某芸能人夫婦の離婚に絡んで
最近「モラハラ(モラルハラスメント)」という言葉が
クローズアップされています。
モラルハラスメントとは、夫婦や恋人同志や、親子
あるいは嫁姑といった、比較的親密な人間関係の中で起こる、精神的な虐待。
具体的には、言葉や態度によって相手の人間性を否定たり
相手の思考や行動を支配することによって、精神的に大きなダメージを与える行為。
時々見かける、我が子を支配する「毒親」の問題や
「いじめ、嫌がらせ、つきまといなどの虐待行為」も
広い意味での、モラル・ハラスメントにあたるのだそうです。
職場での上司などからの上下関係によるものは
日本ではパワハラ(パワーハラスメント)と言われますが
親子や嫁姑なども、人によっては上下関係と考えている人もあるので
幅広く解釈すれば、すべてモラハラと言えなくもないようです。
モラハラを行う側、加害者側の特徴については、ウィキの記事によれば
「内心の葛藤を自身で引き受けることが出来ず外部に向ける、自身を守るために
他人を破壊する必要を持つという「変質性」を持つことが特徴である」とされています。
つまり自分の内面のストレスを
身近な人間を精神的に束縛支配することで発散するということだろうと思います。
私は、モラハラの背景には、加害者の内面の問題のほかに
社会に広く浸透している価値観の影響と
生育環境の問題もあるのではないかと思います。
日本は長い間男尊女卑の世界でした。
ある程度(あくまでもある程度ですが)男女同権の意識が表面的にせよ
定着してきたのは実はごく最近のような感じがします。
男女だけでなく「男は偉い」「父親、あるいは親は偉い」「姑は偉い」といった価値観は
今でも普通にどこにでもあり、そういう価値観の中で育ってきた人や
そういう価値観をよりどころにしている人はたくさんいるわけです。
そして「亭主関白」や「スパルタ教育」でも、うまくいっている場合もあります。
どこからがモラルハラスメントで、どこまでがそうでないのかは難しいところで
加害者はともかくとして、被害者も、自分が被害者だと自覚していない場合もあり
そもそもモラハラとは何なのかということが理解されていないこともあるようです。
モラハラの加害者の特質としてあげられる
・自分が「常識」という考え方をし、真実や善悪の判定者であるかのようにふるまう
・優れた人物であるという印象を与えようとし、自分の欠点に気づかないように
するために他人の欠点を暴きたてる
・賞賛してもらうために他人を必要とする
・自分の行動に罪悪感を持たない
というような性格も、結構どこにでもあるタイプだと思えますし
被害者になる人たちの特質とされている
・几帳面で、秩序を愛し、他者への配慮を働かせ、責任感が強い、
・起こった出来事に対して、自分が悪いのではと罪悪感を持ちやすい
・誰かに与えることを欲している
というような分析を見ると、これまた、極端な言い方をすれば、加害者にしろ被害者にしろ
会社とか、学校とか、はたまた家庭とか
社会にいくらでもある人間関係の一般的なパターンでもあると思えてきます。
生育環境については、虐待を受けた子どもが親になると我が子を虐待するという
ケースと同じで、親の束縛や支配を受けて成長すると、自分がされたことを、自
分の子どもにもしてしまう、あるいは自分がお姑さんにイジめられたから、嫁に
対しておなじことをするといった負の無限ループです。
このモラハラにしろ、はたまた依存症にしろ、さまざまな心の問題は
どこまでが異常で、何が正常なのかが、とにかく難しいです。
ただ精神的なものであれ肉体的なものであれ
ある人間の言動によって、その周囲にいる人が、大きな苦痛を感じている
というのは、正常な人間関係とは言えません。
とはいっても、すべてを簡単に解決できるというようなことは不可能です。
たとえば学校でのイジメとか、職場でのパワハラとかは
被害者に確かな自覚があっても、有効な解決の方法がないから悲劇が起こるのです。
けれどもとても身近な人間関係、夫婦とか親子とかの場合は
加害者の側に「自己愛的な変質者」というような病的な資質があまりなくて
単純に自分の育った環境や、世の中の価値観の影響で
威圧的な言動をしている場合は、TVでも言っていたように
本人が自分の言動が相手を苦しめていることに気付いていないような場合も
あるので、そのことをきちんと伝えることで
改善していくことは100%不可能ではないと思います。
親として、あるいは配偶者として
自分の思考が「加害者タイプ」の独善的な思考回路に陥っていないか
また「被害者タイプ」の自己犠牲的思考に走っていないか
自分の感じ方や考え方を、客観的に見る習慣を身につければ
高圧的、支配的ななもの言いを変えていくこともできるし
苦しみを自分の中に抱え込んでストレスにせず
自分の気持ちを相手に対して表現することも
できるようになるのではないかと思います。
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