ひとまずプーチン大統領と金委員長が4時間近い会談の後の共同メディア発表で、同協定に「『侵略された場合の相互支援』条項が含まれた」と発表したことから、朝ロ密着はさらに強化されたものとみられる。

2024-06-20 11:18:17 | 朝鮮を知ろう。
 

朝ロ超密着、「同盟」には温度差…自動軍事介入の復活は不透明

登録:2024-06-20 06:03 修正:2024-06-20 08:14

 

朝ロ関係の新たな法的文書「協定文」、全文は霧の中 
2000年の新条約も未公開…「同盟」の表現めぐり朝ロの認識の違いも
 
 
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が19日昼、平壌の金日成広場で開かれた歓迎式で並んで歩いている=平壌/ロイター・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日午後、平壌(ピョンヤン)の錦繍山迎賓館で行われた首脳会談で、「反米連帯」を動力に「多極化した新しい世界秩序」を目指す朝ロの「長期関係の構築」を誓った。プーチン大統領の24年ぶりの訪朝を機に、朝ロ関係を再設定した「包括的戦略パートナー協定」(協定)がそれだ。

 金委員長とプーチン大統領が再設定した新たな朝ロ関係の内容については、まだ正確に把握できない。朝ロ関係の新たな法的基盤文書の役割を果たす「協定」の全文が公開されていないためだ。

 ひとまずプーチン大統領と金委員長が4時間近い会談の後の共同メディア発表で、同協定に「『侵略された場合の相互支援』条項が含まれた」と発表したことから、朝ロ密着はさらに強化されたものとみられる。プーチン大統領は「韓米日軍事演習の拡大は地域の安全保障を脅かし、平和を弱める」と述べた。金委員長も新協定は「平和的かつ防御的」だと主張した。

 カギとなるのは「相互支援」の具体的条件と内容だ。今回の「協定」署名以前に両国関係の法的基盤文書の役割を果たしてきた2000年2月19日締結の「友好善隣協力条約」(新条約)も、今回の新協定のようにまだ全文が公開されていない。朝ロ両国はプーチン大統領の2000年7月19日の初訪朝の際に採択した「朝ロ共同宣言」第2条で、「協議と相互協力をする必要がある場合、直ちに互いに接触」することを約束した。一方、冷戦期の1961年7月6日に締結した「友好協力相互援助条約」(旧条約)は、一方が侵略またはその危険に直面した場合、「あらゆる措置を共同で取る義務」(軍事的自動介入)を第1条に明示した。

 金委員長が共同メディア発表の際、朝ロが「同盟関係に上がった」とし、「偉大な朝ロ同盟関係は今日、この場で初めて歴史の錨を上げて出港を知らせた」と繰り返し強調したことから、新協定の方向性は2000年の新条約より1961年の「同盟」条約に近い可能性がある。しかし、金委員長と違って、プーチン大統領が共同メディア発表の間に一度も「同盟」という言葉を使っていない事実も見逃してはならない。対内外的にロシアとの超密着ぶりを誇示しようとする北朝鮮と、韓国や中国など北東アジア周辺国との関係を管理しようとするロシアの認識の相違が明らかになったとみることができる。

 問題は「相互支援」に法的拘束力を持つ「自動介入」義務があるかどうかだ。同じ「相互支援」でも自動介入義務があるかないかの違いは明らかだ。例えば、韓米同盟条約には自動介入義務がなく、朝中条約には自動介入義務条項がある。韓米相互防衛条約は第3条に「共通の危険に対処するために各自の憲法上の手続きに従って行動すること」を明示し、「自動介入」の義務を排除した。「憲法上の手続き」とは、米軍が韓国を支援して戦争行為をするには議会の承認を受けなければならないという意味だ。一方、1961年7月11日に締結された朝中「友好協力相互援助条約」は、「あらゆる力を尽くして直ちに軍事的およびその他の援助を提供する」という文言で「自動介入義務」を明示した。

