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愛を読む人

2009-06-24 09:15:00 | 読書



 『朗読者』 ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳
  新潮社発行 2000年4月

 出版後5年間で世界20ヶ国で翻訳された現代ドイツ文学の世界的ベストセラー小説「朗読者」
一昨年ブックオフで手に入れ読んだ後は、感動というのか、やりきれない気持ちというのか、ショックというのか......2・3日はボーッとなって作品世界を引きずっていた。






 そして↑映画化され19日から公開となった『愛を読む人』
年上の女性ハンナ(ケイト・ウィンスレット)に一目ぼれした15歳のマイケル(デビッド・クロス)
二人は21歳の年齢差を超えて愛を育んでいく。
ハンナはマイケルに愛を教え、マイケルはハンナに物語を読み聞かせる。
大胆だが美しいベッドシーンに目を瞠る。

 ハンナには絶対に明かせない秘密があり、それは作品中ところどころに伏線が張られてはいるのだが最後になるまで分からない。
少年の日の恋、突然の別離、思わぬ場所での再会.......30年の時を経て、成人したマイケルのハンナへの無償の愛を描いた恋愛映画だが、ドイツの戦後の葛藤・ホロコースト裁判も作品の重要なモチーフとなっている。
映画は原作の雰囲気を壊すことなく、しかも原作よりも解りやすい。
二人の心情に謎の部分が残るが、それは見た者が自分で考えていく問題なのだと思う。


 「人はなぜ恋愛小説を読むのが好きなのだろうか?

 45年前、我が郷里の公民館で『氷点』の作者・三浦綾子さんが講演中に聴衆に問うた。
当時中学生だった私の考えた答は......恋愛は、誰もが経験するとても身近の出来事だから......だった。

 しかし三浦綾子さんの答は私の予想を覆すものだった。
「恋愛はとても珍しいことなのです。
したくてもなかなか出来るものではないのです。
だから人は限りなく恋愛小説に憧れるのです。」
 
 三浦さんのお話は、恋愛を難しく定義づけたものではなく、人ははたして、一生でどれくらい恋愛が出来るだろうかという、回数や質の表層的な意味合いのお話をされていたのだと思う。
巷では毎日恋愛が生まれ毎日消える。それでも......
恋愛はとても珍しいことなのです」 
なるほどなと、今の私ならよく理解出来る。
恋愛小説を読んだ後は、なぜかいつもこの言葉を思い出す。