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依存症と脳の話(4)人間の脳の作られ方

2015-10-12 15:41:00 | 依存症
脳の仕組みを、どうすれば少しでも分かりやすく説明できるか
ということで、成田奈緒子さんという文教大学の先生で、小児科医でもある方が
書かれた「脳と心の発達メカニズム」という資料をもとに考えてみました。

生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、神経細胞はあるのですが
まだつながってはいません。
それが4か月くらい経つと、睡眠のリズムや食欲のコントロールができて
ミルクの間隔があいて、5~6時間眠るようになります。
そして、首がすわり、寝返り、お座り、はいはい、歩行と
運動の機能を獲得していきます。

ことばの機能は1才過ぎから発達し始め
2才では二語文、3才過ぎからは生活に必要な会話ができるようになっていきます。
人間の脳は、このように古い脳の成熟を追いかけるようにして
新しい脳の機能を獲得し始めるのです。

この間、神経細胞から神経細胞へ情報(電気)を流すことができるように
神経細胞の先端にたくさんのシナプスというものが作られていきます。
このシナプスの先端から、色々な種類の神経伝達物質が放出されることで
人間はすべての行動を行うことができると、ざっくり言えばこんな感じのようです。

神経伝達物質にはたくさんの種類があるのですが
その中でも特に、人間の「心」と呼ばれるものに
重要な役割を果たしているのが、モノアミン神経系という中の
ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンという三種類の神経系です。

この三種類の神経系は、人間の古い脳の部分にあって
新しい脳である大脳皮質、中でも前頭葉に伸びる突起を持っています。
前頭葉は、人間の成長にともなって、言語や記憶などの
たくさんの情報を蓄え、認知や判断、思考など
複雑で高度な処理ができるようになっていきます。
つまり前頭葉は、すべての行動の司令塔なのです。

古い脳で不安や恐怖、怒りや衝動性、あるいは生理的な快感
といった原始的な情動が起きると、ドーパミンやノルアドレナリンが出ますが
それは神経系を経由して、前頭葉に蓄えられた
人間らしい行動ができる機能に変換されるというのが
本来の、正常な脳の働き方であるということのようです。

ですから、古い脳からドーパミンやノルアドレナリンを放出する神経系が
正常に前頭葉と連動して効果的に働けば
集中力や積極性、意欲を高め、より人間の能力を高める方向に働きます。
これらの神経伝達物質は、人間にとって、まさに諸刃のやいばというわけです。

この脳内の神経のつながりの作られ方は
遺伝による部分も大きいのですが、多くの部分は生後の環境によって
左右されることが最近分かってきたのだそうです。

このように、脳の機能という面から考えていくと
依存症を含めて、人間の精神の不調に大きく関係しているのは

1 ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンという
  神経伝達物質のバランスや放出のされ方
  および前頭葉とのつながり方


2 それらの神経伝達物質による情動をコントロールする前頭葉の機能

ということになるのではないでしょうか。

話はそれますが、こうした科学的な分野では
専門家の人たちが、完全に実証されていないことは
公表しない、断言しないという傾向があります。
実証されてないからと、批判する人や反論する人もいます。
けれど、脳の仕組みが100%解明されるなんて、いつになるか分かりません。

私のようなど素人の、有能でもないただのおばちゃんが
うんうん言いながら資料を読んで
依存症で悩んでおられる人たちに、たとえ一人でもいいから
役に立つ情報を伝えたいと悪戦苦闘しているわけですから
たとえ5割でもいいから、分かっていることを
現実の問題に役に立つように
伝える努力をしていただきたいなと心から思います。

欧米と違って、日本では依存症に対応できるシステムが
ほとんどないことは、これまでにも何回も書きました。
北斗さんの乳がんの報道で、お医者さんが余命に触れられたことは
大きなニュースになりました。
乳がんの闘病ブログを書いておられる方は
ブログ村だけでも1000人以上おられ、余命について書かれる方も多いです。
けれど、お医者さんの言葉が世間に与えるインパクトは
それとは比べ物にならないくらい強いのだなと思います。
がんについては、有名人の方がなられるたびに
お医者さまがコメンテーターとして登場され
熱心に予防や治療の必要性をアピールされます。

同様のことを、色々な依存症についてもやっていただきたいです。
専門家の方が、がんと同じくらい
じゃんじゃん情報を発信してくだされば
世間の認知度は、今とは比べ物にならないくらい上がるのにと思います。

依存症が、老若男女あらゆる世代に広がり
依存症が原因と思われる犯罪も多発し、深刻な問題になってきている現状で
専門家である医療界が、ほとんど動かないという状況では
依存症に対応できるシステムは
5年たっても10年たってもできるはずがありません。

患者さんと家族、医療界やカウンセラー
そして自助グループや回復施設が
お互いの情報を共有し、連携して、有機的に
すべての依存症に対応していただける
せめて欧米並みに、そうしたシステムが稼働する日が
一日も早くくることを願ってやみません。




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