goo blog サービス終了のお知らせ 

癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

悲惨な事件

2010-02-01 09:44:59 | 社会・生活
また痛ましい事件が起こりました。大阪で株で500万の借金を抱えた男性が
奥さんと二人の子供を殺して無理心中を図ったという事件です。
「お願いだから家族や無関係の人間を巻き添えにしないで欲しい」
心の底からそう思います。本音を言えば借金を作った当人が自殺するなりなん
なり好きなようにすれば済む話です。

四、五年前からすれば今はかなりの借金があっても解決の道があることが、ず
いぶん認知されてきました。しかし、困ったことに借金を作った当人は、まっ
とうな手段で解決を図ろうというような思考を持ち合わせていないことが多い
のです。ここが一番の問題です。

ダンナにしてもそうですが、ギャンブルにしても何にしても、そうしたものに
ハマる人間は、存外真面目で小心で、そのくせ異常なくらいプライドが高い。
このとてもバランスの悪い性格が、そもそも依存症になる要因のひとつだと
思われます。真面目で小心だから、他人の評価を気にする。自分の弱みや恥を
人にさらけだすことができない、そして自分はこんなに頑張っているのに家庭
でも職場でも正当に評価されていないという鬱屈を抱えている、そんな人間が
唯一勝利の快感を味わえたのがギャンブルだった。すべてはそこから始まった
そんな感じがします。

 そうこうする内に借金が雪だるま式に増え、生活費にも事欠くようになると
会話や表情がいつも上の空な感じになります。本人にとって何よりも大事な
体面を取り繕うことができない状況。頭の中は借金のことで占められ、その
苦しさから逃れるためと、勝てばお金が返せるという根拠のない妄想につき
動かされて本当に泥沼にはまっていくのです。
 少し前にダンナが「借金がなくなったから、どうしてもパチンコに行きたい
と思うこともなくなった」と言ったことがありました。ギャンブル依存者を
脅迫的ギャンブラーと呼ぶ場合もあります。まさにそういうことなのでしょう。
もともと自分の気持ちを客観的に分析するといった習性や、色々な物事への
興味、関心がないので、とことん追い詰められると打開する道をどこにも見
出すことができません。そこで、最低最悪の結論を導き出してしまうわけです。

こういうタイプの人間たちは怒ったり問い詰めたりしても絶対に本当のことを
言いません。人に非難されることを何よりも恐れていますから。
最初の事件の父親も妻子を殺したあと、職場へ行って仕事をしてから自首を
したと報道されていました。こういうまったく相反する内面が存在する、そ
れは依存者に限らず、人間本来の性なのかもしれません。
自業自得とは言え、本人もどうしようもない苦しさを抱えていることも
事実だと思います。周囲の人間の誰かが事前に察知して、冷静に事態を
打開するアドバイスをできれば、袋小路に追い詰められている心の状況
から我に返り、こうした悲劇の何割かは回避できるのではないか、そんな
気がしています。