JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

エンゲルスの弱点をマルクスの視点で見直す 古典講座第2巻

2013年11月17日 | Weblog


古典教室第2巻「エンゲルス・空想から科学へ」不破哲三著

 これまでの見解の訂正に「驚き」

 不破哲三さんは、この本での解説について「驚かれ方もあったとおもいます。」と書いていますが、まったく驚いたというのが本音です。何度か読み返してその、深い理解に改めて驚きました。
 これまで、私が理解していた「空想から科学へ」の資本主義の根本矛盾の理解を、「エンゲルスには問題点がある」として、マルクスの視点から見直しています。
 
 すでに問題提起は10年以上前から

 すでに、党の政策提起・実践的には「利潤第一主義」という見方を示していたのですが、今回、直接「エンゲルスには問題点がある」として全面的に、これまでの理解を改めています。
 私が党に入って40年以上理解してきたことへの見直しで、この部分は何度も読み返しました。
 不破哲三さんは、「科学的社会主義を学ぶ」ですでに2001年の段階で、問題点を指摘しており、この時点では私もよく分かりませんでした。
 これまでの、不破哲三さんのマルクス研究のすごさを改めて感じさせる一冊です。

 「社会的生産になっているのに、取得形態は変わっていない」に疑問を提起

 史的唯物論では、生産関係は物質的生産力の発展段階に対応する。生産力の発展に伴い、生産関係との矛盾が社会変革へと人間の意識に反映することです。
 不破哲三さんは、エンゲルスの資本主義的生産様式の矛盾の分析について、成功していないときっぱり指摘しています。
 それは、これまで、私が学んできたもの「社会的生産と資本主義的形態の矛盾」がに資本主義生産の最大の矛盾があるとしてエンゲルスの解明です。
 
マルクスは、生産のための生産から説明

 不破哲三さんは、マルクスは「生産ための生産・・・社会的生産諸力の無制限な発展をめざしてどこまでも突進せざるを得ない」ことそのものが、「生産者大衆の収奪と貧困化」という矛盾を必然的に生み出す。しかも、この利潤第一主義を徹底することが、その利潤を制限する「生産者大衆の貧困化」を生むということになると解明しています。
 
  私(市原)は、マルクスは、資本主義を維持し発展させようとする、利潤第一主義をより深く解明したところに違いがあったのではないかと考えます。

  私は、マルクスは生産力の無限の発展を求める仕組みそのものが、根本矛盾と解明してますが、エンゲルスは生産関係から資本主義の根本矛盾を解明しようとした違いだと思います。
 マルクスは、結果的に、あらゆる方法によって、資本主義を維持し発展させようとする、利潤第一主義への厳格な分析を行っていたのではないかと思います。
 さらには、現在の社会主義をめざる国々が資本主義の発達以前の段階で、その道を歩み始めたことの深刻な困難さの根本問題も、この本を読み改めて、理解することができました。

 不破哲三さんは、マルクスがこの見解を明らかにしたのは、資本論の第2巻、第3巻で、エンゲルスが「空想から科学へ」の執筆時点では、資本論はまだ第一部しか出版されていなかったと述べています。