徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

山路を登りながら、こう考えた。~草枕の世界~

2024-04-17 21:08:42 | 文芸
 「山路を登りながら、こう考えた。」
 これは漱石の「草枕」冒頭の有名な一節である。そしてこの山路というのは鎌研坂(かまとぎざか)のことといわれている。熊本市島崎の岳林寺辺りから金峰山に登る最初の険しい山道でもある。
 先月末日に行われた本妙寺桜灯籠を見に行った時、参道の一角で米屋を営む中学時代の親友の家を訪ねた。と言っても親友は11年前に既に他界している。僕がまだ「草枕」のことなど何も知らなかった中学時代、その親友と毎週のように登った山道だ。今日では自動車道が並行しているが、当時は「けもの道」のような山道が一本あるだけ。お互いに母親が作ってくれた弁当をリュックに詰め、一路金峰山を目指した。二人とも大の映画好き。道中は互いに知っている限りのまめ知識を披露し合うのである。当時は西部劇の全盛期で、話題は見た西部劇のストーリーや好きなスターの話ばかり。話に夢中で険しい鎌研坂もあっという間に峠の茶屋へ着いたものだ。2年ほど前、昔を思い出して鎌研坂を登ってみようと竹林に分け入ったのだが、あまりの過酷さに早々に断念した。
 漱石が小天温泉を目指してここを登った時は五高の同僚、山川信次郎が一緒だったようだが二人の間に会話はあったのだろうか。
※上の写真は「草枕の道」の起点となっている岳林寺
映像は鎌研坂で撮影したものです。


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