昨日福島原発1号機と2号機の間の排気塔付近で
1時間あたり1万ミリシーベルト以上という極めて高い放射線量が
測定されたというニュースが流れた。1万ミリシーベルト
(10シーベルト/h)という値は、20分ほど浴び続けると
半数の人が死亡する放射線量で、これまで1号機の原子炉建屋
の中で測定された4000ミリシーベルトを超える、事故後最も
高い値だという。
このところ政府や東電は、原子炉や使用済み燃料プールの循環冷却が
ほぼ予定通りに進んでいて、事態は収束に向かっているという
ニュアンスの報道を続けていたところにこのニュース。
「東電は、事故直後に行われた1号機からのベントによって出た物質
が残っている可能性もあるとしながらも、詳しい原因についてはさ
らに調査が必要」と発表した。
事故後やがて五ヶ月になろうとしているのに、なぜ今また
こういう事態が報じられるのか。こと原子力に関係することは
一体どこまで事実が報道されているのか。
京大の小出先生は事故直後から次のような意見を述べられている。
(6月29日のインタビューから抜粋)
質問者:そもそも東電が国に(データなどを)示さないというのも
あるのではないでしょうか?
小出さん:東京電力自身、今現在も事故の実態を把握できていないという、
それほど困難な事故なんだ、ということもあると思います。
いろんな情報そのものを知りえないということもあるし、
知った上で東電が隠した、知った上で国が隠した、さまざまだ
と思います。
私はこの小出先生の見解が正しいと思っている。このサイトでリンク
している福島原発の状態の様々なデータの中で、原子炉の水位と
燃料棒の露出度というのがあるが、1号機では27%前後、2号機と
3号機では35%前後燃料棒が露出しているという状況は、3月の
終わりくらいからずっと変わっていない。このデータは、1号機から
3号機の燃料棒がメルトスルーしているという事実と照合して一体
整合性があるのだろうか。
またこれも小出先生の意見によれば、安定冷却とか冷温停止とかいう
対処法は、燃料棒がある程度健全な形で残っている場合に可能で
あってメルトスルーしている状況では、そういう表現は適当でない
ということだ。
事故後からずっと感じていたことだが、事態をまだ正確に把握できて
いない東電は、更にそのことを政府に対しても正直に丁寧に説明
をせず、政府の指示に従ってうまく行っていることだけを報告し
マスコミも含めて、一般の人がちゃんと理解できないのをいいことに
適当なデータを発表し続けているのではないかという疑念は未だに
消えない。
日本のマスコミは中国の列車事故の経緯を揶揄的に報道していたが
実は自分の国でもまったく同じことが起こっているということを
どこまで自覚しているのだろうか。
長い間異端の研究者という立場にあった京大の今中先生と小出
先生はいまや時の人で反原発のシンボルのようになられ
そのために逆に反感を持つ人もいるのではないかと思うが
上のインタビューの中でこうも言われている。
「原子力発電だけは安全だというふうに、ほとんどの日本人は
多分信じてきた。それは政府と東電を含めた電力会社、大企業
が原子力は安全ですというウソを垂れ流してきたからです。
でも、騙された人にも責任があると私は思っていますので、
みなさんもよく考えてほしいと思っています」
これは原子力の問題だけに関わらず、怪しい利殖や投機の話でも
宗教でも、ギャンブルでも全てに共通する本質だと思う。
騙す人間たちはもとより悪いが、ここまで金が全ての拝金
主義が横行し、金になることなら何でもという世の中になれば
この「騙される側の責任」ということも本当だと思う。
例えば「脱原発になれば電気代が高騰し、企業は海外に移転。国内の
経済は低迷してしまう」という話一つにしても、それは本当のこと
なのか、回避する方法はないのか。それを主張しているのは
どういう人たちで目的は何なのか。そういうことを自分で勉強して
自分で考えて、原発に対する自分の考え方を決める。
特にこれから長い人生を生きていく若い人たちには、そういう
生き方が必要になるところにきているのだということを知って
ほしいと心から思う。
1時間あたり1万ミリシーベルト以上という極めて高い放射線量が
測定されたというニュースが流れた。1万ミリシーベルト
(10シーベルト/h)という値は、20分ほど浴び続けると
半数の人が死亡する放射線量で、これまで1号機の原子炉建屋
の中で測定された4000ミリシーベルトを超える、事故後最も
高い値だという。
このところ政府や東電は、原子炉や使用済み燃料プールの循環冷却が
ほぼ予定通りに進んでいて、事態は収束に向かっているという
ニュアンスの報道を続けていたところにこのニュース。
「東電は、事故直後に行われた1号機からのベントによって出た物質
が残っている可能性もあるとしながらも、詳しい原因についてはさ
らに調査が必要」と発表した。
事故後やがて五ヶ月になろうとしているのに、なぜ今また
こういう事態が報じられるのか。こと原子力に関係することは
一体どこまで事実が報道されているのか。
京大の小出先生は事故直後から次のような意見を述べられている。
(6月29日のインタビューから抜粋)
質問者:そもそも東電が国に(データなどを)示さないというのも
あるのではないでしょうか?
