金委員長とプーチン大統領が再設定した新たな朝ロ関係の内容については、まだ正確に把握できない。朝ロ関係の新たな法的基盤文書の役割を果たす「協定」の全文が公開されていないためだ。

2024-06-20 11:01:13 | 朝鮮を知ろう。
 

朝ロ超密着、「同盟」には温度差…自動軍事介入の復活は不透明

登録:2024-06-20 06:03 修正:2024-06-20 08:14

 

朝ロ関係の新たな法的文書「協定文」、全文は霧の中 
2000年の新条約も未公開…「同盟」の表現めぐり朝ロの認識の違いも
 
 
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が19日昼、平壌の金日成広場で開かれた歓迎式で並んで歩いている=平壌/ロイター・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日午後、平壌(ピョンヤン)の錦繍山迎賓館で行われた首脳会談で、「反米連帯」を動力に「多極化した新しい世界秩序」を目指す朝ロの「長期関係の構築」を誓った。プーチン大統領の24年ぶりの訪朝を機に、朝ロ関係を再設定した「包括的戦略パートナー協定」(協定)がそれだ。

 金委員長とプーチン大統領が再設定した新たな朝ロ関係の内容については、まだ正確に把握できない。朝ロ関係の新たな法的基盤文書の役割を果たす「協定」の全文が公開されていないためだ。

 ひとまずプーチン大統領と金委員長が4時間近い会談の後の共同メディア発表で、同協定に「『侵略された場合の相互支援』条項が含まれた」と発表したことから、朝ロ密着はさらに強化されたものとみられる。プーチン大統領は「韓米日軍事演習の拡大は地域の安全保障を脅かし、平和を弱める」と述べた。金委員長も新協定は「平和的かつ防御的」だと主張した。

 カギとなるのは「相互支援」の具体的条件と内容だ。今回の「協定」署名以前に両国関係の法的基盤文書の役割を果たしてきた2000年2月19日締結の「友好善隣協力条約」(新条約)も、今回の新協定のようにまだ全文が公開されていない。朝ロ両国はプーチン大統領の2000年7月19日の初訪朝の際に採択した「朝ロ共同宣言」第2条で、「協議と相互協力をする必要がある場合、直ちに互いに接触」することを約束した。一方、冷戦期の1961年7月6日に締結した「友好協力相互援助条約」(旧条約)は、一方が侵略またはその危険に直面した場合、「あらゆる措置を共同で取る義務」(軍事的自動介入)を第1条に明示した。

 金委員長が共同メディア発表の際、朝ロが「同盟関係に上がった」とし、「偉大な朝ロ同盟関係は今日、この場で初めて歴史の錨を上げて出港を知らせた」と繰り返し強調したことから、新協定の方向性は2000年の新条約より1961年の「同盟」条約に近い可能性がある。しかし、金委員長と違って、プーチン大統領が共同メディア発表の間に一度も「同盟」という言葉を使っていない事実も見逃してはならない。対内外的にロシアとの超密着ぶりを誇示しようとする北朝鮮と、韓国や中国など北東アジア周辺国との関係を管理しようとするロシアの認識の相違が明らかになったとみることができる。

 問題は「相互支援」に法的拘束力を持つ「自動介入」義務があるかどうかだ。同じ「相互支援」でも自動介入義務があるかないかの違いは明らかだ。例えば、韓米同盟条約には自動介入義務がなく、朝中条約には自動介入義務条項がある。韓米相互防衛条約は第3条に「共通の危険に対処するために各自の憲法上の手続きに従って行動すること」を明示し、「自動介入」の義務を排除した。「憲法上の手続き」とは、米軍が韓国を支援して戦争行為をするには議会の承認を受けなければならないという意味だ。一方、1961年7月11日に締結された朝中「友好協力相互援助条約」は、「あらゆる力を尽くして直ちに軍事的およびその他の援助を提供する」という文言で「自動介入義務」を明示した。

 韓国国家情報院と大統領府で長く働いた元政府高官は「海外メディアの報道を見る限り、朝ロ新協定は1961年の『同盟』条約より2000年の新条約に近いように思えるが、確実なのは前文を見ないと分からない」と語った。韓国国防研究院のドゥ・ジンホ国際戦略研究室長も「相互支援が直ちに自動介入条項を意味するわけではない」とし、「金正恩委員長は数回にわたり強力な同盟を強調したが、プーチン大統領が同盟という言葉を一度も使わなかった点に注目する必要がある」と指摘した。もし、朝ロ新協定に「自動介入条項」が明示されたとすれば、これは1990年9月30日に行われた韓国とソ連の国交正常化以後、30年以上蓄積されてきた南北ロ3カ国関係を根本から揺るがす恐れがある。

イ・ジェフン先任記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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