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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

中国のお嬢様

2010-05-05 11:15:00 | 中国語
 ゴールデンウィークに入ってやっと気温が上昇し、ただ今桜満開。
椿や木蓮、たんぽぽやチューリップも一気に花開き美しい季節を迎えた。

 気の毒にも夫は、人々が連休を満喫している2・3・4・5日は全部勤務日。
夫はお留守だが、しかし私の傍らには中国人留学生のテンテン(仮名)が、一日中しっかりと影のように張り付いていた。

 皆さまにご心配をおかけしたが、テンテンは無事我が家にやって来た。
確かに指を怪我していたが、真相は、ホームスティが決定したすぐ後に、恋人から突然別れ話を切り出され、失恋の痛手で情緒不安定に陥ってしまったらしい。
そんな最悪の状態でホームスティされても困るのだが、彼女なりに私との約束を守ろうとしたのかもしれない。
一日の大半を彼女の失恋話に耳を傾け、慰めの言葉をひねり出すことに専念した。

 どこにも出かけたくないと言うので、電子辞書や筆談を駆使して、ずっとお喋りばかりしていた。
そこで判ったことは、テンテンはとても勤勉で優秀な学生であること。
どんな話題を振っても食いついてくるし、知識が豊富で思考力が柔軟だ。
日本語はまだ充分ではないがとても反応が早く勘がよい。
夫とは毛沢東や文化大革命の話題で盛り上がっていた。

 はたして中国はどれほどお金持ちになったのか、国民の生活はどのような変化を遂げているのか訊ねてみた。
彼女の家の水準は中流の上であるが、両親の年収は昔に比べると20倍に跳ね上がり、マンションは二つ持っていて、車はドイツ製だと言う。
パソコンから彼女の家の写真を見せてもらって驚いた。
家具やインテリアは美しく贅を凝らしたヨーロピアン・スタイルで、写真を見た後は、なんだか我が家がアンクルトムの小屋のように思えてしまったほどだ。

 富裕層の子女たちのほとんどは、ヨーロッパに留学しブランド品を買いあさっているらしいが、テンテンは親の仕送りを最小限に抑えてアルバイトで生活費を稼いでいる。
「20歳を過ぎて親に依存するのは恥ずかしい」
とは中国人留学生たちの一般的な金銭感覚で、この健気さは日本の若者とは大いに異なる。

 両親の教育は大変厳しく、習い事や進路に至るまですべて親に命令・管理され、一切の反抗は許されない。
両親のその強すぎる期待と愛情にはいつもストレスを感じてきたと言う。
日本に来たのは、両親から離れて自分で自分の道を切り開いて行こうと決心したからだそうだ。

 ところで...この食の大国からやってきたゲストに何を召し上がってもらえれば喜んでいただけるのかは、ホストファミリーとしては大きな問題だった。

 料理をしたことがないテンテンは、来日してからはカップラーメンしか食べていないと言っていた。
それではあまりにも可哀想、この機会を利用してぜひ栄養のあるものを食べさせてあげようと考えたのだが......
なんとなんと、このお嬢様は超偏食&超小食。
彼女の口から
米嫌い!肉嫌い!生魚嫌い!乳製品嫌い!甘いお菓子嫌い!
と耳を疑う言葉が次々と飛び出してきたのには仰天した。

 両親は、彼女の食生活の管理はしてこなかった模様で、これは彼女が悪いのではない。
私は用意していたすべての献立を諦めて、うどんとかパスタとかチヂミなどの小麦粉製品の一品料理にメニューを変更した。
しかも小鳥が餌をついばむ程度の量でよいから、食費が全然かからない上に、おかげで私たち夫婦まで少し痩せたような気がする(?)

 「たくさん勉強して日中の架け橋となりたい!スーパーウーマンとなりたい!」
との大きな理想を抱くテンテン。
でもこんな食生活では目標到達の前に身体をこわしてしまう。
もちろん彼女とのお喋りの中で、食への意識を根本的に改善することが最重要課題であることをしつこく教えたが、まさか中国のお嬢様に、そんな話をすることになるとは思ってもみなかった。
 


 
 

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22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新しい家族? (ゆっかりん)
2010-05-05 19:28:08
一生懸命、nihaoさんが日々格闘?している姿を想像してしまいました。ごめんなさーい。

でもきっと、この経験がnihaoさんに楽しく残るよう祈ってますねー。

あ、もうひとつ、テンテンさんの偏食が少しだけでもいい方に向かいますように・・・。
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Unknown (panco)
2010-05-05 20:09:29
まぁ・・・現代っ子なのね。
年頃を考えると日本の子たちも似たようなものかもしれませんね。
まだ若い彼女は、これからもっとたくさんの事を吸収して、いい方向に向いていくと期待しています。
とにかくホストファミリーとしては、偏食を直すことが最重要課題かもしれませんね。
外人って、すべからく天ぷらが好きみたいだけどテンテンは、どうでしょう?
これから大変だと思いますが、nihaoさんも気疲れしないようにがんばってくださいね!!
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ゆっかりんさんへ (nihao)
2010-05-05 22:06:28
日々格闘というよりも......
なんだか力が抜けてしまいました。

