●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●JAMSTECなど、月は地球のマグマオーシャンからできた可能性をコンピュータシミュレーションで実証

2019-05-20 14:01:15 | 宇宙

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)付加価値情報創生部門数理科学・先端技術研究開発センター細野七月特任技術研究員らは、現在の地球及び月を作った原因とされる、巨大衝突仮説と呼ばれる現象のコンピュータシミュレーションを行い、月が原始地球のマグマオーシャンと呼ばれるマグマの海から作られた可能性があることを突き止めた。

 現在の地球と月は、46億年前に起きた、ふたつの天体の衝突である巨大衝突という現象によって作られたと考えられてきた。巨大衝突仮説は地球と月の様々な特徴を説明できるため、コンピュータシミュレーションにより様々な検証がなされてきた。しかしながら、アポロ計画で月から持ち帰った岩石に含まれる様々な元素の同位体比測定結果は、巨大衝突仮説に基づく従来のコンピュータシミュレーションの結果と矛盾することが指摘されてきた。

 そこで同研究では、従来の標準的な巨大衝突仮説に基づくモデルを改良し、原始地球にマグマオーシャンがあるという仮定の下、巨大衝突のコンピュータシミュレーションを世界で初めて行った。その結果、マグマオーシャンが月の形成に大きく寄与することで地球と月の同位体比問題が解決される可能性があることを示唆した。

 巨大衝突仮説は、現在の地球及び月を考える上で極めて重要な仮説であり、この仮説を元に地球のその後の熱進化などが考えられてきた。同研究の計算結果は、これまで考えられてきた初期地球とは違う結果をもたらすもの。これは、現在の地球がどのように形成されたかを知る上での、大きな手がかりとなるであろう。また、巨大衝突仮説は原始地球のみならず、太陽系内の他の惑星にも起きたと考えられている。このような、「惑星の多様性」を説明する上でも、同研究の計算結果は示唆を与えることが期待される。

 

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