 韓国国家情報院と大統領府で長く働いた元政府高官は「海外メディアの報道を見る限り、朝ロ新協定は1961年の『同盟』条約より2000年の新条約に近いように思えるが、確実なのは前文を見ないと分からない」と語った。韓国国防研究院のドゥ・ジンホ国際戦略研究室長も「相互支援が直ちに自動介入条項を意味するわけではない」とし、「金正恩委員長は数回にわたり強力な同盟を強調したが、プーチン大統領が同盟という言葉を一度も使わなかった点に注目する必要がある」と指摘した。もし、朝ロ新協定に「自動介入条項」が明示されたとすれば、これは1990年9月30日に行われた韓国とソ連の国交正常化以後、30年以上蓄積されてきた南北ロ3カ国関係を根本から揺るがす恐れがある。

イ・ジェフン先任記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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日本政府の圧力によって世界各地の少女像が撤去の脅威を受けているなか、今回設置される少女像の碑文には、第2次世界大戦時に日本が女性を相手に犯した犯罪に対する責任を明確に問う文言が含められる。

2024-06-20 11:05:50 | しらなかった

イタリア・サルデーニャの浜辺に「平和の少女像」登場

登録:2024-06-20 09:20 修正:2024-06-20 10:11
 
 
ドイツ・ベルリン市のミッテ区に立てられた「平和の少女像」=コリア協議会のウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 地中海を臨むイタリアのサルデーニャ島の浜辺に「平和の少女像」(以下、少女像)が設置される。日本政府の圧力によって世界各地の少女像が撤去の脅威を受けているなか、今回設置される少女像の碑文には、第2次世界大戦時に日本が女性を相手に犯した犯罪に対する責任を明確に問う文言が含められる。

 「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)は22日(現地時間)にサルデーニャ島のスティンティーノに少女像を立てる予定だと、19日明らかにした。少女像はスティンティーノ市が提供した公共敷地に置かれることになる。スティンティーノ市庁から200メートルほど離れた浜辺にあるこの敷地は、毎年欧州や米国から来る観光客で混みあう場所でもある。スティンティーノ市は22日午前11時(韓国時間夕方7時)に除幕式を開催し、リタ・バレベッラ市長はサルデーニャ島の議会で活動中の女性市長を全員招待した。イタリア現地の合唱団が歌う「アリラン」の公演も予定されている。

 少女像が公共の敷地に設置されるのは、2020年9月にドイツ・ベルリンに立てられた少女像以来2度目だ。正義連は「少女像の撤去のための日本政府による全方向的な圧力が続いている今、スティンティーノ市に少女像が建てられるのは、平和と人権のための世界市民の記憶と連帯が堅固だということ」だと明らかにした。

 
 
イタリア・サルデーニャ島スティンティーノ市に広がる浜辺=イタリア観光庁提供//ハンギョレ新聞社

 イタリアに建てられるこの少女像は、碑文を通じて、日本政府が「慰安婦」問題を回避して歴史を伝えようとする試みを妨害している問題も指摘した。「第2次世界大戦時、日本はアジア太平洋地域で数多くの少女と女性を強制的に連れていき軍の性的奴隷にするなど、ホロコーストに劣らない極悪非道な反倫理的犯罪を犯した」として、「日本政府が引き続き『慰安婦』の存在を否定し、ドイツやフィリピンなどの様々な国で平和の少女像を撤去しようとする試みを進めているのは、非常に遺憾なことだ」と書かれている。

 さらに、「日本は女性と人類に対する戦争犯罪を責任を持って認め、そのような残虐な行為を記憶する正しい措置を取らなければならない」と明記した。少女像の碑文は設置した地域ごとに内容が少しずつ違うが、スティンティーノ市は初めて日本の責任を強調した内容を書いた。

