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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

すっごく村上!

2010-04-05 10:40:00 | 読書

           
        


           『1Q84』 村上春樹 新潮社 2009年5月刊
     
 
 ちょっと旬を外しているが......
徹底的に秘密主義を貫いた売り出し方が話題となり、発売前からベストセラーになるという不思議な現象を巻き起こした作品であることは記憶に新しい。
すでに1年近く経っているが、いまだに図書館では長い予約待ち。
まだまだ先にならないと読むことは出来ないと【うららさん】も言っていたが...

 別に慌てることもないとゆっくり構えていたら、幼馴染みのF嬢が宅急便で送ってくれた。
何やら去年彼女が入院した時に知人から頂いたお見舞い品だったのだが
全然面白くなかった。nihaoちゃんに上げるわ!
220万部も売れた作品だが、誰からもおしなべて愛されるという作風ではない。
売れた数ほど読まれた訳ではないのかもしれない。
村上ワールドを受け入れることが出来なかったF嬢のおかげで、思いがけず『1Q84』を手に入れた僥倖に感謝。

 さてこの作品は、初恋・不倫・新興宗教・DV・虐待・殺人など、多様な伏線が張られていて実に忙しい。
SF風でもあり社会派風でもありミステリー風でもあり悲恋風でもある。
平易な文章なのだが丁寧で奥行きが深く、くすっと笑ってしまうユーモアもあり
その文体だけでも私の村上趣味を大いに満足させてくれる。
性描写も多いが清潔な色気とヘルスコンシャスな村上ワールド。
はたしてどのような世界に誘ってくれるのかという期待感溢れるストーリー展開だった。
なんと4月16日に早くも続編のbook3が発売されるという。
私の予想では、死んだはずの女主人公は実は生きているのではないかと思うのだが外れているか?
いや、これはおおかたの読者も同じ予想をしているだろう。
少々迷ったが早く続きを読みたいので自腹を切って予約してきた。 


 ところで中国人留学生から聞いた話だが...
中国の若者たちの間では村上春樹は大人気だそうで『非常村上』という言葉が流行していると言う。
「非常」は英語ではveryの意味、日本語にすると「とっても村上的」「すっごく村上」という意味になる。
日本でも熱烈な村上ファンを『ハルキスト』などと呼んでいるが
中国では『非常村上』はどのような時にどのような使い方をするのだろう?

 ふとした日常のワンダーゾーンに足を踏み入れた時?...いや、それもそうだが
新鮮な野菜を買い求め、最適なドレッシングについて思いを巡らせる時とか
まめに洗濯したパジャマやシーツや枕カバーを取り替える時とか
清潔な空気が流れる美しい部屋の中で、猫を抱きながら音楽を聴いている時とかなど
ふと「非常村上」と呟いてみたりするのではないだろうか?
あの大きな大陸の若者たちが村上作品からカルチャーショックを受け、外部からの異物を遮断し、自分だけの小宇宙を築き上げようとするライフスタイルに共感を持ったということに、私はとても興味をひかれた。

 それにしても内向的でアレルギー体質の人たちには、なんと快適なライフスタイルだろう。
汚部屋でコンビニ弁当ばかり食べている若者は、決してすっごく村上!にはなり得ないのだ。