宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月25日、「H3ロケット試験機1号機打上げ失敗原因調査状況」を次の通り発表した。
1.背後要因分析
前回整理した残るシナリオ3つに対して、それぞれ背後要因を分析した。
① エキサイタ内部で軽微な短絡、SEIG後に完全に短絡
• H-II以来の実績を重視したことや、製造後の運用段階で状態(設計上狭い部品間の隙間)が変わらないと考えたため、製造/検査や設計に対する対策を行うことがなかった。
② エキサイタへの通電で過電流状態が発生
• 基本的な設計および製造工程がH-II以前に確立され、運用し続けている電気系機器をH3に適用する際に、部品適合性評価に不足が無いかの確認がなかった。
③ PSC2 A系内部での過電流、その後B系への伝搬
• システム異常時の挙動において起こり得る事象に対し、下流機器を保護する目的で設置している部品(安全装置)が耐性を有するかの確認が完全でなかった
2.対策の方向性
背後要因分析に基づく対策の方向性として、その視点を抽出した。これに基づきロケット開発への対策を講じる。
3.信頼性向上
原因究明活動を通じて、以下のH3ロケットの信頼性向上に資する改善点を抽出しており、上記活動と併せて取り組む。これに加え、ロケット電気系開発の強化を図る。
・計測データの充実化 ・冗長切り替えロジック改善