【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

博多と小倉

2019-08-15 06:17:30 | Weblog

 昨日のニュースで「台風のため明日の山陽新幹線は、新大阪と小倉の間は全面的に運休」と言っていました。ということは、博多と小倉の間は新幹線が走ると言うことです。40分の距離ですからそれなりに遠いと言えば遠いのですが、一体どんな人が「新幹線があって良かった」と台風の日にこの区間の新幹線を喜んで使うんでしょうねえ? 通勤客は……そもそもお盆だから休みの所が多いでしょうし、観光客は台風だから喜んで移動していることはなさそうです。もしかしてガラガラなのではないか、と思うのですが、乗っている人に「どんな御用でこんな日に?」と聞いてみたいなあ。

【ただいま読書中】『往診は馬にのって ──淡路島をかけめぐる獣医師・山崎博道』井上こみち 著、 佼成出版社、2009年

 淡路島にある親の家畜医院を継ごうと獣医学部を1967年に卒業した山崎博道さんは、修行に出かけた北海道で馬の魅力にやられてしまいます。2年後に淡路島に戻り、仕事は順調でしたが、馬のことが忘れられません。しかし1978年に最初の馬ハナコを手に入れます。馬での往診は、車での往診とは道中が全然違いました。時間はかかりますが、景色はしっかり目に入るし、途中で出会う人たちと会話を交わすことができます。以来、5頭の馬を乗り継ぎ、2004年に現在(本書出版時)の馬フランシスに山崎さんは出会います。フランシスは、マスカット・ピーチ号という名前の競走馬で、なぜか人に愛されていましたが、成績は振るいませんでした。地方競馬で1年半くらい走りましたが結局引退。ふつうならそこで食肉用になる運命ですが、馬主はそれを受け入れたくなく、次の飼い主を探していました。それを聞いた山崎さんはどんな馬かを確かめに出かけます。性格が合わなければ一緒に仕事はできませんから、“お見合い"です。結果は“一目惚れ"。
 フランシスは穏やかな性格の馬です(だから競走馬としては大成しなかったのかもしれませんが)。さらに、おしっこや糞は、自分が決めた場所でだけします(おやおや、馬はどこにでも糞を落っことすもの、と私は思っていました)。
 馬に乗って往診をする姿に見慣れると、淡路島の住民はさまざまな「動物相談」を山崎さんのところに持ち込むようになりました。専門は牛なんですけどね。それでもできる限り対応していくと、やがて診療室はドリトル先生の場面のように。特に野生の鳥が多く持ち込まれるので、治療が終わって飛べるようになるまでの“リハビリ"用に巨大なケージが庭に設置されました。
 馬に憧れる子供たちもやって来ます。そこで、第一・第三土曜日の午前中が「乗馬体験日」となりました。ここからさらに話は発展していきます。馬の回りに集う人々の心や運命が変化していくのです。これは私にとっては意外な展開でした。馬に乗っている人、特に優れた馬に乗っている人には、“普通"のことなのかもしれませんが。