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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

依存症の治療を知る機会に

2014-07-04 16:19:33 | 薬物依存症
先日覚せい剤の使用で逮捕されたミュージシャンが
昨日保釈されたということで
今日はそれについて色々報道されていました。

釈放されたミュージシャンの人は、治療施設に入るということで
私はそれが一番正しい選択だと思いました。
今日の「ミヤネ屋」では、その薬物依存の治療について
さいたま県立精神医療センターの先生が
かなり詳しくお話をされていました。

番組では「薬物」の問題と特定しているように聞こえましたが
これまでずっと書いてきたように、アルコールとギャンブルと薬物の
依存症は、治療の方法は基本的に同じです。

だからそれらの依存に悩んでいる方が
薬物依存の治療についてのこうした報道を聞く時は
「薬物」の部分を「ギャンブル」や「アルコール」に
置き換えて聞いていただければ
自分や家族が抱えている依存症から回復するためには
どういう治療をすればいいかというイメージが
少しでも理解できるのではないかと思います。

出演者の中には相変わらず「治る」というような表現をする人もいますが
医療関係の方や、薬物依存の回復施設ダルクの方は
「一生治るということはなく、回復を続ける」と説明されています。
さらに本人だけでなく、家族の心のケアも大事なのだとも話されていました。

治療施設の一日のスケジュールはきちんと決められていて
そのかなりの割合をミーティングが占めています。
これについて先生は「自分の気持ちを他人に正直に話すことが
できるようになることが回復につながる」という趣旨を説明されていました。
AAやGA,NAといった依存症者同士の自助グループは
これを12ステッププログラムというものに基いて行なっています。
そしてもともとAAから始まった12ステッププログラムも
その後たくさんの人たちの研究によって改良されて
より回復を実現しやすいものになってきているように思います。

私が初めてギャンブル依存症という病気を知った7年前は
「ギャンブル依存症は治らない」「依存者自身が行くところまでいって
最悪の状況で底つきを経験しないと回復しない」といった
依存者の家族にとってはほぼ絶望的とも言える結論が主流でした。

確かに行くところまでいって、本人が全てを失い
もう自助グループしか自分を受け入れてくれるところはないと
心から感じたほうが、回復につながりやすい、というか
回復の方法である12ステッププログラムや認知行動療法
といったものを受け入れやすいということはいえるかもしれません。
しかし、そのために家族が地獄を見なければならないようなことは
あまりにも理不尽です。

残念ながらうちの場合も未だこうした回復にはつながっていません。
これは人が「やらせる」ことには意味がなく、それでは
おそらく回復することもできないはずなので、たまに話はしますが
強制はしません。
私自身もダンナの依存症を自分がなんとかしようという気持ち
から開放されて自由になることはとても大事なことなのです。

けれど本人に「このままではまずい。大変なことになる」という気づきが
あれば、最悪の底つきを経験しなくても回復できる可能性があります。
まずは自分がお酒や、ギャンブルや薬物への渇望、衝動に対して
無力であること、自分でコントロールすることができなくなっている
ことを心の底から認めることができれば、治療も回復も可能です。

残念ながら、かのミュージシャンの場合は、ほぼ最悪の底つきの状態になっ
ての治療ということになってしまいました。もしも彼の周辺に、依存症の
治療に詳しく、彼をちゃんと説得して、もっと早い時期に彼を治療につな
げることができる立場の人がいたら、もしかしたらですが彼はここまで
全てを失わずに済んだかもしれません。
それは薬物だけでなく、ギャンブルでも、アルコールでもまったく同じ
なのです。

今回この事件によって思いがけず依存症やその治療がメディアで大きく
取り上げられています。
そういう意味では依存症の治療、回復について知ることができる
千載一遇のチャンスでもあると思います。
薬物だけでなく、ギャンブルやアルコールで依存症の問題を抱える方は
この機会に自分自身のことと受け止めて少しでも理解していただければと思います。
番組に出られた先生も「日本では支援体制が遅れている」と話されていました。

それでも少しづつ回復施設や自助グループは広がってきています。
少ないとは言え、相談できるところは増えています。
依存者本人がすぐにというのは難しくても
家族がちゃんとした機関に相談することで自分の人生を立て直すことも
依存者の回復と同様にとても重要なことなのです。

癌の治療でも、医療機関を選ぶことや治療を決めることの
難しさを痛感しました。
それでも癌にせよ、依存症にせよ探せば道はあるはずです。
私の癌は、治らないということが前提ですから
健康な細胞へのダメージが少なく、経済的な問題もクリアできる
ということで、ホルモン剤治療を選択しました

などとクールに書いてますが、告知された直後は
若干パニくって混乱してました。
そこから何とか立ち直って、情報を集め、整理し
ゆっくり考えて結論を出すという作業をやり直しました。
何にせよあきらめないこと、知識や情報を持つこと、
そして納得がいくまで自分で考えることが
とても大切なように思います




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