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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

女が死んで残すものは?

2009-07-10 10:15:00 | グルメ
           



 今年の我が家の梅は4㎏の収穫があった。
農薬どころか肥料も一切使用していない純然たるオーガニック。
不揃いな小粒たちだが、私の目には翡翠のように愛しく映る。
既に6月末に市販の梅を2㎏買って梅漬けにしているので、こちらの方は梅酒にしょうか梅ジュースにしようかなどあれこれ悩むのも楽しい。

 この時期になると、我が主婦ブログ仲間たちの間で必ず話題になるのが梅干しの仕込み。
umiさんやうららさんやすずめさんは、毎年10㎏以上の大量の梅を仕込むと言うから驚く。
しかも一度に漬けないで[5㎏・4㎏・3㎏・2㎏....]というように、手間をかけて小分けにして漬けるというから、梅干し初心者の私は更に驚く。

 なぜそんなに大量に漬けるのか、なぜ小分けにして漬けるのかという私の素朴な疑問にumiさんが答えてくれた。
小分けにする理由は、労力の軽減と、例え失敗したとしても他の梅漬けに波及することを防ぐため(なんと賢い!)
大量に作って保存する理由は、将来歳をとって何も作れなくなった時に、せめて梅干しだけでも自家製であって欲しいとの願いを込めて(なんと用意周到!)
現存する最古の梅干しは室町時代だというから、梅干しは人類最強の保存食なのだ。

 母が亡くなる前年、我が家の梅の木が20㎏の豊作を提供してくれたことがあり、半分を姑に、残りを母に宅急便で送った。
翌年母は急逝したが、荷物を整理していたら台所の隅で保管されていた梅干しを見つけた。
ひっそりと冷たく息づきながら主を待ち続けていた梅干しの甕。
元気になって自宅に戻ることを信じて疑うことがなかった母の無念を知らされたような感じがした。

 梅干し作りの達人だった姑もまた、自宅に置き去りにしてきた梅干しのことを、病床でいつも気にかけていた。
あまり何度も言うので、姑の家に行って探して持ってきたらやっと安心して嬉しそうな表情をした。
毎年この季節になると、我が家の梅の出来高を私以上に心配していた姑。
姑もまた肝心のレシピを私に伝えることなく亡くなり、私はいまだに上手に梅干しを作ることが出来ない。
 
虎は死んで皮を残し、人は死んで名を残し.......
  『女は死んで梅干しを残す(by nihao)』
私もいつ体調を損ねるかわからない。
昨日収穫した梅は、やっぱり全部梅干しにしておこう。