軍用リチウム一次電池は、長期にわたり多くの爆発事故を起こし、国防部が保管マニュアルを整え、代替品の開発に着手したほど危険性が広く知られている。

2024-06-27 08:46:29 | しらなかった
 

リチウム電池、爆発・火災が頻発…

工場には「熱感知装置」一つなかった=韓国

登録:2024-06-25 19:31 修正:2024-06-26 11:43

 

軍用リチウム電池が爆発、軍ではすでに対策作り 
零細納品業者は監督の死角地帯…安全装置不備 
「サーマルシステムがあったら大型被害を防げたはず」
 
 
25日、京畿道華城市西新面のリチウム電池工場の火災現場で、消防隊員が追加で発見された遺体を収拾している/聯合ニュース

 24日に起きた京畿道華城市(ファソンシ)の工場の火災は、業者が製造していた軍用リチウム一次電池から発生した。軍用リチウム一次電池は、長期にわたり多くの爆発事故を起こし、国防部が保管マニュアルを整え、代替品の開発に着手したほど危険性が広く知られている。しかし、軍の保管マニュアルなどは納品業者にまでは届かず、ついに大型惨事につながった。

 25日のハンギョレによる取材の結果、リチウム一次電池はエネルギー密度が高く、使用可能な温度範囲が広く、1990年代から韓国の国防通信装備によく使われようになった。軍では保管または使用中だったリチウム一次電池の爆発事故が絶えなかった。昨年、共に民主党のアン・ギュベク議員室が陸・海・空軍と防衛事業庁傘下の国防技術品質院から確保した資料「ここ3年間(2021年1月~2023年9月)の韓国軍リチウムバッテリー爆発・火災事故および対策現況」によれば、軍で3年間に31件のリチウムバッテリー爆発事故があった。

 事故が相次いだことで、国防部は2020年頃、リチウム一次電池の保管倉庫の温度・湿度を一定に維持するよう恒温恒湿機を設置し、爆発の兆候を事前に捉えるためにサーマルカメラを設置するなどの対策を推進すると明らかにしている。国防部はこの日、「リチウム一次電池の倉庫に恒温恒湿機、火花・煙自動感知システムなどが設置されている」として「(バッテリー不良による)2次被害はなかった」と明らかにした。

 今回の事故現場にもサーマルカメラなどリチウム火災感知のためのシステムが用意されていたならば、大型の人命被害を防ぐことができたと指摘されている。あるリチウムバッテリーメーカーの関係者は「24時間継続して製造過程中に熱をチェックする感知器が、我が社には数多く設置されている」として「(リチウムの特性上)華城工場の火災のように一旦火が広がったら鎮火は不可能だ。感知器をたくさん設置しておかなければならない」と話した。

 華城工場では22日にも小規模な火災があった。電池メーカー「アリセル」のパク・ジュンウォン本部長はこの日の記者会見で「当時、作業者が不良セルと認知して不良品処理用『フードボックス』(覆い付の箱)に入れてあった。火災に対して安全に対処し、処理した」と説明した。リチウム一次電池の特性上、小規模な火災はたびたび発生するという意味と思われる。

 監督の死角地帯に置かれているという指摘が相次ぐと、政府は代表的なリチウム一次電池メーカーを訪れ、安全点検を進めた。産業通商資源部はこの日、報道資料を配布し、「消防庁と電気安全公社、ガス安全公社などと共にリチウム一次電池事業場を訪れ、安全点検を実施した」と明らかにした。政府は「バッテリー産業現場安全点検タスクフォース(T/F)」を運営する計画も明らかにした。

 リチウム一次電池メーカーの零細さも管理の困難さを増大させている。韓国交通研究院のイ・ジュン研究委員は「リチウムを扱う零細企業が京畿道だけで約3500カ所ほどあると理解している」として「零細業者等がリチウムを扱っているため、関連規定を強化しようとする動きを規制と認識するケースが多い」と伝えた。政府は一次電池業者の現況を把握するのも困難な状況だ。

