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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

交響詩『カッコー』

2009-06-12 10:10:00 | Weblog
 雨に煙った窓外の景色は、後期印象派の絵画のようにくすんでいる。
一向に初夏らしい季節とはならず、寒い寒いと呟いているうちにもう梅雨入りした。
それでも時々、遠くの森の奥から郭公の鳴き声が聞こえる。
「カッコー、カッコー」と鳴くのは雄。
「ピピピピピ」と追いかけて鳴くのは雌。
他の鳥たちも負けじとさえずり、まるで天空のシンフォニー。
こんなに美しい楽曲は、一日中いや一年中でも聞いていたいのに、交響詩『カッコー』は残念ながらすぐ終章を迎える。
           
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 『明け方の夢

 [三十代半ばの私、子どもたちがまだ幼かった頃住んでいた家の中。
毎夜飽きずに寝顔を覗き、しっかりと瞼に焼き付けておこうと誓いつつ、すっかり忘れ去っていたあどけなく愛らしい子どもたちの顔がそこにある。
何が嬉しいのか、満面の笑みをたたえて子犬のように駆け回る子どもたち。
ふと窓の外を眺めたら........
お隣やお向かいやご近所の奥様たちが一カ所に集まって、何故かみんなで太極拳をしている。
ゆっくりと大きく空をかき分ける動作を、不思議な美しい景色のようにみとれる私。
よく知った顔が一人一人順番でズームになる。
皆とびっきりの笑顔を浮かべ、きれいで幸せそうで若々しい。
懐かしい!駆け寄ってみんなに声をかけたい!
しかし側にいったら拒まれるような、根拠のない疎外感でとても苦しくなる。]

 
 .....と、ただこれだけの夢なのだが非常に寝覚めが悪かった。
古い友人たち総出演のとても嬉しい夢の筈だが、朝からがっくりと疲れてしまい憂鬱な気分に陥った。
なぜ昔の友人たちが全員登場して、これ見よがしの笑顔と若さを発散していたのだろう。
なぜ皆、あんなに輝いて美しいのか?
なぜ皆、あんなに幸せそうに笑っているのか?
なぜ皆、私を拒もうとするのか?

 そうだ! 
私は、はたと理解する。
これはまさに見るべくして見た特別な夢だ。
出来るならこの日を迎えたくはなかったという深層心理が、こんなにも正直に反映することに愕然とはするが。
一年に一度は迎える朝、そして幾度も迎えた朝だが.......今年はパスしたかったの。
2・3日前からリーチがかかりドキドキしていたら、案の定こんな象徴的な夢を見てしまった。
とは言え仕方ないことだ!
失い続けてきたものを悼み、新たな再生を期す誕生日としよう。