意味する。現行関税が75%を超える134品目のうち81品
目が重要品目から除外され関税削減が義務付けられる事を意味する。平たく
言えば、重要品目を2%増やせたとしても、その分には低関税輸入枠を国内消
費量の0.5%追加拡大するとの代償がつくことになる。ラミー調停案と日本の
三大優先課題との対比で検討しよう。以下、詳細は略。・・・
――日本の三大優先課題とラミー調停案との対比――
●重要品目・・・
1.数
▲日本の対応方針
□十分な数=10%以上 現在は追加を含め8% 代償には反対
□現行の輸入枠の有無に関係なく各国が自由に指定
▲ラミー調停案・・・
□全品目原則4% 条件・代償付きで2%追加
2.低関税輸入枠の拡大幅
▲日本の対応方針
□空白
□関税削減率が最大の場合は2% 米は更に圧縮できる仕組み
▲ラミー調停案
□関税削減率が最小の場合は国内消費量の4%
●上限関税・・・
▲日本の対応方針
□代償に反対
▲ラミー調停案
□重要品目+全品目の1%は関税100%超を代償付きで認める
※ 何れにしても難しい局面に差し掛かっているのがWTOの現状である。広大
な国土と土地を有する輸出国と微小な島国 日本が対等に渡り合うには、それ
相応の知恵と工夫がいる。今こそ日本農業再生の正念場である。その自覚で
政府は取り組んでほしい。・・・
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