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大学の講義について考える

2009年07月19日 | 仕事・研究
最近はどこの大学でもファカルティデベロップメント(FD)というのをやっています。主に授業改善みたいなことをテーマにやってるとこが多いと思います。うちでも今年は授業研究が行われます。症例紹介、、、じゃなくて授業例紹介か、そんな感じですね。で、わたしも5分ほど発表をするように言われました。時間が短いのでたいしたことは話せませんが、自分が講義に対してどのようなスタンスで臨んでいるかというお話になると思います。

私は学部教育では1年生から4年生までの講義を担当しています。基礎ゼミ等はのぞいて書きます。
1年生:動物生産概論(オムニバス、うちの学科では必修)
2年生:動物機能形態学(選択)
3年生:動物機能生理学(必修)
4年生:動物衛生学(選択)
の4つの講義があります。その他に実習もありますが、とりあえず今日は講義の話。

1年生の講義でめざしているのは「自学自習しようという意欲を持たせる」ことです。生物(いきもの)っておもしろいな。もっと深く知りたいな。そういう気持ちを引き出すことを目標にしています。したがって、講義はひたすら「楽しさ」そして「身近さ」を追求しており、自分のこととして学んでいこうという気持ちになってくれればそれでOK.自称「ライブ」の授業です。

2年生の形態学は初めての専門科目。これはぎゅうぎゅうに絞る講義です。徹底的に覚えさせます。毎回テストを行います。それでも私が大学の時に履修してきた内容の半分もやりません。ここは獣医ではないので、そこまではやらないのです。しかしそうはいっても、教科書は獣医学科と同じものを使います。かなり高いレベルをめざしています。少なくとも国立農学部の畜産系にも負けない、ということを目標にしています。

3年生の生理学は必修です。この科目は落とすと卒業できません。しかし3年後期はすでに研究室配属もすみ、それぞれが自分の専門を決めた後です。ですから、「興味がない」という学生も必ずいます。それでも、どんな分野に進んだとしても自分自身がいきものである以上、絶対に押さえておきたい生理学を学ぶということを目標にしています。生理学は本当はかなり難しい学問です。私が大学時代も大変苦労したのです。しかし、必修という性格上、そこまでは要求しません。とにかく、自分のこれからの人生に、健康に、食生活に、きっと役に立つであろう知識の習得をめざしています。

4年生の動物衛生学はその年の話題を大きく取りあげます。今年は新型豚インフルエンザでした。人獣共通感染症こそ、うちの分野の学生がきちんと学ぶべき領域です。こういった感染症は海外から入ることがほとんど。英語での情報がきちんと処理できるよう、WHOやCDCのサイトなどから学びます。最後の定期試験は全部持ち込み可にし、論述形式で各自が自分の考えを時間内にまとめます。

毎年授業にはさまざま工夫をしています。視聴覚もどんどん取り入れています。新聞を一緒に読んだりもします。卒業後に必ず役に立つようにという視点でやっています。大学で学んだことが自分の骨格になるように。ベースになるように。そういう気持ちで取り組んでいます。

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