知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

不競法2条1項1号の他人の商品等表示

2010-09-30 22:01:52 | 不正競争防止法
事件番号 平成20(ワ)25956
事件名 不正競争行為差止等請求事件
裁判年月日 平成22年09月17日
裁判所名 東京地方裁判所
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 大鷹一郎

 ところで,不競法2条1項1号は,不正競争行為として,「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し,又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供して,他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を規定している。

 同号は,他人の商品表示(商品を表示するもの)又は他人の営業表示(営業を表示するもの)であって,「需要者の間に広く認識されている」もの,すなわち,他人の周知の商品表示及び営業表示(他人の周知の商品等表示)を保護するため,商品主体の混同を生じさせる行為及び営業主体の混同を生じさせる行為を不正競争行為として禁止する趣旨の規定であり,同号の商品表示は,商品の出所を他の商品の出所と識別させる出所識別機能を有するものであることを要すると解される。

 商品の形態は,本来的には商品の機能・効用の発揮や美観の向上等の見地から選択されるものであり,商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが,特定の商品の形態が,他の同種の商品と識別し得る独自の特徴を有し,かつ,その形態が長期間継続的・独占的に使用され,又は短期間でも効果的な宣伝広告等がされた結果,出所識別機能を獲得するとともに,需要者の間に広く認識されるに至ることがあり得るというべきである。

 このような商品の形態は,不競法2条1項1号の他人の商品表示として需要者の間に広く認識されているものといえるから,同号によって保護される他人の周知の商品等表示に該当するものと解される。

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