夏に「シン・ゴジラ」を観て
映画の感想を書こうと思ったのだけど
映画好きさんの間では「ゴジラ」第1作(昭和29年)を観ずして
ゴジラを語るなかれ、みたいな空気がありました。
それではということで、おりしも「ゴジラ全作品DVDコレクション」が発売されて
初号が「ゴジラ」(昭和29年)で、しかも初号のみ大特価の890円
というので、買い込んでしまいました。
(「シン・ゴジラ」についての感想は映画ブログに書きましたが
あちらでは書き足りないことがあったので、改めてこっちに書くことにしました)
昭和29年といえば、私が生まれる1年前。
戦争が終わって、日本が復興に向けて歩き出した時期ですが
戦争の記憶は、まだほとんどの人の中に鮮明に残っていた
そういう時期に作られたこの「ゴジラ」は、水爆実験の落とし子で
人間が抗うことができない、圧倒的な暴力と破壊の象徴として描かれました。
今回の「シン・ゴジラ」は、この1作目の「ゴジラ」へのオマージュで
かつての戦争の脅威が、3.11の、震災と津波、原発事故の恐怖に置き換えられて
そういう極限の事態に、政治は、人間はどう向き合うかが描かれ
それでも日本は、日本人は復活する、不死鳥のようによみがえるという
「スクラップアンドビルド」で、締めくくられました。
けれど映画館で「シン・ゴジラ」を観ていて、私が感じた違和感は
「これは、子どもが観て面白いと思えるゴジラじゃないな」ということでした。
子どもの頃、私が映画館で観たのは「キングコング対ゴジラ」
「モスラ」そして「三大怪獣最大の決戦」です。
「三大怪獣最大の決戦」では、ずっと悪役だったゴジラが
宇宙からやってきた凶悪怪獣キングギドラと戦うために
モスラに説得されて、ラドンと一緒にキングギドラをやっつけるという
大人になって観ると、なかなかシュールで笑える展開ですが
なぜか正義の側になって、顔も少し優しいというか、おもろい顔になっています。
この映画でのゴジラは、ひたすら岩を抱え上げて、キングギドラにぶつけるという
筋肉バカみたいなキャラでしたが、私はこのゴジラが一番好きでした。
今思えば、昭和30年以降、日本は急速に復興が進んで
社会のムードもどんどん明るく、活気のあるものになっていく中で
怪獣映画は、ファミリー向けの娯楽映画の路線になっていました。
そして、そもそもこの時期怪獣映画が隆盛を極めた背景には
昭和28年から放送が開始されたテレビの電波に乗って
当時の子どもたちに大人気になった特撮ドラマの
ウルトラシリーズの存在がありました。
身近に小さな子どもがいないので、今の子どもたちにとって
ウルトラマンはどうなのか分かりませんでしたが
このところ長男のところの4才の孫を
熱を出したとかで、毎月1回くらいのペースで預かる羽目になりました。
この子が今まさに「ウルトラマン命」で
バックにウルトラマンや怪獣を何体も入れてやってきます。
ケーブルのオンデマンドで、昔のウルトラマンの映画やドラマをつけてやると
一生懸命観ながら、持ってきたおもちゃで真似をしています。
そばで見ていて、すっかりうれしくなりました。
アメリカでは「スーパーマン」や「バットマン」などのヒーロー文化が主流ですが
「ウルトラマン」に代表される、ユニークでデザイン性も高い
怪獣文化は日本が発祥で、日本で育まれ、ゴジラはその代表格です。
「ゴジラ」はアメリカでも映画化されましたが
アメリカ人というのは、変なところに生真面目で融通がきかないのか
「(日本のゴジラの)あの体型で、二足歩行はありえない」と
出来あがったゴジラは、巨大なイグアナというかトカゲというか
怪獣というより、恐竜に近い造形でした。
これに怒った東宝が、日本のゴジラ復活の悲願に燃えて作ったのが
今回の「シン・ゴジラ」だという説もありますが、真偽のほどはいかに。
日本だけでも28作も作られたゴジラ映画の中では
ゴジラもお茶目になったり、凶悪になったり、何度も変遷しています。
けれど、今回の「シン・ゴジラ」では、主役はあくまでも人間で
人間中心にすべてが進んでいきました。
小さい子どもが観て、単純に「ゴジラすげぇ」と驚嘆するような
場面がほとんどありませんでした。
日本が誇る怪獣文化を、次世代に継承できる要素
最近よく聞く、いわゆるレガシーがあまりにも
少なかったことが、私としてはとても残念でした。
それくらい、ゴジラ映画である必然性が感じられなかったのです。
過去のゴジラになんの思い入れもなく
単純に怪獣が出てくるパニック映画として「シン・ゴジラ」を観た人や
監督が「エヴァンゲリオン」の庵野監督だったので
「エヴァ」や庵野監督の作品が好きな方には
違和感なく受け入れられたようですが。
ぶっちゃけ、改めてゴジラ28作を全部しっかり観て
ゴジラをちゃんと研究してみたいと思わなくもないですが
こうして、やりたいことがどんどん増えていくと
結局すべてが中途半端で、とっちらかるのが
私の最大の欠点でもあります。
なので、家族が誰も真剣に聞いてくれない
現時点までの、ゴジラ観をつらつらと書いてみました。
書くことが最大のストレス解消という性質は相変わらずです。
映画の感想を書こうと思ったのだけど
