平行棒

車椅子で病棟をウロチョロするようになったら、だいぶ体が動くようになった気がしました。（本人だけ思っていた）

PTが平行棒を使って立ってみようといいました。オッオッやっとハードなリハビリになってきたと思いました。

PTが平行棒の中で折りたたみ椅子にすわり、私が車椅子で対面しました。立たせてくれるのかなと思いましたが、目がヤレといっていました。両肘を突き、手で棒を握りました。片方の肘で踏ん張り、片手で立ち上がりました。足はプラプラです。やった人はわかると思いますがクタクタになります。リハビリの後もっと楽にできないかと平行棒の前で考えました。

とりあえずやってみようと、両足を「気をつけ」の位置にセットしました。少し遠めに握り、スキーのジャンプのように斜め上に伸び上がるように力を入れたら立てました。４回ぐらい練習したら安定したので次に直立不動の姿勢をしました。

握っていた手の力を徐々に抜きバランスをとる訓練をしました。さすがに手放しはしませんでしたが、親指と中指でつまんだ状態で立っていることができました。これは勝手にやったことです。

車椅子

側板の外れる車椅子を持ってきて「乗ってみましょう」と言われました。まだ一人で起きることができないのに、と思っていると目がヤレといっていました。

電動で体を起こし、その辺のものをつかみながら車椅子のそばまで行きました。足を手で下ろし右手で転落防止柵をつかみ、左手で肘掛をつかみ腰をずらしました。成功しました。以前圧迫骨折のとき車椅子の操作はやっていましたが、体が動かないのでちょっと大変でした。はずした側板でスッテプを下ろし、手で足を乗せました。PTが側板でステップを操作する人ははじめて見たと言っていました。

なんにしても病棟を自由に動き回れるようになりました。

まだこのときリハビリ時間は２０分程度１回でしたのでベッドにいるほうがおおかったと思います。

回復期リハビリ病棟

一般病棟から移ってきました。

師長から説明を受けたあと、看護師から病棟での生活などについて話がありました。もらったパンフレットの最後に赤色でこう書いてありました。今でもとってあります。

「リハビリをするのはあなたです。やる気が一番大事です」

病棟のPTがきてリハビリが始まりました。マッサージ、ストレッチは同じでしたがPTの胸に足をつけて押すのが加わりました。動かない足をどうしろというのかという顔をしたら、目でヤレといわれたのでやりました。何もおこりませんでしたが１０秒ぐらいしたら、足を引っ張り、伸ばして「イィィチ」とかげ声をかけました。
それを片足１０回ぐらいずつやって終わりました。２，３日は半信半疑でやっていましたが、だんだん本気になってきてました。転落防止柵を両手でつかんで満身の力を込めて押すようになりました。

人をやる気にさせるのが上手なPTでした。私自身も根が単純なんだなと思いました。

ウソ

一般病棟最後の部屋はナースステーションから一番離れた部屋でした。入院から２週間ぐらいたっていたと思いますが、担当医師より病状の説明がはじめてありました。レントゲン写真を見せられて、「神経はなるべく傷つけないようにしました」という説明です。グチャグチャの腰椎がハシゴ状の金属で固定されていました。

県立病院では、１回も「一生車椅子」とは言われませんでした。

回診とは別に部長先生が若い医師数名をつれて問診に来ました。足を触って「これわかるか」と２，３回聞きました。「ワカリます」と返事をしました。少し時間がありそのまま全員出て行きました。多分黙って、足を「つねった」と思いました。リハビリをしたいため聞かれると「ワカル」とウソを言っていました。若いお医者さんたち、病状を重く言う「ウソ」以外に、病状を軽く言う「ウソ」も勉強できたと思います。

隣のベッドの人が１階のリハビリ室のほかに、もうひとつリハビリ室があるというので付き添いに内偵させました。報告によると「回復期リハビリ病棟」で評判がいいと言うことでした。早速担当医師にそこでのリハビリを希望しました。案外早く「うん、いいよ」と返事をもらいました。待っている人もいるとも聞いていたので意外でした。「こりゃ失敗したかな」と不謹慎なことを思ってしまいました。

