犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

【日々是好日なり】2百年前の旅

2022年11月20日 | 日々是好日なり
 古文書のつづき。
 寛政9年(1797)、奥能登から伊勢と松坂を旅した人のメモである。

 一 鳥目 百文 一宿 山科屋 四宮村
 一 鳥目 百文    三井屋 横木村
 一 鳥目 七拾二文 一泊り  ・・・・・


 鳥目は、穴の開いた銭のこと。一文銭、四文銭、百文銭。
 寛政年間、銅銭一文は、現価でおおよそ25円。
 百文は、2,500円に相当する。
 食事つきだったとのこと。

 2カ月強の旅だった。
 宿賃だけで60日×100文=6,000文
 一文銭の目方3.75gなので、6,000文の重さは、22.5kgとなる。
 これを持って旅するわけにはいかないので、金貨あるいは銀貨を用意して銅銭は旅先で両替して調達した。
 (つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日々是好日なり】われらの文化を考える

2022年11月19日 | 日々是好日なり
 柳田村で2日にわたり、文化祭が行われた。
 絵画や書などの展示の中で秀逸と感じた作品が2点。

 一点は、村の模型名人が作った「金閣寺」でした。
 木造3階建ての楼閣建築で一層は寝殿造り、二層が書院造り、三層が禅宗様式。
 屋根は、こけら葺きで木の薄板を幾重にも重ねて施工してあり、屋頂に鳳凰が載っている。
 精巧で見事な出来栄え!


 もう一点は、大勢の村の人たちが協力して6年がかりで制作した「鬼の狩衣(カタビラ)」。
 十郎原の日桂神社で毎年実施される弓引き祭りの際に登場する「猿田彦※」の衣装とのこと。
 藤蔓の採取に始まり、煮つめて繊維分を取り出し、撚糸をつくり、伝統的な織機で編んだものだそうだ。




 工業の発達で繊維、繊維を編んだ衣類は容易に手に入る時代であり、衣一枚を大勢が6年もかけて作るというのは、不合理の極みである。
 この不合理こそ、文化の真髄である。
 合理を追求するが、それまでの不合理を積み重ねて記憶することで、本物の揺るぎない文化ができあがる。
 これこそ日本文化である。

※ 日本神話に登場する神、鼻がひじょうに高く、身長はきわめて高く、恐ろしい顔つきをしている。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日々是好日なり】古文書「松茸山の争い」

2022年11月18日 | 日々是好日なり
 古文書の勉強会で今回のお題は「松茸山の争い」だった。
 江戸期の中頃の話(1714年)だが、当時も松茸は人気があったようである。

 当方は、小学生まで田舎で過ごしたので、時期になると近所からおすそ分けがまわってきて、松茸ご飯を腹一杯いただいていた。
 松茸のニュースが溢れても、都会育ちの人びとほど、松茸の対する執着はない。
 だが、町の人びとはいつの時代にもシーズンになると大枚をはたいても食したいようである。

 江戸時代の松茸山の争奪の話である。
 評定所(江戸期の裁判所)への訴状の一部ということだが、
 訴えた原告と訴えられた被告の双方の言い分が書かれていて、
 その一部のお寺さんの言い分のところがテキストだった。
 裁判の際に原告と被告がやり取りする準備書面みたいなものかな?

 「取替證文之事(とりかわししょうもんのこと)」の一部、お寺さんの言い分のところの文面である。
 おおよその内容は以下の通り。 
 ---松茸山をめぐって、お寺さんと近郷の人との利権争い。お寺さんが、この山は昔から支配して松茸を売ったあがりでお寺の修繕のために使っている。
 押し入って松茸を採るという狼藉は許さない、お上のお墨付きももらっている。山へ入ることを禁ずる裁定をくだしてください。
 
 最初の三行目まで
 武州高麗郡横手村瀧泉寺訴上候ハ横手村炭釜
 山之儀従古来瀧泉寺支配候處高麗郷之者共度々
 押入狼藉仕、去ル九月八日大勢罷越松茸番人追散
 ・・・・・・
 
 武州高麗郡横手村瀧泉寺訴え上げ候は、横手村炭釜
 山の儀、古来より瀧泉寺支配候ところ、高麗郷の者ども度々
 押し入り狼藉仕り、去ル九月八日、大勢罷り越し松茸番人追い散らし
 ・・・・・・

埼玉県立文書館寄託「堀口家文書」より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日々是好日なり】信用する社会と信用しない社会

2022年11月17日 | 日々是好日なり
 中国はわかりやすい。
 信用しない。
 信用したくても信用できない国である。
 国が安定して続かない。
 独裁主義で短期では続くが、長期で見るとひっくり返る。
 信用できないのである。

 アメリカもわかりやすい。
 信用しないが信用したい。
 宗教と民主主義はその有力な手段。
 アメリカは民主主義の御本尊である。
 国民は互いに信用しようと苦しんでいるように見える。
 民主主義は長期の安定には有効だが、短期での政権交代は度々起きてひっくり返る。
 不安定になる。 
 信用しようにも安定が欠かせない。

 わが国は信用する社会である。
 ひとえに安定しているからである。
 先の大戦で物理的、精神的に軋轢を受けて復元に難渋しているが、なんとかなるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日々是好日なり】自然信仰

2022年11月16日 | 日々是好日なり
 日本列島を取り巻く自然環境は、地形の変化がほどよく、気候が温暖で住みやすい。
 自然信仰が生まれる環境が整っている。

 古くより山岳信仰が盛んだった。
 なかでも富士山、立山、白山は日本三霊山となった。
 富士山を神体山として祀る神社は、浅間神社(せんげんじんじゃ)であり、総本社は富士山本宮浅間大社である。浅間神社は全国に1300社あるという。
 立山を神体山として祀る神社は、雄山神社である。なぜか、勧請(かんじょう)あるいは分霊(わけみたま)がなく、当地以外に雄山神社が見あたらない。
 白山を神体山として祀る神社は、白山神社であり、総本社は加賀国白山比咩神社である。白山信仰が全国に普及し、白山神社は2700社あるという。

 加賀国に隣り合う能登国の当町では、約100箇所の神社のうち、白山神社が16社である。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする