労務管理・安全対策向田社会保険労務士in札幌

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退職前、有給休暇取得の問題点

2012-10-27 09:37:12 | ビジネス
すっかり寒くなり、タイヤ交換の時期になりました。
今日は夕方から仕事で小樽に行きます。
張切っています。

さて、事業主からのご相談の中に「退職前に業務の引き継ぎをせず有給休暇を消化して辞めたため困った。」
よく聞く話です。

この案件で結論から言うと、「事業主は有給休暇を与えなければなりません。」

業務引き継ぎもしないで退職することは円滑な退職ではありません。
しかし、解雇をすると「解雇手当の支払い」「失業保険の給付制限なし」と労働者が有利となります。

これを防止するために就業規則に「退職は30日前に届け出る、退職前14日は現実に業務を行う」等の規定をしてもある程度の歯止めになっても労働基準法には勝てません。

また、有給休暇の時期変更も「退職予定日をこえて時季変更権行使することはできません。」

では対策として、
1 有給休暇を取得しやすい環境の整備(年休消化)
2 退職日を変更する
3 有給休暇の買い取り(金銭解決)
4 退職届を早めに提出させる
などが考えられます。

まず、良好な労使関係の構築がトラブルの防止になると思います。
また、「立つ鳥跡を濁さず」と言うことわざがありますが労働者も引き際はきれいにすることは大切なことですネ。

最低賃金の影響を考察

2012-10-13 15:49:25 | ビジネス
1 最低賃金の「発行年月日」は中途半端

北海道の最低賃金の発行年月日は10月18日となります。
この発行年月日は各都道府県ごとに異なります。
ところで、なぜ10月18日なのでしょうか。

昨年の北海道は23年10月6日が発効日となっていました。
この発効日は道民のことをまったく考慮せず、脈絡もなく決定されています。
このため、会社は賃金締切とも無関係に最低賃金の改定をしなければなりません。
これって、手続きが面倒ではありませんか。

「10月1日発効日」とし、10月1日から31日に係る賃金計算期間から最低賃金を改定してはいかがでしょうか。
実務的発想が必要と考えます。

2 北海道の地域ランクは「C」ランクは必要か。

中央最低賃金審議会が、各都道府県を地域別最低賃金額の水準をもとにA、B、C、Dの4ランクに区分している。
このランクごとに目安を決定する仕組みとなります。
ランクごとの引上げ額は、Aランク5円、B~Dランク4円(昨年はAランク4円、B~Dランク1円)。
ランクごとの目安額に差がありません。
ランク区分に意義がないと感じます。

3 最低賃金引き上げ額は妥当か

労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護の施策との整合性にも配慮して決定しています。
最低賃金は、最低賃金法第3条により「労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力」を総合的に考慮して定められなければならない。

北海道の最低賃金719円(平成24年)は全国11位となります。
これは生活保護水準を下回っているため大幅な引き上げ(14円)となった結果である。
しかし、業種等の賃金支払能力を概括的に把握するために、経済産業省「工業統計」による付加価値額等の結果で北海道は20位である。
しかも北海道の付加価値額は前年比-3.4%となります。
この状況下で大幅な賃金額引き上げは妥当と言えるか。
「早急に生活保護水準との比較で決定している。」と感じる。

4 最低賃金の影響

最低賃金の影響を示す指標として、「未満率」と「影響率」がある。未満率とは、最低賃金を改定する前に、最低賃金額を下回っている労働者の割合を示し、影響率とは、最低賃金の改正後に、改正後の最低賃金額を下回ることになる労働者の割合を示している。
地域別最低賃金の未満率と影響率を、最低賃金額のランク別(中央最低賃金審議会が、各都道府県を地域別最低賃金額の水準をもとにA、B、C、Dの4ランクに区分している。)にみると、概ね、地域別最低賃金の水準が高いAランクでは、未満率と影響率ともに低く、以下順を追って、Dランクが最も高くなるという傾向がみられる。
北海道のパートは最低賃金周辺が多く、最低賃金の引き上げが下支えをし、さらに賃金全体の引き上げに連動します。

これ自体、経済が成長する過程なら問題がないと思う。しかし、日本経済そして北海道経済が停滞している環境下では企業経営を悪化させる。
その結果、企業倒産が増加する(最低賃金倒産)すると労働者の雇用が守られない。

そのため、一日も早い経済回復を祈らずにはいられません。