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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

依存症は治るのか治らないのか

2015-03-04 15:53:34 | 依存症
私がダンナの繰り返すギャンブルと借金に疲れ果てて
やっと「ギャンブル依存症」という病気の存在にたどりついた7年前には
「ギャンブル依存症は治らない」というのが定説でした。

そのことをダンナに話すと
ダンナは「自分で治してみせる」と言いました。
それを聞いた私は「この人は実は依存症というものが分かってないな」とは
思いましたが、そこで正論を並べてダンナを言い負かしても
多分表面的に「分かった」というだけで、納得するわけではないということは
予想できたので、ダンナの言葉を否定はしませんでした。

その後、セミナーなどに参加しましたが
GAのような自助グループでも、マックとかギヤマノンなどでも
依存症は回復はできるけど治らない
回復するためには依存しているものをやらないことが
唯一の回復の方法だという基本的な考え方は、どこも同じでした。

ところが最近「『依存症は治らない』は間違い」というタイトルを
ネットのニュースで見かけて、読んでみたら
久里浜医療センターの、精神科の河本先生が
「治らないという根拠は示されていない。安易な決め付けが
患者を追い込む」と話されていました。

実は私もこれまで散々「依存症は治らない」と書いてきましたが
その根拠となる、脳のメカニズムが
まだ完全に解明されていないことは知っています。
それともう一つ、依存症には実は色々段階があるのではないかと
いうことも何となく考えています。

例えばダンナの場合では、任意整理を始めてから
ギャンブルはやっていないというのは
たぶん嘘ではないんだろうと思います。
現実にギャンブルに使えるようなお金の余裕もないし
お金の出し入れは今のところは私が管理している状態でしたが
ギャンブルがやりたいという衝動に負けて
超えたらいけない一線を越える
つまり、ヤミ金や回りの人から借りるとか
会社のお金に手を出すということは起こらなかったので
例えば、ギャンブルをしたいから犯罪にまで手を出すという状態を
レベル10とすれば、レベル6とか7とか
そのくらいの感じなのかなと思えます。

これまで確かに依存症からの回復は
完全にやめられていれば100だけど
スリップしてしまえば振り出し、すなわちゼロ
というような捉え方がされていましたが
本当は、もう少し病気の進行の段階を細かく分けて
考えるほうが良いのではないかとは感じていました。

けれどなにしろ、特にギャンブル依存症などは
まだ病気だと認定されてもいない
そして、依存症に対応してもらえる医療機関自体
全国にほんのわずかという現状では
もっときめの細かい治療や回復の方法などは
望むべくもなかったわけです。

けれどネット依存、スマホ依存、ゲーム依存などが
若年層に急激な広がりを見せている現状では
「依存症は治らない」という考え方は
確かに、本人にも家族にもあまりにも酷というものです。

国と密接な関係がある医療機関の先生が
こういう見解を発表された背景には
カジノ解禁の是非とかいった含みもあるのかもしれませんが
加えてそのあたりの事情もあるような気がします。

けれど、だからと言って「『依存症は治らない』は間違い」と結論づける
書き方はあまりにも乱暴です。
これでは今まで、積極的に取り組もうとしなかった
国や医療機関に代わって、依存症者の回復を支えてきた
民間の回復機関や自助グループの人たちが言ってきたことが
嘘だという話にもなりかねません。

河本先生のお話に添って考えれば
「治っていると思われるケースもある」ということだと思います。
一番歴史の古いアルコール依存症のケースでは
10年間やめていても一度お酒を飲むと
元にもどってしまうという症例はたくさんあります。
衝動や渇望の強さという点からは
薬物依存症などは止めることがもの凄く困難です。

ですから何をもって「治った」と判断できるのか
その根拠も、今の時点では定かではありません。
もしも本当に「治す」ことのできるノウハウが見つかったということであれば
医療機関はもちろんですが、依存症者を援助されている関係者すべてと
一日も早くその情報を共有するべきだと思います。

私は、現在のところ治るか治らないかはまだ分かっていないと
いうのが一番正確なのだろうと思いますが
それではあまりにも不確かで、みんな困るので
強い警告の意味合いを込めて、敢えて
これまで「治らない」と書いてきました。
それくらい危機感を持って立ち向かわなければ
依存症の広がりを止めることはできないと思ったからです。

けれど、たとえばガンと同じように
ギャンブルを○年間止めることができて
他の依存対象へ移行するクロスアディクション(ガンで言えば転移ですね)
が起こらなければ完治ではないが寛解である
というような基準を設けるというのは
現在の、ゼロか100かという基準よりは
本人や家族にとっては、すこしハードルが低くなるので
必ずしも悪いことではないのかもしれません。








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