― BBCドラマ “An Inspector Calls” 『夜の来訪者』 が期待以上でした! ―
先日書いた「今後放映予定の英国ドラマ」の中でも書きましたが、是非観たいと思っていた
『夜の来訪者』を視聴しました。
ミステリー専門チャンネルAXNミステリーにて放映されたBBCによる2015年制作のドラマです。
「夜の来訪者」は以前書きました様に イギリスのジャーナリストであり、劇作家であった
J.B.プリーストリーの傑作をBBCが映像化したTVドラマです。
過去にも何度か舞台上演、映像化された事もある様ですが、浅学な為今回初めて内容を
知りました。
原題は ”An Inspector Calls”
監督 : エイスリング・ウォルシュ
出演 : デヴィッド・シュ―リス、 ソフィ―・ランドル、 ミランダ・リチャードソン、
ケン・スコット、フィン・コール他
ストーリー詳細はネタバレになりますのでなるべく触れない様にします。
先ず感じた事は、重厚なミステリー、サスペンスであると同時に 人間の奥底に潜む心情を
細かに表した人間ドラマでもあったと感じます。
見始めた途端引き込まれ 息を飲むようにして見入りました。
物語は、1912年の英国上流階級の屋敷が舞台になります。
情景は ”Downnton Abbey”の雰囲気とそっくりです。 丁度時代設定が同時期なんですね。
ある上流階級の屋敷で 娘の婚約披露夕食会を祝う4人の家族と婚約者の元に 突然グールと
名乗る’警部’が訪れます。
ある若い女性が漂白剤を飲み自殺したと告げ その関係者への取り調べに来たと云うのですが、
家族たちは何故その事件が自分たちに関係あるのか心当たりが無いと彼の云う事を信じようと
しません。
’警部’は亡くなった女性が事細かに記した日記があり 書かれている内容によればそこにいる
家族全員が彼女と何かしらの関わりが有ったというのです。
殆どの部分を談話室で繰り広げられる事情聴取で占められるのですが、かなりの緊張感を
もたらし重厚な舞台劇を観ている様な印象です。
家族1人1人に’警部’が聴取を進めるなか、それぞれが彼女と係った過去の映像を絡み合わ
せながら話が薦められるのですが、次第に事実が明らかになって来ます。
物静かではありながら 有無をも言わせず追い詰めて行く’警部’は一体何の為にここに来た
のか、誰もその名前も聞いた事が無いと云う’警部’の正体は・・・・観るうちに次第に疑問
も大きくなってきます。
上流階級の人間の傲慢、放漫、貧しい労働者階級の事など毛ほども気にしていない故に家族
一人一人の何気ない行為や行動が1人の女性を追い込んで行ってしまった事を理解し始め
全員が動揺する。
人間の驕り、虚栄、疑心暗鬼、エゴ等が追い詰める ’警部’との駆け引きで露わになって来ます。
何のよすがも無い若く貧しい女性が 家族それぞれから受けた痛手にもめげず懸命に生きて
行こうとするも お金も、食べる物も、住む場所も無くなり次第に心を失い 落ちて行き、
生きる張り合いも亡くし 最後は死を選んでしまう経緯は哀れです。
階級制度に対する痛烈な批判、一種の社会批判も覗えます。
そして、全員の告発を終えた’警部’は静かに館を去るのですが、その後のどんでん返し。
そして又それに続く二重のどんでん返し。
最後の大どんでん返しに関する解釈は 色々あると思うし、各人に委ねられているような気も
するのですが、一点、じぇれまいあさんから ’警部’の名前 ”Goole” (グール)には同じ発音の
”Ghoul” と云う言葉があるという事を教えて頂きました。
この”Ghoul”は「食屍鬼、悪霊、又残忍な事をして喜ぶ人」等の意味があります。
作者が意図した事かどうか分かりませんが、これも結末の判断材料の1つになるのかも知れません。
人間の本性を浮き彫りにした珠玉のドラマで 最後まで観たあとフッと息をつきました。
重厚でありながら スリリングでもあり、久々にジックリと面白いドラマを見せて貰いました。
何より、謎めいたグールを演じるデヴィッド・シュ―リスの存在感が素晴らしく、又脇を固め
る役者さん達も英国の演劇界を象徴する様な演技がこの作品に重みを持たせています。
因みに、デヴィッド・シュ―リスは「ハリー・ポッター」のルービンでお馴染み、又 ”The Fifth
Estate”「世界から狙われた男」でニック・デイビス役でも出演していました(って、これは全く
記憶にありません←汗)
尚、原作の戯曲 「夜の来訪者」は
出版社 :岩波書店(岩波文庫)
安藤貞雄訳
で出版されています。 Reviewも多く 良い評価を得ています。
遅ればせながら これから読んでみようと考えています。
以前ご案内しましたが、AXNミステリーで7月30日午後4時15分から放送予定になっていますので