回復期リハビリ病棟（ゴウヨン病棟と呼称されていた）ここで立って歩けるようになりました。

一般病棟はニイヨン病棟と呼称されていました。

リハビリ

看護師に「車椅子で生活できるようにリハビリしましょう」と言われ、１階のリハビリ室から理学療法士が病室に来てリハビリが始まりました。マッサージと足の曲げ伸ばしだけで２０分程度でした。脊損でない人から見ればたわいないように見えるかもしれません。本人には十分苦痛でした。

しばらくすると慣れてきて、「もっとハードなリハビリを」などと勝手なことを思っていました。

このとき、まだ病院から病状の説明はありませんでしたが看護師の言葉に納得していました。

コルセットの型どりを石膏でしたのもこの時期です。３０分ぐらいでしたが地獄のようでした。

看護師の観察のオメガネにかないナースステーションから離れた病室に２回移動しました。

一般病棟

ICUから一般病棟へ移されました。ナースステーションの隣の部屋でした。４人部屋だったみたいですが、１人でいました。段ボール箱などが置かれており普段は物置に使われているようでした。

しばらくすると向かいの４人部屋に移されました。そのとき初めて電動ベッドに寝かされました。何を大げさなと思いましたが、体調のよいとき転落防止柵に両手でつかまり体を起こそうとしました。動くのは「手」と「首」だけでした。

本気でリハビリをしないと「寝たきり」だと思いました。

このときはへそから下の感覚がありませんでした。

雑談

日曜日ですので、少し雑談です。

このブログに「奇跡」「サプライズ」はありません。

公立病院でおこなったリハビリしか書きません。たぶん皆さんが受けているリハビリと大して変わらないと思います。年月がかかりますが、毎日少しずつ、少しずつやっただけです。

私は大金持ちですが（ホントか）、お金を使うのがイヤです。「特別」「あなただけ」などといわれてお金を使うのは特に嫌いです。特別なリハビリはしていませんし、リクエストもしていません。

ICU

福井県立病院のICUでのことです。

広い部屋に横一列にベッドが並んでいました。隣との仕切りもないところで付き添いの看護師が言いました。「映らないけどテレビ見る？」テレビをつけるとさっぱり見えません。アンテナが悪いのはわかりました。こういう世界もあるのだなと、緊張感が取れたのを思い出します。テレビをやめてラジオをつけてもらいました。

このときは胸から上の感覚がありました。リハビリすれば悪くとも「車椅子」だなとのんきに考えていました。

病院

ほとんどの方が病院を選べないと思います。最終的に搬送された病院で、入院、治療、リハビリをされると思います。

日本の医療レベルは低いので、海外の病院という方がおりますが、お金がかかります。私は１回１００円の労災病院が好きです。最終的には自己負担３０円ぐらいです。安いから大したことないと思うのは、多分、間違いです。

入院先の退院が決まったので６００Km以上離れた自宅近くの労災病院に転院しました。
在宅リハビリの指導を受けたのですが、「ツボ」にはまったというか、「ドンピシャ」のリハビリ方法でした。

おかげさまで「ツエ」なしで歩けるようになりました。

装具

装具というのかは、わかりませんが、コルセットだけ作りました。今は使っていません。これ以外装具はありません。

リハビリに使用したもの

電動ベッド　　　　　　　　リモコンで背中が起き上がる

車椅子　　　　　　　　　　側板が外れる

平行棒　　　　　　　　　　握るタイプ　今は手をつくタイプがでていますね

ブレーキ付き歩行器　　すぐれものだと思います

ロフストランドクラッチ

こんなものです。すべて病院にあったものを使いました。退院時にロフストランドクラッチを一対一万円程度で購入しました。現在は長距離を歩くのがわかっているときだけ使っています。

費用

私は健康保険でリハビリしました。

病院で制度等を教えてくれると思います。

現在、労災病院で在宅リハビリの指導を受けていますが、１回１００円程度です。
高度な医学、豊富な経験でリハビリをしています。リーズナブルだと思います。

いろいろ不安なこともあると思いますが、脊損をあつかう病院はかぎられていますので、相談されるのがよいと思います。

はじめまして

第一腰椎脱臼骨折のリハビリの思い出です。

このブログはリハビリを勧めたり、サプリメントを紹介するものではありません。

リハビリの成果は、入院した病院、在宅リハビリを指導された病院、損保のリサーチの方に、認めていただいたので私自身は十分満足しています。

脊損のリハビリはデリケートな問題ですので、やってみようと思う方のヒントになればと思い書いてみます。