 正義連のイ・ナヨン理事長はハンギョレに「各国に設置された少女像の碑文には、日本に関する表現を修正した事例もたびたびあったが、普遍的な女性の人権問題として『慰安婦』問題をみるイタリアの少女像は、現在の日本の態度も指摘している」と述べた。

 今回の少女像の設置は、イタリア市民とスティンティーノ市の努力が結びついた結果だ。日本軍「慰安婦」被害の歴史に接したスティンティーノ市民のロサ・マリアさんが、古くからの友人で女性人権弁護士出身のリタ・バレベッラ市長にこの問題を伝え、少女像設置の議論が進んだ。その後、正義連が昨年12月に少女像の設置を提案する公文書をスティンティーノ市に正式に発送し、少女像を寄付する意向を表明し、1カ月ほど後の今年1月、市議会がこれを受け入れる決議案を通した。その後、市は4月、イタリアの州政府文化財庁で少女像の登録手続きまで終えて、正式に少女像をイタリアに持ってくることが可能になった。バレベッラ市長は18日(現地時間)、地元新聞の「ラ・ヌオバ・サルデーニャ」に「平時と戦時ともに、女性に対する犯罪に対抗して戦う普遍的な象徴となる少女像を受け入れることができて誇りに思う」と述べた。

 
 
                                            平和の少女像=正義記憶連帯提供//ハンギョレ新聞社

 これまで世界各地に設置された少女像や「慰安婦」慰霊碑、平和碑などは30基ほどになる。少女像は2013年に米国カリフォルニア州のグレンデール市立公園の公共図書館前への設置を皮切りに、海外でも建てられ始めた。サルデーニャ島の少女像は海外に設置された少女像として14体目だ。しかし、日本の政府と大使館の組織的な妨害によって世界各国に建てられた少女像が撤去される状況は続いている。2018年12月28日にフィリピンのサンペドロ市の「女性の家」に設置した少女像は、日本の外交的圧力でわずか2日で撤去された

 ドイツでは、少女像の設置を主導した市民団体「ドイツコリア協議会」を中心に、撤去の脅しに対抗して少女像を守る活動が繰り広げられている。2022年7月にドイツのカッセル大学の学生会が校内に設置した少女像「ヌジン(Nujin)」は、日本政府の圧力で昨年3月に大学によって「奇襲撤去」された。これに対して学生とドイツコリア協議会は、ヌジンを元の場所に戻すために署名運動を進め、それに参加した5800人ほどの署名を18日にカッセル大学学長に渡した。

 2020年9月にベルリンの中心地であるミッテ区に設置された少女像も、同じく撤去の恐れが強い。ベルリン地域議会の議員はミッテ区庁に少女像の永久存続を求める決議案を17日に提出したが、可決されても法的拘束力はない。ドイツコリア協議会は8月までに少女像の撤去に反対するミッテ区の住民1000人の署名を集めて区に渡す予定だ。ドイツコリア協議会のハン・ジョンファ代表は「国外で少女像は、『慰安婦』問題によって拡張された戦時性暴行問題や移民に対する人種差別など、様々な痛みを交わす求心点の役割を果たしている」と訴えたが、場所を守れるかどうかはわからない状況だ。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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金委員長とプーチン大統領が再設定した新たな朝ロ関係の内容については、まだ正確に把握できない。朝ロ関係の新たな法的基盤文書の役割を果たす「協定」の全文が公開されていないためだ。

2024-06-20 11:01:13 | 朝鮮を知ろう。
 

朝ロ超密着、「同盟」には温度差…自動軍事介入の復活は不透明

登録:2024-06-20 06:03 修正:2024-06-20 08:14

 

朝ロ関係の新たな法的文書「協定文」、全文は霧の中 
2000年の新条約も未公開…「同盟」の表現めぐり朝ロの認識の違いも
 
 
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が19日昼、平壌の金日成広場で開かれた歓迎式で並んで歩いている=平壌/ロイター・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日午後、平壌(ピョンヤン)の錦繍山迎賓館で行われた首脳会談で、「反米連帯」を動力に「多極化した新しい世界秩序」を目指す朝ロの「長期関係の構築」を誓った。プーチン大統領の24年ぶりの訪朝を機に、朝ロ関係を再設定した「包括的戦略パートナー協定」(協定)がそれだ。

