七福神の一つとして、商売繁盛や豊漁の神様として日本各地で祀られる「えびす様」。かつて熊本市内でも旧暦もしくは新暦の10月20日に「えびす講」という祭りが各町内で行われていた。なかでも熊本市中央区坪井の「坪井恵比須神社」は城下町で最も古い歴史を持つ「恵比須神社」。しかし、現在は駐車場の奥に押し込められた状態でお気の毒な有様。ここの「えびす講」は、地元の呉服屋が「えびすぎれ」といって反物の安売りを始めたのが起源だという。今日も行われている「上通並木坂えびす祭」はその流れを汲むものなのだろうが、祭りを見ていて「えびす様」の影はどこにも見当たらない。しかし、そんな中でも「舞踊団 花童」の子たちが繰り広げた和楽の調べと日本舞踊は、かつての広丁や通町の賑わいを髣髴とさせ、きっと「えびす様」もニンマリとされていたにちがいない。
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