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命がある限り希望を持つということ

ベントについて

2011-08-07 08:30:55 | 原発事故
前回のブログで書いた福島原発で高濃度の放射能検出
というニュースの時に東電の発表の中に「ベントの際に残留したのではないか」
というような発表があった。

「ベント」という言葉は原発事故の起こった時から頻繁に登場した。
首相の視察が原因でベントが遅れたことが事故を拡大させた
要因だったのではないかということが国会での論戦の議題にもなった。

事故後のマスコミの報道やなんかで私のような普通の人間は
何となくベントをしなければ格納容器が爆発して
チェルノブイリのような取り返しのつかない大事故になるから
ベントのことが問題なのだという程度に理解していた。

しかし今回またベントという言葉を耳にして
もう少しベントについて勉強しようと思った。
ネットで検索してかつて東芝で原子炉の設計に携わっておられた
後藤政志さんが技術者の視点から「1号機のベント失敗」について
詳しく解説をされているものを見つけた。
専門的な内容で詳しく述べられているので一読してほしい。

http://abc.pwkyoto.com/?eid=239

この中で後藤さんが問題とされているのが過酷事故対策への考え方だ。
私たちは今回のような大きな災害や事故の時の対策として
ベントをする機能が備わっているという風に理解していたが
実は「過酷事故というのは起こりえないという前提で
取りあえずつけておけばいいという程度の対策であった」
というのが現実だったということ。
後藤さんの主張はそもそもベントしなければならないということ
自体が根本的な誤りだということが大前提になっている。
つまり基本は何が起きても放射能を格納容器内に閉じ込めておける
それがあるべき姿ということだ。
しかし現実にはその基本が崩れる過酷事故が起きた。

その先の対策というのは「あり得ない」という前提で
AがダメならB,BがダメならCというような
単一故障基準すら適用されていなかった。
それは何故か。起こりえる全てのケースをシュミレーションして
対策を講じた原子炉などというものはおそらく
まったく採算が取れないようなものになるからだ。

更にどうしてもベントが必要になった場合に備えて
蒸気から放射性物質を除去するフィルターを設置するのは
現在では国際常識となっているらしいがこの点に関しても

「国内の沸騰水型原発ではベント配管にフィルターは付いておらず
東京電力福島第1原発事故では、放射性物質が広く拡散した。保安院は
「深刻な事故を想定していなかったからで、問題だった」と認めた。高
圧蒸気に耐えるフィルターは大掛かりでコストがかかり、技術的にも難
しいが、経済産業省原子力安全・保安院が、蒸気から放射性物質を除去
するフィルターの設置を義務付ける検討を始めたことが11日までの保
安院への取材で分かった」
これが6月の時点での話。このフィルターの設置に関しても過酷事故
を想定していなかったことやコスト最優先の体質がうかがえる。

「脱原発」にせよ「原発容認」にせよ自分の考え方をまとめていく上で
まずいろいろなことをちゃんと理解することが大切だと思う。
自分で選択したことに自分で責任を取るためにも
ムードに流されたり他人の意見をうのみにせず
自分の人生の残りの時間が許す限り
やはり少しずつ勉強を続けていきたいと思う。