労務管理・安全対策向田社会保険労務士in札幌

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妊娠を理由に降格・減給にNO!

2014-10-25 15:39:45 | ビジネス
男女雇用機会均等法では、妊娠や出産を理由に労働者が不利益になる待遇をしてはいけないと定められています。

なぜ、最高裁の判断までもめたのかわかりません。

この女性は、第2子を妊娠後、働く意志を持ちつつ体のことを考えて、訪問リハビリのチームから院内リハビリのチームへ異動を申し出ました。
この際に、副主任の地位を外されただけではなく、減給もされたそうです。
その後、復職しても、妊娠前の役職には戻されなかったそうです。

この「減給、降格が妊娠を理由とするものかどうか」の判断は地裁や高裁で的確に判断すれば無駄な時間と労力をかけなくて済んだのではないでしょうか。
特に、妊娠を理由に「能力の低下はない。」と考えれば減給などあり得ません。
ただ、降格は「その時の人員構成や業務内容から適任者を選ぶ」という観点から人事異動の権限は会社にある。
そう考えると、私的には「降格は完全否定はできないと思います。

大きな医療機関だから減給・降格ができたのでしょう。
小さな会社では、人材が不足しているんで妊娠しても「減給や降格をする会社は多くない」と思います。

むしろ、助成金があるので復帰することを第一に考えることでしょう。

いずれにしても大きな会社のおごり。
企業から見れば、何百、何千人の中のひとりかもしれませんが、もっと働く人の人格を尊重すべきだと考えます。








定額残業代の留意点

2014-10-11 17:45:02 | ビジネス
最近、残業代計算の効率化のため定額残業代としている賃金台帳を見かけることがあります。
業種によっては残業が多く、残業代の計算が複雑で面倒なためやむを得なく定額残業を導入する企業もあります。

社長の中には、よく働いてくれるので役職手当は名目で、実際には残業代の分であることを明確に説明することなく、支給している場合があります。
この場合、従業員からは残業代未払いの請求をされることがあります。
社長にすれば残業代を支払っている認識にもかかわらず、未払い残業が発生することになります。
固定残業代を支払う場合、実際の時間外が短くても固定残業代を支払う。少ないときはその差額を支払うことになります。

判例はこの定額残業手当について、①基本給のうち時間外手当にあたる部分を明確に区別して合意し、かつ、②労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払い期に支払うことを合意した場合にのみ、このような合意を有効と認めています(最高裁昭和63年7月14日判決、小里機材事件等)。

この判例を踏まえて定額残業手当制を導入する際には、労働者が割増賃金をいかなる場合に請求できるのかをわかるように、
.賃金のうち、残業手当に相当する金額がいくらであるのかを明示すること、
.その残業手当が何時間分の残業代を含んでいるものなのかを明示することが必要となります。
当然、定めた定額の残業代が法律に従い残業代を計算した場合の金額を下回ってはいけません。
また、これらの点は、就業規則(賃金規定)、雇用契約書、給与明細等に記載し、労働者に十分説明の上、同意を得ておく。

上記をふまえ、実務を行う必要がります。