徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

熊本城修復のあり方

2021-10-26 18:43:13 | 熊本
 今朝の熊日新聞に「熊本城を歩く」と題した特集記事に城郭考古学者として有名な千田嘉博先生の熊本城復旧についてのインタビュー記事が掲載された。千田先生は熊本城文化財修復検討委員会の委員も務めておられるのでとても興味深く読ませてもらった。
 なかでも極めて注目すべきは、国重文である宇土櫓周辺の石垣の復旧に関する話だ。石垣に大きな変形が生じており、櫓だけではなく石垣も解体修理すべきという意見もあったが、現在は「はばき石垣」と呼ばれる石垣の外側にさらに石垣をかぶせるように築いて安定させる工法が有力だという。「はばき石垣」工法については2年前あたりから新聞記事等で目にするようになったが、江戸時代から何度も地震に見舞われた熊本城には「はばき石垣」で修復した石垣が何ヶ所もある。例えば下の写真の「櫨方三階櫓跡」の石垣などである。たしかに「はばき石垣」で修復する方が現実
的なのかもしれないが、あの美しい曲線の宇土櫓石垣の美観が損なわれはしないか。それが気になるのである。

 8月、千田先生が熊本城石垣修復と発掘調査の現地視察に来られた。宇土櫓前の発掘調査に参加している家内たちのところへやって来て、「ご苦労様です!」と声をかけられたそうだ。












はばき石垣。櫨方三階櫓跡(現加藤神社)の石垣


「はばき(脛布)」というのは脚絆のこと。上の早乙女たちの下肢のように脛に巻きつけて紐で結んだ布のこと。