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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

告知から一年が経ちました

2015-03-20 15:28:03 | 癌のこと
告知からほぼ一年が経ちました。
自分の体が、一年前とまったく同じかというと
さすがにそれはないような気がします。

左胸の患部は、やはり少しづつ腫瘍が大きくなっていますし
内臓のほうも、転移したのが肝臓ですから
今でも特に自覚するような、痛みなどの症状はないのですが
中で何かが蠢いているような感じはあります。
どうも「悪性新生物」というネーミングがよくないのかも知れません。

これから、いつまでにどうなっていくというのも
手術不能のステージⅣで、ホルモン剤の治療だけの場合は
いわゆるエビデンスがないので、まったく分かりません。

ただ、実は去年ガンを告知されて仕事を辞めるまでは
少し大きな露店の八百屋さんで働いていました。
朝は、ビールのコンテナケースと板で
商品を並べる台を作るところから始まり
夕方になると、全部解体して更地に戻すという
まさにガテン系の仕事で、夏は40度近い炎天の中
冬は零度近い極寒で、一日9時間近く働くという状況で
15年間働いていました。

何でそこかというと、お店が開くのが週に3日だけで
残りの4日で、他の仕事と掛け持ちをすることができたからです。
ほか弁でパートしたり、スーパーでマネキンやったり
多い時は仕事を3つ掛け持ちした時期もありました。

最後の1,2年は、年末の繁忙期などは、一日の仕事が終わって
帰る頃になると、幻覚が見えるくらい疲れるようになっていて
それはまあ病気のせいも若干はあったのかもしれません。
そうして仕事をしていた時期からすれば
結婚後ほぼ初めて専業主婦をしている今は
やることが家事だけなので、罪悪感を感じるくらい楽なもので
いったい自分の体が今どうなっているのかが良くわかりません。

先のことが分からないので、今のうちにやれることをやっておこうとしたら
だんだんやることが増えてきて
終活どころか、最後は何もかもとっちらかったまま
終わりそうですが、まあそれならそれでもいいかと思っています。
「自分の身の丈に余ることを、何やらかにやら
山ほど抱え込んでたから、結局こうなるんだよな」と
私のことを理解してくれる家族や友人は笑って許してくれると思います。

というわけで、今週は、あるサイトでホラー小説の賞を募集しているのを知って
せっせと、それにエントリーするホラーを書いていました。
今さらプロになろうなどという野心も才能も、おまけに時間もありませんが
私はずっと社会の最底辺で生きてきた人間で
しかもギャンブル依存症という、わけのわからない病気に翻弄された人間ですから
それを助長してきた何者かに対する怒りはものすごくあります。

このところ、史上最高のベースアップがニュースになっていますが
正直「どこの星の話?」という感じです。
あれに共感できる人が、中小零細企業で働く人が全体の98%という
今の日本にそんなにたくさんいるのでしょうか。
というわけで、そんな社会に一矢報いるには
化けて出るしかないという信念を持って、ホラーを書き続けています。
ただし私自身は化けて出るつもりは毛頭ありません。
今度こそルナと一緒にゆっくりと眠れますから
願ってもない幸せです。

ダンナの借金や生活費に追われて、死に物狂いで働いていた頃に
たまに「死ぬ前に半年、いや三ヶ月でもいいからモノ書きだけして
暮らせないかな。でも絶対無理やろうな」という夢を見ていましたが
取りあえずガンになったおかげで、その夢の生活が実現しました。

そして以前は、ネットで小説を書いていることに批判的だった
子どもたちが、応援までとはいかないまでも、認めてくれるようになったのも
私にはとても嬉しいことです。

私が思春期の頃に出会って、私にとっては恋愛小説のバイブルともいえる
「嵐が丘」の作者エミリー・ブロンテの詩です。



  富なんてものは問題にもならない、
  恋だって、考えただけで吹き出したくなる
  なるほど、名誉欲か? そういえば、昔夢見たこともあったが、
  日が射すと忽ち消える朝露みたいなものだった

  もし私が祈るとすれば、自然に
  口をついて出る祈りはたった一つの祈りだ。
  「今の私の心をこのままそっとしておいてくれ、
  そして、ただ自由を私に与えてくれ」という祈りだ

  -光陰矢の如しで、どうやら私の
  終わりも近い、そこで私が求めるものは、ただ、

  何ものにも囚われない一人の人間として、勇気をもって、
  生に堪え、死に堪えてゆく、ということだけだ

  <訳詩 平井正穂 岩波文庫「イギリス名詩選」より>


何十年経っても自分の原点にあるものは変わらないなと思います。
エミリー・ブロンテは、病弱で内向的で
とても恵まれていたとは言いがたい境遇で
しかもわずか30年の人生でしたが
その作品にはものすごく強い情念が込められています。

完成した小説は「嵐が丘」一作だけですが
自分が思うものを見事に形にできたことで
私には不幸な生涯だったとは思えません。
「どんなに辛い境遇であっても求めるのはただ一つ
自分の魂が自由であること」
私には傑作を書くことなんか到底できませんが
彼女の言葉には、自分の理想と思う生き方と共通するものがあって
だからこそ強く魅かれるのだろうと思います。


余談ですが、「ハゲタカ」というドラマのエンディングで流れた
曲はこのエミリー・ブロンテの詩に曲をつけたものだということを
つい最近知りました。
自分の好きなものというのは、こうして知らないうちに
つながっていくのが不思議です。





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