人間にとって食事がいかに大切であるかを話したところ
「私はスーパーウーマンになるために頑張っているのだから、食事なんかに気遣いする暇はない!」と言っていました。
「きちんと食事をしない人はスーパーウーマンになんかなれない!」と応戦する私。
実の母娘のようにやりあっています。
結構楽しい。
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pancoさんへ (nihao)
2010-05-05 22:12:31
現代っ子たちの現状は、日本も中国も似たようなものですね。
中国の両親はとても厳しい躾けをしているようですが、せめて食事ぐらいは自由にと甘やかしたのでしょうか?
それにしてもここまで凄まじい偏食は、日本にもなかなかいないような気がします。
事前に会って話し合いをした時は好き嫌いはないと言っていたのですが
最初の日に私が用意した豪華(?)な夕食の食べっぷりがあまりにも悪く、すぐ嘘がばれてしまいました(笑)

実はテンテンは一度だけ天ぷらを食べたことがあるそうですが「天ぷら嫌い!」と言っていました。
なんともハァ~。こうなったら粗食で徹底!
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Unknown (士別)
2010-05-06 08:15:47
優しいね、nihaoさん。
霞を食べて暮らせるんでしょうかね。
そうか、草食なのかな?それとも粗食なのかな?食べる事大好きな私は、人生の半分は損してるのじゃないの?なんて思ってしまいますがね。とにかく食べなきゃ生きていけないと思っている私は信じられない。
大食漢の私は、少食の人は信じられないと思っていました。遊びに来る若い子らが、たくさん食べて、たくさん笑ってくれると、良い子たちと安心している私が居ます。
この、休み中は若い子達が遊びに来てくれ、嬉しい時間でしたが、財布は淋しがって居ます。
でも、延期にはなったけど、来てくれてよかったですね。大好きな日本のお母さんになれるよう、少しだけ頑張ってみてあげて下さいね。
良い子に育ちますよう祈ってます。
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Unknown (京こまめ)
2010-05-06 09:46:36
うちの主人が驚くほどの偏食ぶりですね。 何を作って良いものか・・と悩みますね。
まぁそのうちに馴れて食事の用意を手伝ったり、お里の料理を作ったりしているうちに味見程度からだんだん食べられるようになると思いますよ。
案外満腹感のあるカップ麺を食べなくなるとお腹が空きますから、
思いきって焼肉パーティーなんかをしてみるとどうでしょう。焼肉のたれの味で案外お肉も美味しく食べられるかも。nihaoさんの愛情料理の出番ですよ! 彼女の未来のために頑張ってください。
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Unknown (およよ)
2010-05-06 09:51:07
何はともあれ、無事に到着、良かったデス。
>米嫌い!肉嫌い!生魚嫌い!乳製品嫌い!甘いお菓子嫌い!
ふぇぇ~。。そー言えば・・・私の知ってる中国人も最初は好き嫌いが多くて驚いたけど何年かしたらほとんどOKになってましたね。
カップ麺OKなら麺類、小麦は大丈夫なんですね。それならば、お好み焼き、焼きソバはいかがでしょ?
肉でも魚介類でも小さく切って混ぜ込めばソースの味で食べられます?(@_@;)

中国のどの辺りの出身か判りませんが、肉と言ってもトリ、ブタ、ウシ、ヒツジ…生魚は日本以外ではあまり食べませんし・・・
料理人nihao様の腕の見せどころですね~♪

>食事なんかに気遣いする暇はない
一流の人間になればなるほど食に気を使っているんですけど・・・食事と脳の関係も明らかになって来つつあります。テンテンさんが素敵なスーパーウーマンになれる様「キビシイおかん」になってください。
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士別さんへ (nihao)
2010-05-06 16:08:41
草食系男子に対して粗食系女子。
これは新しい言葉ですね。現代にピッタリ!
でも偏食系男子(女子)はイカンね。
偏食って親の責任だけではなく、その子の体質にも関係してくるとは思いますが、親がきちんとした食生活をしていれば、そのうち子どもも自然に直ってくるものだと思います。
あまり焦る必要はないですね。
でも自宅ではそれでよいけれど、外国のホームスティ先では困ります。
私には彼女の偏食を直す義務はないけれど、食べられないものを提供することは可哀想。
同じようなメニューが続いて、彼女より私の方が先に音を上げることになりそう......
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こまめさんへ (nihao)
2010-05-06 16:19:23
昔は、私の知っている中国人留学生は、みんな料理が上手で、レッスンの合間に料理教室なども開いて教えてくれたものですが、ここ最近知り合った学生たちは全然料理が出来ません。
中国の現代っ子たちは溺愛されていて、親は勉強や習い事には厳しいけれど家事の手伝いはさせないみたいです。
日本の事情と同じですね。
>そのうちに馴れて食事の用意を手伝ったり、お里の料理を作ったりしているうちに
こまめさんが仰る通り、偏食を直す近道は自分で料理をすることだと思います。
台所に立つ気はさらさらないテンテンですが、そこをなんとかして立たせてみようと思います。
私も我が娘に料理をさせなかったんですが、今、すごく反省中。
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およよさんへ (nihao)
2010-05-06 16:28:27
中国人にとって日本料理は淡泊すぎて口に合わないそうですが、テンテンの場合は中国でも食事には苦労していたみたいです。
お米の時には母親はいつも別メニューを作っていたと言っていました。
まんとう(餡の入っていない肉まんみたいなもの)が好きだと言っていたので、レシピを調べてそのうち挑戦してみようかな。
ホントはテンテンが自分で作るのがベストなのですが...
中国米と比べたら日本米は美味しいから、そのうち好きになるかもしれないし、お好み焼きや焼きそばはお助け料理になりますね。
これは小麦粉をたくさん買っておかなければ!

>「キビシイおかん」になってください。
すでにもう、お説教し過ぎていて嫌われているかもです。
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