日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

ウンベルト・ガリンベルティ講演会 「西洋における身体」に行ってきました(2014.6.24)@イタリア文化会館

2014年06月26日 | イタリア関連の催し
ウンベルト・ガリンベルティ講演会 「西洋における身体」に行ってきました(2014.6.24)@イタリア文化会館


ひさびさのイタリア文化会館のイベントです
 
アニェッリホールのホワイエで開催されましたが 6時まではちょうど開催中の「HAIKU  俳句 ロベルト・デマルキ展」(7/7まで)も見られました


ガリンベルティ教授の頭の中には無限の宇宙が構築されているかのような 完璧な原稿なしの講演 そしてすれらすべてを把握し力強く訳し続ける通訳の方(いつも本当に憧れて見ています...)   
質疑応答も 哲学的な高度な内容のためイタリア人のみでしたが 本当に知の世界に足を踏み入れた刺激的なひとときでした...

哲学なのでドイツ語も少し出てきたのですが その中で今ちょうどレッスンでやっている精神の病気Psicosomatico(心身医学)のことが出てきたのと ドイツ語でLeib(まわりとの関係で生きる身体、Leben生命とも関係する)とKoerper(医学の対象としての身体)の違いを説明してくださったくだりはよくわかりました:

*     *     *


医学にとっては治すべき体、経済的視点からは労働力、宗教的には救済すべき肉体、精神分析学者にとっては解放されるべき無意識、ファッションにとってはマネキン…。
このように西洋では、身体はさまざまな異なった意味をもっています。

本講演ではガリンベルティ氏が、身体のもつ概念の歴史や、身体と魂との複雑な関係について、プラトンからユダヤ・キリスト教文化デカルト、そして現代に至るまで辿りながら、身体のもつ意味を論じます。

*     *     *

プラトンがBC400年に提唱した身体二元論 ギリシャ語では身体は「死体」を表す「ソーマ」という言葉だったこと ギリシャ語のプシケーはホメロスでの「最後の息(respiro)」であり 息をするという意味だったこと 

身体は変化するものであり病にもなり普遍ではないが 「イデア」(観念、思索)は普遍的なものであること 

ユダヤ・キリスト教文化
においてはもともと魂(アニマ)という概念がなく それは4世紀になって導入された しかしもともとはプラトンにおいて 魂は宗教が 身体は医学が統治しており分け合っていたのだから 宗教と科学のあつれきはないはずというお話でした

西洋の医学では corpo(身体)はコミュニケーションの道具であり 物体としての対象ではない 自分は何かの痛みによって自分の身体を認識するが 医者は対象物としての身体を取り扱うため 身体(corpo)そのものは同時に両方の意味を持つわけです 

そして18世紀になり初めて精神の病が発見され 身体には異常がないため理解されず牢獄に入れられた時代であったが 精神分析学者の研究により牢獄からは解放されたものの 今度はまた次の牢獄ともいえる精神病院に入った 
魂も病むのだということがわかり Psychosomatica(心身医学)が生まれた 

身体は記憶する 時間も空間もその人によって違う Io sono stancoとは言うが Io ho il corpo stancoとは言わない それはつまりio(私)は corpo(身体)と同一であるわけです 
また 重病時には自分の身体と 周りを取り囲む世界が壊される状況が生まれます 

日本人は魂と身体を同一と考える文化があります また詩や文学では 言葉で明確には表しずらいanima(魂)がよく使われます 


このように 身体と魂との関係が歴史的にどのような変遷をたどっていったのかを縦横無尽に語っていただき プラトンの言葉を伝えてくださりました 
 
質疑応答も含めてとても高度な内容のためついてゆけず(通訳は完璧でしたが) それでも同じテーマに取り組んでいらっしゃるイタリア人の方々との質問ややりとりを目の当たりにできたことは幸運でした 


* ドイツ語検定に日々取り組んでいたため 検定終了後2日目にようやくひさびさに参加したイタリア語での講演会でした なつかしいイタリア文化会館...  


開催のお知らせは こちら

*講演会を開催していただきましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます

*もうあのザッケローニ監督の声を聞くこともあまりなくなるのですね~寂しい~




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