セブンイレブンのアプリを立ち上げようとしたら「パスワードを新しくしろ」と強制されました。おそらく「7payの不祥事」で「何かセキュリティーを強くしろ」という上層部からの要望でもあったのでしょうが、今回の不祥事はユーザーのパスワード管理の問題ではないでしょう? いくらユーザーがパスワードを複雑にしても、システムに大穴が開いていたらそんなのは意味がないのです。ほとんど無意味な行動をユーザーに強いるとは、よほどITリテラシーが低い企業なのかな、なんてことを思う今日この頃。
そういえば総務省が「パスワードの定期的な変更は不要」と方針を示したのは、いつでしたっけ? もちろん、総務省のITリテラシーが高いかどうかは、わかりませんが。
【ただいま読書中】『多様性と出会う学校図書館 ──一人ひとりの自立を支える合理的配慮へのアプローチ』野口武悟・成松一郎 編著、 読書工房、2015年、1800円(税別)
本書出版直後の2016年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行されました。そこでは学校で行うべき「合理的配慮」という新しい概念が登場していましたが、つまりは、個々人のニーズを元に、状況に応じた変更や調整を費用などに過度の負担がかからない(合理的な)範囲で行うこと、となります。
「これは大変だ」と思う人も多いでしょうが、学校では普通学級に在籍する生徒で、発達障害(学習障害、注意欠陥多動性障害など)だけですでに教室内に6.5%存在している「現実」を踏まえると、当然してあるべきこと、とも言えます。
日本の学校では「健常児」「障害児」の“二分法"が絶対視されていました。ところが「健常児」の中にも「外国人」「帰国子女」「LGBT」など多彩な(そして、異質ゆえにいじめの標的になる)子供たちが含まれています。それらをすべて受け入れるために「インクルージョン(包摂)」という考え方が志向されました。同時に「ダイバーシティー(多様性の相互受容)」も推進されなければならないでしょう。
……なんだかカタカナがやたらと多いですね。日本語(日本文化)にはまだ馴染みが無い証拠です。だけど社会は「多様性」で構成されています(誰かのクローンで構成されているのではありません)。だったら、学校もその多様性が反映されていないと、おかしいのです。
では、学校図書館は「多様性との出会い」をどのように作り出したらよいのだろうか、というのが本書のテーマです。そこで考えるべきは「資料」「利用者」「支援者」などについてです。
私が特に惹かれたのは「変な大人が若者の生きるストライクゾーンを広げる」(石井正宏/NPO法人パノラマ)の章でした。いや、たしかに「変な大人」なのですが、もし私が引きこもりだったら、こんな人になら相談ができそうだ、と思えましたので。で、私はこういった人になれるだろうか、と思ってしばらく憮然としてしまいました。