映画好きさんの間では「ゴジラ」第1作(昭和29年)を観ずして
ゴジラを語るなかれ、みたいな空気がありました。
それではということで、おりしも「ゴジラ全作品DVDコレクション」が発売されて
初号が「ゴジラ」(昭和29年)で、しかも初号のみ大特価の890円
というので、買い込んでしまいました。
(「シン・ゴジラ」についての感想は映画ブログに書きましたが
あちらでは書き足りないことがあったので、改めてこっちに書くことにしました)
昭和29年といえば、私が生まれる1年前。
戦争が終わって、日本が復興に向けて歩き出した時期ですが
戦争の記憶は、まだほとんどの人の中に鮮明に残っていた
そういう時期に作られたこの「ゴジラ」は、水爆実験の落とし子で
人間が抗うことができない、圧倒的な暴力と破壊の象徴として描かれました。
今回の「シン・ゴジラ」は、この1作目の「ゴジラ」へのオマージュで
かつての戦争の脅威が、3.11の、震災と津波、原発事故の恐怖に置き換えられて
そういう極限の事態に、政治は、人間はどう向き合うかが描かれ
それでも日本は、日本人は復活する、不死鳥のようによみがえるという
「スクラップアンドビルド」で、締めくくられました。
けれど映画館で「シン・ゴジラ」を観ていて、私が感じた違和感は
「これは、子どもが観て面白いと思えるゴジラじゃないな」ということでした。
子どもの頃、私が映画館で観たのは「キングコング対ゴジラ」
「モスラ」そして「三大怪獣最大の決戦」です。
「三大怪獣最大の決戦」では、ずっと悪役だったゴジラが
宇宙からやってきた凶悪怪獣キングギドラと戦うために
モスラに説得されて、ラドンと一緒にキングギドラをやっつけるという
大人になって観ると、なかなかシュールで笑える展開ですが
なぜか正義の側になって、顔も少し優しいというか、おもろい顔になっています。
この映画でのゴジラは、ひたすら岩を抱え上げて、キングギドラにぶつけるという
筋肉バカみたいなキャラでしたが、私はこのゴジラが一番好きでした。
今思えば、昭和30年以降、日本は急速に復興が進んで
社会のムードもどんどん明るく、活気のあるものになっていく中で
怪獣映画は、ファミリー向けの娯楽映画の路線になっていました。
そして、そもそもこの時期怪獣映画が隆盛を極めた背景には
昭和28年から放送が開始されたテレビの電波に乗って
当時の子どもたちに大人気になった特撮ドラマの
ウルトラシリーズの存在がありました。
身近に小さな子どもがいないので、今の子どもたちにとって
ウルトラマンはどうなのか分かりませんでしたが
このところ長男のところの4才の孫を
熱を出したとかで、毎月1回くらいのペースで預かる羽目になりました。
この子が今まさに「ウルトラマン命」で
バックにウルトラマンや怪獣を何体も入れてやってきます。
ケーブルのオンデマンドで、昔のウルトラマンの映画やドラマをつけてやると
一生懸命観ながら、持ってきたおもちゃで真似をしています。
そばで見ていて、すっかりうれしくなりました。
アメリカでは「スーパーマン」や「バットマン」などのヒーロー文化が主流ですが
「ウルトラマン」に代表される、ユニークでデザイン性も高い
怪獣文化は日本が発祥で、日本で育まれ、ゴジラはその代表格です。
「ゴジラ」はアメリカでも映画化されましたが
アメリカ人というのは、変なところに生真面目で融通がきかないのか
「(日本のゴジラの)あの体型で、二足歩行はありえない」と
出来あがったゴジラは、巨大なイグアナというかトカゲというか
怪獣というより、恐竜に近い造形でした。
これに怒った東宝が、日本のゴジラ復活の悲願に燃えて作ったのが
今回の「シン・ゴジラ」だという説もありますが、真偽のほどはいかに。
日本だけでも28作も作られたゴジラ映画の中では
ゴジラもお茶目になったり、凶悪になったり、何度も変遷しています。
けれど、今回の「シン・ゴジラ」では、主役はあくまでも人間で
人間中心にすべてが進んでいきました。
小さい子どもが観て、単純に「ゴジラすげぇ」と驚嘆するような
場面がほとんどありませんでした。
日本が誇る怪獣文化を、次世代に継承できる要素
最近よく聞く、いわゆるレガシーがあまりにも
少なかったことが、私としてはとても残念でした。
それくらい、ゴジラ映画である必然性が感じられなかったのです。
過去のゴジラになんの思い入れもなく
単純に怪獣が出てくるパニック映画として「シン・ゴジラ」を観た人や
監督が「エヴァンゲリオン」の庵野監督だったので
「エヴァ」や庵野監督の作品が好きな方には
違和感なく受け入れられたようですが。
ぶっちゃけ、改めてゴジラ28作を全部しっかり観て
ゴジラをちゃんと研究してみたいと思わなくもないですが
こうして、やりたいことがどんどん増えていくと
結局すべてが中途半端で、とっちらかるのが
私の最大の欠点でもあります。
なので、家族が誰も真剣に聞いてくれない
現時点までの、ゴジラ観をつらつらと書いてみました。
書くことが最大のストレス解消という性質は相変わらずです。
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