徒然なか話

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「集団行動」ブーム!?に想う

2012-10-25 19:45:53 | スポーツ一般
 日体大の集団行動がテレビで紹介されて話題を呼び、中学校や高校のコンテストも行われるようになり、一つのブームになっているようだ。
 なぜ今、集団行動なのか。まぁ、今のブームは集団行動の本質的なことよりも、交差歩行などの高難度のパフォーマンスをやってみたいという、いわば集団ストリートダンス的なとらえ方だと思われる。けっしてそれが悪いというのではなく、そういう入り方もありかなと思う。
 僕が30年近くいたブリヂストンという会社は面白い会社で、今から40数年前、ちょうど東京オリンピックが終わった直後から、社員教育の一環として「企業内体育」を導入した。まず東京オリンピックの近代五種監督を務めた古賀信男さんという体育の専門家を招いた。この方は元・帝国陸軍軍人で初期の自衛隊体育学校教官を務めていた気合の入った方。この頃の日本は高度成長期の真っ只中で、ブリヂストンも国内各地に新しい工場が次々と建設されていた時期だった。いきおい大量の若者が入社してくる。それを生産現場で統制のとれた集団とするためには体育を使うのが一番、と経営トップが考えたと聞いている。そして久留米工場に「体育研修所」なるものが作られた。この「体育研修所」がまず手始めにやったのは、各工場各工程にリーダーを育てることだった。その記念すべき第1回目の研修に僕も参加した。科目の中で最も重点が置かれたのが集団行動の指揮。基本的には旧陸軍方式だった。約2週間ほどの研修を終えて工場へ戻ると「エライ気合が入ったな!」と冷やかされたものである。しかし、当初は「戦時中じゃあるまいし、今時そんなことをして何になる」とよく陰口をたたかれたものだ。それでも研修を受けたリーダーが1人、2人、3人と増え、朝夕に各工程で集団行動の訓練を始めると工場の雰囲気は徐々に変わって行った。今になって考えると、今日までのブリヂストンの発展を最も力強く支えていたのはこの「体育」そして「集団行動」だったのではないかと思うことがある。


昨年12月11日、熊本県立体育館で行われた日体大の「体育研究発表実演会」の模様