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元祖・弁当男子

2009-07-05 09:20:00 | おすすめ記事
 最近、職場に手作りのお弁当を持参する弁当男子の話題をよく耳にする。
小遣いの節約や健康管理のためには望ましい現象だ。
自分の弁当を写真入りで紹介する弁当男子のブログもたくさんあるから、日本の男子もずいぶん変わったものだと驚く。

 我が夫も今年から弁当男子となった。
母親や妻の手による弁当持参者も、男子弁当部の準会員扱いぐらいにはしてくれるらしい。
バス通勤なので手荷物は持ちたくない、でもカロリー過多になる外食は避けたいというので、小さめのおにぎり弁当にしているが自家製の梅干しが大活躍だ。


 私は学校給食の恩恵を全く受けることなく小中学校時代を過ごした。
その頃既に児童・生徒の健全な発達と食生活の改善を目的とした学校給食法が制定され全国に広がっていたが、我が辺境の生地にまではなかなか浸透しなかった。
残念ながら脱脂粉乳を飲んだ経験もない。

 当時はみんな貧しかったし、母親たちも生活に追われて多忙だった。
冷蔵庫がないから食品のストックもなく、毎日おざなりの弁当を持たされていたので、お昼の時間が待ち遠しくてたまらないということはあまりなかった。
児童たちはみな粗末な弁当の中味を見られたくない一心で、弁当の蓋で手元を隠して大急ぎで食べていたという哀しい記憶だけがやけに鮮明だ。

 同じクラスにマサカツちゃんという乱暴で嫌われ者の男子がいて、席替えで隣同士になって我が身の不運を呪ったことがある。
マサカツちゃんの弁当は、いつも麦ご飯に醤油をかけただけでおかずが入っていることは決してなかった。
貧しい生活ぶりを窺うには余りある弁当で、子ども心に私の胸は痛んだ。
お昼になると元気がなくなるマサカツちゃん、彼もまた元祖弁当男子だった。
中学卒業後は離ればなれになったが、一度だけ青森駅のプラットホームでばったりと鉢合わせしたことがある。 

              
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 夏休み帰省を終えて東京に戻る途中の私。
一目でそれと判る暴力団構成員風の二人の男と同伴の彼。
互いに時間が止まったかのように5・6秒じっと見つめ合った。
当時から彼の将来を予測してはいたが、見事に的中した衝撃と驚愕。
脳裏に醤油かけ弁当が鮮やかによみがえった。
何か言いたそうにしていたが、急に目をそらし背を向けて去った彼。
でも私はマサカツちゃんの声を確かに聞いた。
そして私の祈りも彼の胸に届いたはずだ.......

毎日旨いモンが食えるようになったから心配するな! 
   おい、俺の分までしっかり勉強しろよ!

マ、マサカツちゃん!命を粗末にしては絶対にだめよ!」 
                           
               (by nihao劇場・青春の門)