寄り道 まわり道 遠くへ行く道

新しいことを見つけるって楽しい!

「人びとの関係と暮らしから生まれるコミュニティづくり」シンポジウム

2014年03月23日 | 仕事・研究


昨日、エル・パーク仙台(仙台三越6階)で宮城大学・兵庫県立大学 大学間連携 共同教育推進事業のシンポジウムがありました。一言で言うと「まちづくり」「地域の活性化」についてのシンポジウムです。基調講演は武内和彦先生(国連大学副学長)で、「パートナーシップから生まれる持続可能な地域づくり」と題してお話しされました。武内先生のお話は大変示唆に富んでおり、よく言われる町おこし・コミュニティ形成という課題について、「現実的に成功させるための具体的な方策」がはっきりと示されていました。震災以降、あちこちで展開されてきた「まちの再生事業」は「点」として各地に存在しましたが、地域全体がつながる「面」としての活動には至らず、3年がたって潮が引くように各種支援団体は撤退し、これからまさに正念場というところにきています。しかし武内先生が言われるように、大学・行政・企業・海外の支援者たち、そして地域住民が連携する(パートナーシップ)ことにより、持続可能な社会づくりが可能になってくる。ここに重要なのは実はそこをコーディネートする「個人」であるということが示されていました。つまり地域のキーパーソンが非常に重要だということなんです。私が考えるに、このキーパーソンは地域が持つ課題解決に強い意欲を持ち、人をつなぐ方法を知っており、必要な人材を集めることができる人ではないかと思います。まちづくりには地域行政や法律についても知識が必要ですが、それはそういう人をつなげばいいので、自分で全部持っている必要はない。震災からの復興活動に限らず、地域の力を掘り起こしていきたい各地で活用できる考え方だと思います。活性化に成功している地域には自然発生的にそういったリーダーが存在しているのだと思いますが、今わたしたちが考えているのは、次の世代を担う若者(学生)たちにそういった視点をもってもらい、潜在的な若い力を結集していくということです。そのために大学の教育プログラムにいわゆる「地域学」といったものを取り入れるところが急激に増えつつあります。

基調講演の後は神戸のまちづくり協議会の活動を報告してくださった佐藤さん、気仙沼の復興と自然との共生について話してくださった畠山さん(森は海の恋人副理事長)、私たちがこれから始めようとしている教育プログラムをすでに実践されている滋賀県立大学の鵜飼先生のお話があり、いずれも大変参考になり、勉強になったシンポジウムでした。パネルディスカッションで武内先生が「僕はもう社会と直接つながらない仕事はしないことにした」とおっしゃっていたのは大変心に残りました。私は震災後、学生ボランティア活動のコーディネートを始めた関係でこの事業に関わるようになったのですが、本業とまったく関係ない仕事かつ体系的に社会学を学んだ経験もないため、どのようにかかわっていけばいいのか悩みはつきませんが、これからも地域に貢献できる人を育てる教育の場をきちんと作っていきたいということを改めて思いました。地域というのは小さい範囲ですが、それが集まって日本という国を作ります。私たちはこの国が向かっていく方向を日々心配せずにはいられませんが、最初の一歩はやはり自分の周りから。一人一人が幸せに暮らせる社会というのは実現不可能ではないと、希望をもって進んでいきたいと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2013年度 宮城大学卒業式 | トップ | 次なる卒論 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

仕事・研究」カテゴリの最新記事