徒然なか話

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ここ見て! ~新町シャッターアート~

2024-08-28 11:11:12 | 熊本
 熊本中央郵便局(熊本市中央区新町2丁目)の前を通られる方はご覧になったことがあるかもしれない。道路を挟んで向かい側の博栄堂印房さんのシャッターには舞台の上の女性らしき絵と「清正舞わせり 出雲阿国」という文字が書かれている。しかし、シャッターが降りているのは営業終了後か休業日なので意外と見たことがないという方が多いようだ。これは新町のシャッターアート・プロジェクトの一つとして描かれたもので、江戸時代前期に書かれた加藤清正の伝記である「続撰清正記」の中に記された「塩屋町三丁目の武者溜りで八幡の国という女歌舞伎が興行をした」という故事に基づいたものである。この「八幡の国」なる女歌舞伎は後世の人々に「出雲阿国」と呼ばれたその人なのである。そして「続撰清正記」に書かれた「塩屋町三丁目の武者溜り」があった場所がまさにこの辺りなのである。


博栄堂印房さんとシャッターアート


シャッターの左側に描かれた「出雲阿国」


シャッターアートのもとになったと思われる「阿国歌舞伎図(一部)」


「続撰清正記」にはこう書かれている。
--八幡の國と云歌舞妓女肥後國へ下たる事
其頃八幡の國と云ややこを下し熊本の鹽屋町三町めの武者溜りにて勧進能をいたし其能の跡に歌舞妓をして家来の諸侍は銀子一枚宛出し桟敷を打て見物し地下町人は八木(米)を持来て鼠戸の前に市をなし押合々々見物したり・・・--

 この辺りは「船場柳御門」があった場所で、熊本城下の南東、船場橋から山崎町方面を監視する関所門で番所が置かれ、門の前には勢屯(せいだまり)があった。この勢屯に小屋掛けしてまず勧進能が行われ、その後に阿国歌舞伎が行われたという。