こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

生産者からの売り込みが始まった

2010年09月20日 11時27分50秒 | Weblog
メールで、販路を探している生産者から、「自分のお米を買ってもらえないだろうか」という、問い合わせが来るようになってきた。

毎年の事なので、とくに目新しいことではないのだが、メールを読むと気が重くなってしまうのが、正直いって辛い。

生産者・地域農協・全農(経済連)・普及センター・農試センター・市町村・県・米穀店とが一体となって、時代にあった新しいブランド化を目指していくことで、途切れてしまった農業の後継者を、もう一度育て上げていき、その結果、産地の活力を戻していこうと考えている独自のプロジェクトを持っていて、実際に数多くの地域をブランド化しているが、これは地域全体の将来がプラスになることが前提となっていて、つまり、生産者個人との付き合いではないということなのだ。

「地域の農協がだらしないから」「価格が安くて仕方ないから」「流通が見えないから」「こだわったお米だから」など、自分で販売するようになった理由は様々で、どれもこれも一概に否定することは出来ないのだが、だからこそ、「もうちょっと違う角度から見直してみれば」と言いたくなってしまう。

産地に講演に行ったときに、自分は必ず生産者に向かって「10年後に、この地域がどうなっているのかを考えろ。今よりも、さらに寂れているのか、それとも、若者が戻ってきていて、元気になっているのかを考えてみろ」といっている。

お米は1年に1回しかできない作物だから、10年たったとしても、新しく農業を始めた生産者は、たった10回しか勉強することが出来ない。
10回程度で、お米作りのプロになれないことぐらいは、お米を作っている人なら、誰でも判ること。
さらに温暖化の影響で、毎年同じものが作れないし、天候を読みながらの栽培で、全てが未経験の10年間だったはずである。
だったら、今自分たちが、どうすればよいのか、何をやるべきなのかは考えなくても判るだろう。

産地にとって必要なのは「後継者」。
それも産地を大切にしながらも、挑戦心と野心のある若いエネルギーなのだ。
そう、B級グルメで、必死になって地域を元気しようとしている若者たちと同じエネルギーなのだ。

つまり、お米の業界では、既に生産者が、個々で販売している時代ではなくなっていて、地域が一丸となって、一気にスピードを上げて、自分たちの地域を作り変えていかなければならない時代になっていると判ってほしいのだ。

だから、メールを読んでいて、生産者の真剣さは伝わってくるものの、全てお断りしてしまっている。

断るのは辛い。

でも、メールをくれた生産者でさえも、10年後は判らないのだ。
将来が見えないお米の、知名度を上げたとしても、意味は無い。

どうせ知名度を上げるのなら、将来の可能性がある地域のお米にしてあげたいと思う。
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