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愛の妙薬in盛岡

2010-01-22 12:15:00 | Weblog
                      



イタリアの名門ベルガモ・ドニゼッティ劇場公演『愛の妙薬

 数ヶ月前に手に入れたオペラのチケット。
危うく忘れるところだったが夫から注意されて思い出した。
自分は行かないのに予定表にしっかりと記入していた夫。
それもその筈、この高額チケットは夫の小遣いから出ている。

 昨年10月のウィーンの森バーデン劇場演ずる『ドン・ジョヴァンニ』では
ドン!と序盤に...(Mr.又三郎のオヤジギャグ)から不覚にも居眠りしてしまい、
数少ないオペラ鑑賞の機会をみすみす逸してしまった→【ドン・ジョヴァンニ
今回は絶対に同じ轍は踏めない!

 『愛の妙薬』は、娘から貰ったパヴァロッティ主演のDVDで何度か聴いている。
パヴァロッティが実にはまり役で、可笑しさがこみ上げてくる熱演だ。
内容に関しては、今回は予習をする必要が全くない。
問題は愛の妙薬が愛の睡眠薬になってしまうことだけ。
最近とみに集中力が衰えてきている。
昼寝をして万全の体調を期すべく努めたが、ところが昨日に限っては全然眠くならず途方に暮れた。
仕方がない。後はあるかなきかの精神力に賭けるだけだ。
少しだけお洒落をしなくては......ダウンジャケットを脱いで、着る機会のないまま古びてきたコートを羽織って出かけた。

 『愛の妙薬』は、実にたわいのない喜劇だ。

 [美しく奔放な娘アディーナに恋をした純朴で貧しい青年ネモリーノ。
しかしネモリーノの思いはなかなか彼女には伝わらず、アディーナは職務で村にやってきたベルコーレ軍曹に心惹かれていく。
そこへインチキ薬売りが登場し惚れ薬と称して、ネモリーノにワインを売りつける。
薬売りは「この妙薬は飲んでから一日後に効果が現れる」と言うが、急遽任務地が変更になった軍曹は「今日中に結婚しよう!」とアディーナとの挙式を急ぐ。
それでは薬の効果が間に合わないと焦るネモリーノ。
そこでちょっとドタバタがあって.......
偶然にもネモリーノの伯父が彼に莫大な財産を残して他界する。
たちまち村娘たちの人気者になったネモリーノは、薬の効果を実感する。
一方アディーナも軍曹との婚姻の手続きの直前にネモリーノへの真実の愛を悟り、二人はお互いに本心を打ち明け永遠の愛を誓うのだった。]

 インチキな薬が、本当の『愛の妙薬』になったという単純なお話で誰もが楽しむことが出来る。
上演時間も2時間とあまり長くはなく(ドン・ジョヴァンニは3時間!)、楽曲はどれも美しく心地よい。
劇中ネモリーノが歌う『人知れぬ涙』は、テノール用のアリアのなかでは最高傑作と言われている。
思わず在りし日のパヴァロッティを思い出し切なくなった私。

 ベルガモ・ドニゼッティ劇場の出演者さんたちはサービス精神が旺盛で、劇中ところどころで
「オ金アリマスカ?」「オ金アリマセ~ン!」
「オーケストラ、スタート!」「コ悪魔チャ~ン!」
などと日本語の台詞で笑わせてくれた。
厳寒の夕べに、なんともホットな大サービスだった。

公演終了後、みな口々に「面白かった」「よかった」と笑顔で言っていた。
今日のオレ、超感激!
と喜んでいた若い男の子の姿がとても印象的だった。