さすらうキャベツの見聞記

Dear my friends, I'm fine. How are you today?

カリンニコフ『交響曲 第一番』

2011-07-20 06:21:17 | Wednesday 芸術・スポーツ
(写真:杉並公会堂 2011夏)


 カリンニコフ。

-誰、その人?
というのが、最初の印象だった。

 サン=サーンスも、リストも 名は知ってる。
無知をしのんでいうと、本当に、「誰、それ?」状態だった。

 だが、珍しい曲目だな。
と、久々に演奏会に赴(おもむ)いたら、

 なぜだか、『交響曲 第一番』の第一楽章が終わる頃から、思わず、涙が出てきた。
なぜだか、止まらなかった。あまり無いことだ。


        **********

 ・・・話変わるが、キャベツの母の特技のひとつに、「コピー」がある(と思う)。
キャベツは、オーケストラの演奏を聴いて、そのすべてを譜面におこすことはできない
 彼女は、「楽譜を取り寄せると一つ××万円単位だから」と、
オケの演奏のテープやCDを聴いて、
それを譜面に起こして、
それを生徒たちのアンサンブル用に、振り分けていた。
 地元の図書館の視聴コーナーで、(珍しく)彼女を見かけるときは、そういうときだった。

 だが、それも凄いが、無から有を作りだす、作曲家は
なおのことすごい、と、
 病(やまい)の中、これを創り出すのに、
どれほど体力がいっただろうか、と
第一楽章を聴きながら、思わずにいられなかった。
(アマオケとはいえ、一橋大学管弦楽団さんの演奏もまた、良かったからだと思う)


        *********

 加えて、いろんな人々が、頭に浮かんだ。

「(入院していると)時間がありすぎて、困る」
といっていたあの方々。確かに、「ヒマ」なのも辛い。
だが、彼の残された時間を思うと、
聞いている身としては、
あまりにせつなくなるセリフだった。
-だが、私もまた、残されている時間が幾ばくかはわからない。

「○○さん、最近、見かけないのよね。皆、ばらばらになっちゃったから、
 ちょっとさびしくて」
と言った方々。新棟にリニューアルして、同じ病室、病棟で治療を受けていた人々が
少しばらばらになっていた。
「そうですね」と言いながら、胸の奥にずしんとしたものが現れる。
-実は、その人が、亡くなっていた、ときには。

廊下ですれちがったりすると、笑顔で声をかけてくれる
前の病棟の患者さん。

「××さんから、こっちにいるって聞いていたよ」と
言って、外来も入院も訪れるところにいるキャベツに
声をかけてくれる患者さん。

 34歳で亡くなったカリンニコフ。
-さて、自分は、どんな一生を歩む?


        **********

一橋大学サマーコンサート2011
【場所】杉並公会堂 大ホール
【指揮】藤崎 凡
【管弦楽】一橋大学管弦楽団
【曲目】サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」
    リスト:交響詩「前奏曲」
    カリンニコフ:交響曲第1番
(アンコール)確か…ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

【案内文(抜粋)】
昨年冬に満員で好評を博した,一橋大学管弦楽団が今夏,杉並公会堂に戻ってきます!

~生きる。希望は其処にある。~
今回のプログラムのテーマは「生と死」

死者たちの真夜中の踊りを歌った,サン=サーンス「死の舞踏」を初めとして,
「人生は死への前奏曲」の人生観を表す,リストの「前奏曲」,
カリンニコフが貧困と病に苦しみながら書き上げた「交響曲第一番」


と気軽に楽しめるワルツから,「生きるとは何か」を考えさせられる重厚な音楽まで含む,
非常に味わい深いプログラムとなっております。
また,近年注目の「隠れた名曲」であるカリンニコフ第1番の演奏は珍しく,必聴です!

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