◇ 伊豆長岡の「韮山反射炉」を訪ねる
この時期温泉地はつい伊豆に足が向いてしまう。
久しぶりに伊豆長岡温泉を訪れた。古奈温泉、畑毛温泉、長岡温泉と歴史ある温泉があるも
のの中伊豆と呼ばれ内陸部の入りこんでいるせいかいまひとつ盛り上がりが見られない。伊豆
の国市などともっともらしい名に変えてみたものの、街自体が眠っているようで寂しい。
今回は初日は伊豆長岡源氏山の東側古奈温泉にある旅館。蛭ケ小島に流された頼朝が20
年間青年時代を送った地古奈温泉で、頼朝が愛した湯の源泉がある創業100年の老舗だった。
すぐ隣は「湯谷神社」。洞窟風呂というものがあって、異様な雰囲気だった。
第二日目は源氏山の西側長岡温泉。4階の客室から富士山を望める素晴らしいロケーション
の宿だった。庭園野天風呂が素晴らしかった。
宿から北に上って、狩野川放水路を左に見て堤防下の公園にある足湯に入った。常連らしい
お年寄りの仲間に入れてもらって、一緒に脚を湯に入れた。「熱い!」慣れたおじさんは湯口から
離れたところに陣取っている。「そっちは熱いんだよ、こっちに来な」と教えてくれた。隣のおじさん
は湯の中に入った部分が茹でダコのようになっている。足がジンジンしてきた。「やけどするよ」
とおばさんが言ったのでやせ我慢しないで席を移した。
橋を渡って国道を300mほどで左に折れると役1.5キロで「韮山反射炉」に着く。小高い山裾
で、4基の煙突が立っている。高さ15.7m。煉瓦造であるが、のちに鉄骨で補強された。
伊豆長岡駅から1.5キロ 入場料100円 鉄枠はのちの補強用
江川太郎左衛門。江戸幕府の韮山の世襲代官である。先祖は源頼親で第36代江川英龍は
英明の人。渡邉崋山や高島秋帆などを識り、外国勢力から我が国を守るためには品川沖に大
砲台を設け侵入を食い止めなければならないと海防の重要性を主張し、大砲の砲身を鋳造す
る反射炉の建造に着手した。反射炉(Reverberatory furnace)は金属融解のための高炉
であり1849年に江川英龍が実験炉を造り、息子の江川英敏が実証炉を完成させた(安政4年
1857年)。英龍は炉の完成を見ずに逝った。
反射炉自体は鹿児島、佐賀、水戸、鳥取、萩などの諸藩で稼働させた実績はあるが、実際稼
働した反射炉で現存しているのは世界で韮山の反射炉だけである。日本の製鉄技術導入の黎
明期を象徴する重要な資産として位置づけられており、「九州・山口の近代化遺産群」と共に世
界遺産登録の候補となった所以である(2009.1暫定リストに記載された)。
平成27年7月頃の指定を目指しているとのこと。
燃焼後の灰出し口 同左 原料銑鉄投入口 構造説明板
左が銑鉄投入口 右は燃料投入口 鋳鉄取り出し口 煙突高さ15.7m 鋳鉄を用いた砲身
24ポンドカノン砲
製鉄技術のうち溶融法は現在は転炉が主流であるが、青銅製砲身が主流であった江戸時
代にあって反射炉によって均一質の鉄製大砲が量産できたことは画期的なことであった。
「反射炉」は燃焼室で発生した熱(熱線と燃焼ガス)を天井や壁で反射、側方の炉床に熱を集
中させて炉床で金属(鉄)の精錬を行う。反射炉に欠かせない良質の耐火煉瓦は梨本(現在の
河津町)で造られた。
すぐ近くに地ビールの工場とレストランがあり、ちょうど昼時であったため3種類のビールとピザ
を楽しんだ。伊豆ではもう水仙が咲いている。
(以上この項終わり)