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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

食欲のない男

2010-01-08 14:45:00 | Weblog
 年末は、いつものメンバーで麻雀大会を二度開いた。
二度ともnihaoの圧倒的勝利で非常に気分がよい。
年が明けて、大敗を喫したM嬢から
  [誘ってよ がま口開けて 待っている]
川柳もどきのメールが届いたが、まったく懲りない女だ。

 年末の麻雀大会では、二度ともM嬢が食事の用意をしてくれて大いに助かった。
M嬢は肉・魚嫌い、K君は野菜嫌いと二人とも偏食が激しいので、食事を提供する私はいつもメニューに苦しむ。
二人とも車でやって来るのでお酒は出さない。
毎回食事とお酒を出していたら、いくら主催者側の私が頑張っても足が出る。
しかも禁煙という健康麻雀。ここでも喫煙者は時流に逆らうことが困難となっている。
「禁酒・禁煙の麻雀なんて地獄だ!」.....陰の声が聞こえてきそう。

 ところでメンバーのK君
口は悪いが心根の優しい、とても頼りになる友人だ。
夫と同級生とは思えないほど若々しく、毛髪もふさふさとして豊か。
しかも特別なダイエットもエクササイズもしていないのに、長年にわたって超スリムな体型を維持している。

 一緒に食事をするようになって気がついた。 K君は異常に食が細い。
我ら三人が猛然と食欲を競い合っている隣で、いつもつまらなさそうに食べている。
その姿は食事があたかも苦行のごとき様相で、見ているだけで気の毒になってくる。
何事にも興味津々で真実を解明しなくては気の済まない私たちは、思い切ってK君の食生活の来歴を尋ねてみた。

 K君の不幸は、超料理下手の母親の元に生まれた日から始まるというから、その根は深い。
生まれてからこの方、母親の手料理を美味しいと思ったことが一度もないと言う。
舌が慣れてきてからも、「どこの家でもこんなものだろう」と諦めることが出来るようなレベルではなかったらしい。
どんなに空腹な時でも不味さは変わらず、K君にとっては、食事の時間は苦痛以外の何ものでもなかった。
しかも皮肉なことに、晴れて結婚した彼女も母親に輪をかけた料理音痴。
同居婚だったので嫁が姑から学んだ味は、さらに拍車をかけた酷さだった。
60年間にわたる不幸な食生活で、K君は食への興味・関心を完全に喪失したと言う。

 K君の話を聞いた私たちは同情を禁じ得なかった。
常ならば他人の不幸は蜜の味とほくそ笑む我らだが、あまりにも辛く悲しい告白だった。
食欲を満たすことは人生最大の至福。
食の楽しみを謳歌できる我らはなんと幸せだろう。

 しかし今や肥満や成人病の恐怖と戦いながらも、結局は食欲に負け、満腹になってから自己嫌悪に陥るという愚行を繰り返している我ら。
片や食の楽しみと引き替えに、絶対に太らない身体を手に入れたK君。
食欲が全く存在しないという仙人のような体質のK君の話を聞いて、なんだか羨ましくなってしまったのも事実だ。