イ・ジヘ、チェ・ウリ、キム・ギョンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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メイセルの関係者は25日のハンギョレの電話取材に対し、「我々は派遣手数料のみを受け取って人夫(労働者)を派遣しており、(労働者に)作業を指示したこともなく、労働者の顔も知らない」と述べた。

2024-06-27 08:37:53 | 韓国を知ろう
 

「顔も知らずに送った」…

韓国の工場火災で死亡した外国人労働者「違法派遣」の可能性

登録:2024-06-26 07:56 修正:2024-06-26 09:12
 
爆発事故「アリセル」2階所在「メイセル」 
派遣法上「違法派遣」に当たる可能性 
アリセル側、「派遣」「請負」右往左往
 
 
25日、京畿道華城市の一次電池メーカー「アリセル」の工場火災現場で警察、消防、国立科学捜査研究院などの関係者が合同鑑識をおこなっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 京畿道華城市(ファソンシ)の工場火災惨事の犠牲者のうち18人が移住労働者であったことが明らかになった中、移住労働者のほとんどは一次電池メーカー「アリセル」の所属ではなく「メイセル」という会社に所属して働いていたことが確認された。また、彼らの雇用関係は「違法派遣」だとみられる。

 メイセルの関係者は25日のハンギョレの電話取材に対し、「我々は派遣手数料のみを受け取って人夫(労働者)を派遣しており、(労働者に)作業を指示したこともなく、労働者の顔も知らない」と述べた。メイセルは爆発事故が発生したアリセルの工場の第3棟2階に所在し、「一次電池製造」などを事業目的としている会社だ。

 これは元請け会社のアリセルの説明と相反する。アリセルのパク・スングァン代表取締役とパク・チュンオン本部長はこの日の記者会見で、亡くなった移住労働者について「人材供給業者から供給された派遣職」だと述べたかと思えば、「請負(業者に所属する労働者)」だと述べるなど、見解が右往左往している。また、移住労働者に対する業務指示は「派遣業者がおこなっていた」とも述べている。

 しかしメイセルの関係者は、「アリセルに入ることもできず、盆正月に会社の幹部たちから贈り物をもらう時以外は行くこともない」とし、「派遣業者が現場の労働者に業務指示をしていたというのはうそ」だと反論した。そして「携帯電話のショートメッセージで通勤バスの乗車位置を案内し、その後、アリセルに到着したらアリセルの管理者に引率されて働く。それがすべて」だとし、「アリセルから何人か送ってくれと言われれば送り、業務が未熟だということで交換してくれと言われれば交換していた」と述べた。

 メイセル関係者の主張どおりなら、メイセルとアリセルは派遣事業主と使用事業主の関係に当たる。メイセルは移住労働者をアリセルに派遣し、派遣労働者はアリセルの指揮・監督に従って働いていたのだ。しかし製造業の生産工程は、「派遣勤労者の保護などに関する法律」が認める派遣業種ではないうえ、メイセルは勤労者派遣事業許可を受けておらず、派遣法上「違法派遣」である可能性がある。

 メイセルは外国人求人・求職ポータルに求人公告を出しており、移住労働者を日雇いのかたちでアリセルに派遣してきたという。仕事に応じて流動的に人材を用いることがアリセルの目的だったとみられる。しかしメイセルは、派遣した移住労働者を労災保険にも加入させていなかった。

 この日、共に民主党のパク・ヘチョル議員が勤労福祉公団から提供を受けた資料によると、メイセルには労災保険加入者が1人もいない。メイセルは4月までは「ハンシンダイヤ」という社名で同じようにアリセルに労働者を派遣していたが、ハンシンダイヤの労災保険加入者は韓国人3人、外国人2人のみ。労災保険は国籍を問わず全員の加入が義務付けられている。

 アリセルのこのような雇用構造は、労働部の調査の対象になるとみられる。労働部の関係者は、「(アリセルとメイセルの関係が)請負関係だと断定するのは不適切な状況」だと述べつつ、「今後、調査を通じて派遣なのか請負なのかを確認する計画」だと語った。

パク・テウ、キム・ガユン、キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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