何と静かな穏やかな日でしょう。
明日は息子の命日です。
あの子は、こんないい季節に旅立ったんだなーと…
秋は悲しい季節ではなかったんですね。
玄関先でパンジーを植えていたら、「おばさん」と
声を掛けられ、振り向くと息子の同級生が
「やまちゃんの命日は明日だけれど、仕事があるから
今日来ちゃった」と、毎年かかさず来てくれている
二人でした。
「1年に1回しか来なくて、ごめんね」
「こんなに経っても来てくれるんだもの、
もういいのに…」
「来るよ!当たり前じゃん」
こんな会話の後で、何気なく「いくつになったの」と
聞くと、「27歳だよ、もうおじさんだよ」と…
亡くなった子どもに歳を重ねることはしていないので
彼らの年齢を聞いて、今さらながら驚きました。
創は早生まれだから、26歳か…と過ぎ去った
年月に言葉を失う私でした。
中学生だった彼の前で泣いてしまった時
「オレ、母ちゃん二人いると思うからさ」と言って
くれたり、高校卒業式の日に来てくれて、
「オレの卒業証書、やまちゃんのお母さんに
あげる」と言ってくれたり…
私を支えようとしてくれる気持ちが痛いほど
伝わってきました。
創は友達の多い子だったので、成人式の後も
寄ってくれたり、息子がいなくても節目節目の
喜びのおしょうばんをさせてもらっていました。
「嫁さんで来たら、連れてきます!」と言って
帰っていく彼らを見送ったあと直ぐに、
黄色い蝶々がぴらぴらと飛んできたのです。
あ~創だ!
あの子も喜んでいるのね。と思った途端に涙が
溢れてしまいました。
涙の向こうで、見上げた空は
どこまでも高く澄み切っていました。