 金委員長とプーチン大統領が再設定した新たな朝ロ関係の内容については、まだ正確に把握できない。朝ロ関係の新たな法的基盤文書の役割を果たす「協定」の全文が公開されていないためだ。

 ひとまずプーチン大統領と金委員長が4時間近い会談の後の共同メディア発表で、同協定に「『侵略された場合の相互支援』条項が含まれた」と発表したことから、朝ロ密着はさらに強化されたものとみられる。プーチン大統領は「韓米日軍事演習の拡大は地域の安全保障を脅かし、平和を弱める」と述べた。金委員長も新協定は「平和的かつ防御的」だと主張した。

 カギとなるのは「相互支援」の具体的条件と内容だ。今回の「協定」署名以前に両国関係の法的基盤文書の役割を果たしてきた2000年2月19日締結の「友好善隣協力条約」(新条約)も、今回の新協定のようにまだ全文が公開されていない。朝ロ両国はプーチン大統領の2000年7月19日の初訪朝の際に採択した「朝ロ共同宣言」第2条で、「協議と相互協力をする必要がある場合、直ちに互いに接触」することを約束した。一方、冷戦期の1961年7月6日に締結した「友好協力相互援助条約」(旧条約)は、一方が侵略またはその危険に直面した場合、「あらゆる措置を共同で取る義務」(軍事的自動介入)を第1条に明示した。

 金委員長が共同メディア発表の際、朝ロが「同盟関係に上がった」とし、「偉大な朝ロ同盟関係は今日、この場で初めて歴史の錨を上げて出港を知らせた」と繰り返し強調したことから、新協定の方向性は2000年の新条約より1961年の「同盟」条約に近い可能性がある。しかし、金委員長と違って、プーチン大統領が共同メディア発表の間に一度も「同盟」という言葉を使っていない事実も見逃してはならない。対内外的にロシアとの超密着ぶりを誇示しようとする北朝鮮と、韓国や中国など北東アジア周辺国との関係を管理しようとするロシアの認識の相違が明らかになったとみることができる。

 問題は「相互支援」に法的拘束力を持つ「自動介入」義務があるかどうかだ。同じ「相互支援」でも自動介入義務があるかないかの違いは明らかだ。例えば、韓米同盟条約には自動介入義務がなく、朝中条約には自動介入義務条項がある。韓米相互防衛条約は第3条に「共通の危険に対処するために各自の憲法上の手続きに従って行動すること」を明示し、「自動介入」の義務を排除した。「憲法上の手続き」とは、米軍が韓国を支援して戦争行為をするには議会の承認を受けなければならないという意味だ。一方、1961年7月11日に締結された朝中「友好協力相互援助条約」は、「あらゆる力を尽くして直ちに軍事的およびその他の援助を提供する」という文言で「自動介入義務」を明示した。

 韓国国家情報院と大統領府で長く働いた元政府高官は「海外メディアの報道を見る限り、朝ロ新協定は1961年の『同盟』条約より2000年の新条約に近いように思えるが、確実なのは前文を見ないと分からない」と語った。韓国国防研究院のドゥ・ジンホ国際戦略研究室長も「相互支援が直ちに自動介入条項を意味するわけではない」とし、「金正恩委員長は数回にわたり強力な同盟を強調したが、プーチン大統領が同盟という言葉を一度も使わなかった点に注目する必要がある」と指摘した。もし、朝ロ新協定に「自動介入条項」が明示されたとすれば、これは1990年9月30日に行われた韓国とソ連の国交正常化以後、30年以上蓄積されてきた南北ロ3カ国関係を根本から揺るがす恐れがある。

イ・ジェフン先任記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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