癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

SIONさん

2015-10-10 07:31:57 | 社会・生活
実は、このブログと映画のブログのほかに
三年前から音楽のブログも書いています。
どれも極めたというわけではなく、なんちゃってなので
真の映画ファン、音楽ファンから見たら
お粗末な内容ではありますが。

それでも最近の「ネットしか興味がない」
「ゲームしかやらない」という若者を見ていると
何だか歯がゆくて、つい「こんなにいいものがあるよ」と
いらぬお節介をしたくなるわけです。
さすがに音楽のブログは
若者にも読んでもらえるように
別人格になって、絵文字なんかも使って
なるべく軽く書いていますから、それはそれで楽しいです。

高校時代に、初期の中島みゆきや井上陽水にハマったのをきっかけに
「地獄の黙示録」という映画でドアーズにハマり
その後TレックスやらXジャパンやら
数々の黒歴史(自分ではそれほど恥じてはいませんが)を重ねましたが
今でも音的にはハードロックが一番好きです。
ライブハウスで、難聴になりそうな
アップテンポのドラムとベースの音に酔うと
むやみにモチベーションがあがり、細胞が活性化します。
がん細胞だってやっつけられそうです。

そんな中でその過激趣味とは別に、唯一日本のミュージシャンで
歌詞も曲も、声や歌い方もひっくるめて
この十五年ほど心酔しているのがSIONというアーティスト。
ケーブルのスペシャ列伝というライブ番組で
「ガラクタ」という曲を聴いたのがきっかけでした。

アーティストの生い立ちや苦労話で
音楽の価値をかさ上げするようなやり方はあまり好きではないですが
SIONさんは幼い頃に小児麻痺で右手が不自由になられ
中卒で19才で山口から上京し、25才でデビューしてから
55才の現在まで、自身ではあまり多くを語られることはないですが
たくさんの困難を乗り越えて、ほとんどぶれることなく
自分の音楽を続けてこられたアーティストの一人だと思います。

ダンナのギャンブルやら借金やら何やかにやで
生きていることが本当に嫌になっていた私の心に沁み込んだのは
SIONの「マイナスを脱ぎ捨てる」という曲でした。

「幸せは一人では歩かない いつも不幸せとつるんでる
だからこのどん底の横には 喜びの朝だっているだろ

風に鳥になれるわきゃない だから這ってでもいかなきゃよ
動かずに抜け出せるぜいたくなトンネルはない」

この歌は今でも私の座右の銘のようなものです。
そのSION、先日結婚が報道されて、時の人である福山雅治さんが
民放の「ウタフクヤマ」という番組で
SIONさんの「街は今日も雨さ」という曲をカバーしたと
SIONファンのツイッターで、盛り上がっていました。

福山さんは、長崎にいた十代の頃から、SIONさんの歌が好きで
ご自身がデビューされたからは、機会があるたびに
SIONさんをフューチャーし、共演もされています。
ネットで検索したら、福山さんとSIONさんが対談をされた
10年前の「僕らの音楽」の動画があってうれしかったです。

そしてSIONのファンにとっての一番のサプライズは、何といっても
NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の龍馬暗殺の刺客の役が
SIONさんと元ブランキー・ジェット・シティーの中村達也さんだった
ことではないかと思います。

しゃがれた独特の声で、つぶやき、叫ぶSIONの歌に
私は今でも心を揺さぶられますし
「あ~、もうだめだ」と思うことがあっても
「生きていくのは大変だけど
まあ何とか今日もがんばるべえ」と思えます。
力をもらうとか勇気をもらうとかっていう
キラキラした感じではありません。
まさにどん底から、泥沼から「這ってでもいかなきゃよ」なのです。
何の保証も根拠もない、夢とか希望とか愛のメッセージには
1ミリも反応しない、ひねくれ者の私にも
SIONさんの言葉は届くから不思議です。

現代の社会で、家族とか、学校とか、異性とか
ものすごく狭い世界で、堂々めぐりをして苦しみ、もがき、傷ついて
自分をだめにしてしまう子どもたちや若者の多さに胸が痛みます。
「あなたたちが閉じこもっているその世界の外側に
自分にも生きる意味があると気づかせてくれる
もっと素晴らしいものがたくさんある」と
何とか伝えてあげることはできないものかと思います。

脳科学者・中野信子さんのお話の中に
「脳の中で共感性や意思決定、社会的な行動をつかさどる機能は成熟が遅く
思春期から25歳くらいまでにつくられる」というのがありました。
つまり思春期は共感する能力ができる
とても大切な時期なのだろうと思います。

だからこそこの時期に、むやみに勉強ばかりするのではなく
小説や映画や音楽や、美術的なものといった
感性を揺り動かすようなものにたくさん触れて
人生が変わるような出会いをしてほしいと心から思います。
この時期にそういう衝撃的な経験ができれば
年を取るにつれて、反応する対象が変わっていっても
その感覚を持ち続けることができるような気がします。

六十年の間に、私の人生も
そうした出会いで何回も変わりましたが
そろそろゴールが見えてきた今
どんと私の真ん中にあるのが、文学では高村薫と伊藤計劃であり
音楽ではSIONなのだろうと思います。
これが、私が最後にたどりついた
「自分が心から本当だと思えるもの」なのだろうと思います。
このあたりは、もはや信者と化していますので
生きている限りは、
こうしてこっそり布教活動にいそしむつもりです。




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