興味ある方は是非ご覧頂きたいと思います。
先日書いた「今後放映予定の英国ドラマ」の中でも書きましたが、是非観たいと思っていた
『夜の来訪者』を視聴しました。
ミステリー専門チャンネルAXNミステリーにて放映されたBBCによる2015年制作のドラマです。
「夜の来訪者」は以前書きました様に イギリスのジャーナリストであり、劇作家であった
J.B.プリーストリーの傑作をBBCが映像化したTVドラマです。
過去にも何度か舞台上演、映像化された事もある様ですが、浅学な為今回初めて内容を
知りました。
原題は ”An Inspector Calls”
監督 : エイスリング・ウォルシュ
出演 : デヴィッド・シュ―リス、 ソフィ―・ランドル、 ミランダ・リチャードソン、
ケン・スコット、フィン・コール他
ストーリー詳細はネタバレになりますのでなるべく触れない様にします。
先ず感じた事は、重厚なミステリー、サスペンスであると同時に 人間の奥底に潜む心情を
細かに表した人間ドラマでもあったと感じます。
見始めた途端引き込まれ 息を飲むようにして見入りました。
物語は、1912年の英国上流階級の屋敷が舞台になります。
情景は ”Downnton Abbey”の雰囲気とそっくりです。 丁度時代設定が同時期なんですね。
ある上流階級の屋敷で 娘の婚約披露夕食会を祝う4人の家族と婚約者の元に 突然グールと
名乗る’警部’が訪れます。
ある若い女性が漂白剤を飲み自殺したと告げ その関係者への取り調べに来たと云うのですが、
家族たちは何故その事件が自分たちに関係あるのか心当たりが無いと彼の云う事を信じようと
しません。
’警部’は亡くなった女性が事細かに記した日記があり 書かれている内容によればそこにいる
家族全員が彼女と何かしらの関わりが有ったというのです。
殆どの部分を談話室で繰り広げられる事情聴取で占められるのですが、かなりの緊張感を
もたらし重厚な舞台劇を観ている様な印象です。
家族1人1人に’警部’が聴取を進めるなか、それぞれが彼女と係った過去の映像を絡み合わ
せながら話が薦められるのですが、次第に事実が明らかになって来ます。
物静かではありながら 有無をも言わせず追い詰めて行く’警部’は一体何の為にここに来た
のか、誰もその名前も聞いた事が無いと云う’警部’の正体は・・・・観るうちに次第に疑問
も大きくなってきます。
上流階級の人間の傲慢、放漫、貧しい労働者階級の事など毛ほども気にしていない故に家族
一人一人の何気ない行為や行動が1人の女性を追い込んで行ってしまった事を理解し始め
全員が動揺する。
人間の驕り、虚栄、疑心暗鬼、エゴ等が追い詰める ’警部’との駆け引きで露わになって来ます。
何のよすがも無い若く貧しい女性が 家族それぞれから受けた痛手にもめげず懸命に生きて
行こうとするも お金も、食べる物も、住む場所も無くなり次第に心を失い 落ちて行き、
生きる張り合いも亡くし 最後は死を選んでしまう経緯は哀れです。
階級制度に対する痛烈な批判、一種の社会批判も覗えます。
そして、全員の告発を終えた’警部’は静かに館を去るのですが、その後のどんでん返し。
そして又それに続く二重のどんでん返し。
最後の大どんでん返しに関する解釈は 色々あると思うし、各人に委ねられているような気も
するのですが、一点、じぇれまいあさんから ’警部’の名前 ”Goole” (グール)には同じ発音の
”Ghoul” と云う言葉があるという事を教えて頂きました。
この”Ghoul”は「食屍鬼、悪霊、又残忍な事をして喜ぶ人」等の意味があります。
作者が意図した事かどうか分かりませんが、これも結末の判断材料の1つになるのかも知れません。
人間の本性を浮き彫りにした珠玉のドラマで 最後まで観たあとフッと息をつきました。
重厚でありながら スリリングでもあり、久々にジックリと面白いドラマを見せて貰いました。
何より、謎めいたグールを演じるデヴィッド・シュ―リスの存在感が素晴らしく、又脇を固め
る役者さん達も英国の演劇界を象徴する様な演技がこの作品に重みを持たせています。
因みに、デヴィッド・シュ―リスは「ハリー・ポッター」のルービンでお馴染み、又 ”The Fifth
Estate”「世界から狙われた男」でニック・デイビス役でも出演していました(って、これは全く
記憶にありません←汗)
尚、原作の戯曲 「夜の来訪者」は
出版社 :岩波書店(岩波文庫)
安藤貞雄訳
で出版されています。 Reviewも多く 良い評価を得ています。
遅ればせながら これから読んでみようと考えています。
以前ご案内しましたが、AXNミステリーで7月30日午後4時15分から放送予定になっていますので
興味ある方は是非ご覧頂きたいと思います。