犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

【日々是好日なり】謡曲「高砂」(1)

2023年05月29日 | 日々是好日なり
 金沢は宝生流の盛んなところで加賀宝生流といわれる。
 謡をならう人も多い。
 奥能登では、輪島の輪島塗関係者の多くがたしなんでいたらしい。
 昔々、全国へ輪島塗を訪問販売してあるく際に必要な嗜みとして茶道、華道に加えて謡曲の心得も必要だったとか。
 だが、輪島塗の衰退と関係者減少に並行して、謡をする人も減ってきたのは残念だ。

 謡う人も減り、謡う機会も減る。
 結婚式では「高砂」が謡われていたが、最近は演歌や歌謡曲か。
 「高砂」は、相生の松の話であるが、※
 目出度いときには、伝統の重みを感じとってもっと謡われてもよいと思うが。
 以下は、よく謡われる「待謡(まちうたい)※2。

  高砂や この浦舟に 帆を上げて※3
  この浦舟に帆を上げて
  月もろともに 出汐(いでしお)の
  波の淡路の島影や
  遠く鳴尾の沖過ぎて
  はや住之江に 着きにけり
  はや住之江に 着きにけり

 この待謡の意味は、
 高砂から舟の帆を上げて月の出とともに満ち潮に乗り、淡路島の島影を見ながら進んでいるうちに早くも住之江に着いた、
 という何とも味気ない内容の詞である。
 だが、意味が分かると面白い。(つづく)

※ 相生(あいおい)の松とは、同じところから生えている松のこと。相老(あいおい)にも掛けている。
※2 待謡(まちうたい)とは、主役(シテ)の登場を待つ間に謡う、短い謡。
※3 浦舟 浦の辺りを往来する舟。浦は、波が静かな入江のこと。
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