小出さん:東京電力自身、今現在も事故の実態を把握できていないという、
それほど困難な事故なんだ、ということもあると思います。
いろんな情報そのものを知りえないということもあるし、
知った上で東電が隠した、知った上で国が隠した、さまざまだ
と思います。
私はこの小出先生の見解が正しいと思っている。このサイトでリンク
している福島原発の状態の様々なデータの中で、原子炉の水位と
燃料棒の露出度というのがあるが、1号機では27%前後、2号機と
3号機では35%前後燃料棒が露出しているという状況は、3月の
終わりくらいからずっと変わっていない。このデータは、1号機から
3号機の燃料棒がメルトスルーしているという事実と照合して一体
整合性があるのだろうか。
またこれも小出先生の意見によれば、安定冷却とか冷温停止とかいう
対処法は、燃料棒がある程度健全な形で残っている場合に可能で
あってメルトスルーしている状況では、そういう表現は適当でない
ということだ。
事故後からずっと感じていたことだが、事態をまだ正確に把握できて
いない東電は、更にそのことを政府に対しても正直に丁寧に説明
をせず、政府の指示に従ってうまく行っていることだけを報告し
マスコミも含めて、一般の人がちゃんと理解できないのをいいことに
適当なデータを発表し続けているのではないかという疑念は未だに
消えない。
日本のマスコミは中国の列車事故の経緯を揶揄的に報道していたが
実は自分の国でもまったく同じことが起こっているということを
どこまで自覚しているのだろうか。
長い間異端の研究者という立場にあった京大の今中先生と小出
先生はいまや時の人で反原発のシンボルのようになられ
そのために逆に反感を持つ人もいるのではないかと思うが
上のインタビューの中でこうも言われている。
「原子力発電だけは安全だというふうに、ほとんどの日本人は
多分信じてきた。それは政府と東電を含めた電力会社、大企業
が原子力は安全ですというウソを垂れ流してきたからです。
でも、騙された人にも責任があると私は思っていますので、
みなさんもよく考えてほしいと思っています」
これは原子力の問題だけに関わらず、怪しい利殖や投機の話でも
宗教でも、ギャンブルでも全てに共通する本質だと思う。
騙す人間たちはもとより悪いが、ここまで金が全ての拝金
主義が横行し、金になることなら何でもという世の中になれば
この「騙される側の責任」ということも本当だと思う。
例えば「脱原発になれば電気代が高騰し、企業は海外に移転。国内の
経済は低迷してしまう」という話一つにしても、それは本当のこと
なのか、回避する方法はないのか。それを主張しているのは
どういう人たちで目的は何なのか。そういうことを自分で勉強して
自分で考えて、原発に対する自分の考え方を決める。
特にこれから長い人生を生きていく若い人たちには、そういう
生き方が必要になるところにきているのだということを知って
ほしいと心から思う。