徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

那須高原の冬

2020-01-25 22:50:55 | 
 テレビで北国の積雪のニュースを見ることが多くなった。30数年前、栃木県の那須にいた頃の冬のことをよく思い出す。最初の冬は車で雪道を走るのが恐かった。当時は冬はスパイクタイヤが使えたし、チェーンも常備していたが、それまで雪道を走った経験はほとんどなかったので無理もない。それでも徐々に慣れて行った。そのうち子どもたちを連れて鶏頂山や那須山にスキーをしに出かけるようになると全く怖さを感じなくなった。
 ある年の冬、那須高原にあった会社保養所から同僚と二人での帰り道、雪の坂道で車を停め、困り果てている様子の親子4人連れに出会った。父親と大学生か高校生の男の子二人が、車の脇にチェーンを拡げたものの、どうしていいのか全く分からずお手上げの状態だった。聞けば、横浜からやって来たが、夏タイヤのままなので、もうこれ以上は無理だと、チェーンの装着を始めたのだという。それはさぞお困りでしょう、というわけで、僕と同僚の二人で代わりにやってあげることにした。実は僕もチェーンを装着したのはそれまでに2、3回しかなかったのだが、この同僚が経験豊富な人で、実に手際よく作業を進め、あっという間に装着が終った。横浜の親子4人は何度も頭を下げながら目的地へ向かって発車した。もし僕一人だったら、おそらく何倍もの時間がかかったに違いないと、走り去る車を見ながら冷や汗をかく思いがした。ニュースを見ながら、そんなことを思い出した。


冬の那須山